Barrozo Nettoのピアノ曲リスト
バホッゾ・ネットのピアノ曲の作曲年は殆どが不詳なので、アルファベット順にリストしました。
- À conquista de um prêmio ある賞の受賞者へ
- Adeus (fragmento de um episodio lyrico) さようなら(ある叙情的なエピソードの断片)
- Álbum infantil 子供のアルバム
- Uma história triste 悲しい物語
- Berceuse 子守歌
- Gaiatada いたずら
- Alegria de viver! 生きる喜び
- A minha casinha 私の小さな家で
- Antonieta, valsa アントニエタ、ワルツ
- Ballada バラード
- Brincadeira interrompida 遮られた遊び
- Cachimbando 思案
- Cancção Árabe アラビアの歌
- Canção da saudade 望郷の歌
- Cânon カノン
- Cantilena カンチレーナ
- Canto do marujo 船乗りの歌
- Cavallinho de pau 木馬
- Chôro ショーロ
- Confidências.... 打ち明け話
- Consagração 献身
- Conto romanesco 空想の物語
- Coriscos 稲光り
- Dança grotesca, para piano a quatro mãos グロテスクな踊り、ピアノ連弾
- Danse des fantoches 操り人形の踊り
- Diálogo 対話
- Dois prelúdios 2つの前奏曲
- Em caminho 途中で
- Era outra vez... (historieta) またむかしむかし・・・(小さなお話)
- Era uma vez... (historieta) むかしむかし・・・(小さなお話)
- Esbocetos 小さなスケッチ集
- Recordação 思い出
- Triste! 悲しみ!
- Tempo de minuetto メヌエットのテンポで
- Prelúdio 前奏曲
- Berceuse 子守歌
- Thema para variações 変奏曲のための主題
- Thema para variações 変奏曲のための主題
- Bom humor 上機嫌
- Ronda que passa... 円舞が通る・・・
- Valsa ワルツ
- Estudo 練習曲
- Estudos de agilidade para piano ピアノの敏捷な演奏のための練習曲
- Estudo de concerto 演奏会用練習曲
- Exercicios para a passagem do pollegar e Notas sobre o estudo do mecanismo 親指の移動のための練習とテクニックの練習に関する解説
- Faceirice, para piano a quatro mãos 派手に、ピアノ連弾
- Feux Follets 鬼火
- Folhas d'álbum アルバムの葉
- Folhas soltas 落葉
- Lamento 哀歌
- Canto triste 悲しい歌
- Valsa lenta ゆっくりとしたワルツ
- Improviso 即興曲
- Fuga フーガ
- Galhofeira ガロフェイラ
- Galhofeiro, estudo ガロフェイロ、練習曲
- Gavotta ガボット
- Humoresca ユーモレスク
- Improviso 即興曲
- Ite, Missa Est イテ・ミサ・エスト(行け、送られた)
- La plainte d'une fleur 花の嘆き
- La Ronde qui passe 円舞が通る
- Manhã do pianista, exercicio de velocidade sobre escalas e arpejos ピアニストの熟練、音階とアルペジオの速さの練習
- Melodia メロディー
- Minha terra 我が故郷
- Minuetto メヌエット
- Movimento perpétuo 無窮動
- Na rêde ハンモックに揺られて
- No ferreiro, peça caracteristica em estylo antigo 鍛冶屋で、昔のスタイルによる性格的小品
- Nostalgia ノスタルジア
- Página íntima 個人的な頁
- Pastoral 牧歌
- Pastoral 牧歌
- Visão 幻覚
- Dorme 眠り
- Brincadeira 遊び
- 7 pequenas peças características 7つの性格的小品集
- Bailado das borboletas 蝶々の踊り
- Dansa dos gnomos ノームの踊り
- Flor em botão つぼみの花
- Harmonia das sombras 暗闇のハーモニー
- Pizzicato ピチカート
- Marcha dos elefantes 象たちの行進
- Ponteio ポンテイオ
- Pequena valsa (Valse mignonne) 小さなワルツ(可愛いワルツ)
- Polichinelozinho ちっちゃな道化師
- Prelúdio 前奏曲
- Prelúdio e cânon 前奏曲とカノン
- Primeira gavota (Folhas soltas) ガボット第1番(落葉)
- Quasi nada 何でもない
- Rapsódia guerreira 戦争の狂詩曲
- Redemoinho 旋風
- Romance sem palavras 無言歌
- Scherzetto スケルツェット
- Segundo estudo de concerto 演奏会用練習曲第2番
- Serenata diabólica 悪魔のセレナーデ
- Série infatil 子供の曲集
- Perigosa aventura 危険な冒険
- Primeira mágoa 初めての悲しみ
- Soldadinho...marche! 兵隊さん達…進め!
- Sinos da aldeia 小さな村の鐘
- Sorriso triste 悲しい微笑み
- Suíte infantil 子供の組曲
- Natal クリスマス
- Suíte infantil N.º 1 de dó a sol em dó maior, para piano a quatro mãos 連弾のための子どもの組曲第1集、ハ長調でドからソを用いて
- Minuetto メヌエット
- Valsa ワルツ
- História fantástica 幻想的な物語
- Canto triste 悲しい歌
- Final 終曲
- Suíte infantil N.º 2 de lá a mi em lá menor, para piano a quatro mãos 連弾のための子どもの組曲第2集、イ短調でラからミを用いて
- Brincadeira 遊び
- Tristezas!... 悲しみ
- Papão お化け
- Tarantella タランテラ
- Tempos idos.... (Valsa romântica) 過ぎ去りし日々・・・(抒情的なワルツ)
- Valsa capricho ワルツ=カプリーチョ
- 2.ª valsa capricho ワルツ=カプリーチョ第2番
- Valsa lenta ゆっくりとしたワルツ
- Valsa-Scherzo ワルツ=スケルツォ
- Variações sobre um tema original オリジナルの主題による変奏曲
Barrozo Nettoのピアノ曲の解説
- Álbum infantil 子供のアルバム
- Uma história triste 悲しい物語
ホ短調、A-B-A形式。単純な左手伴奏に乗って、右手に寂しげな旋律が奏される。Bはイ短調になる。- Berceuse 子守歌
ホ短調、A-B-A-コーダの形式。Aは悲しげな旋律が静かに奏される。伴奏和音は音階または半音階進行で絶妙な響きだ。Bは揺りかごの玩具か鈴が静かに鳴るような音型が繰り返され、これも哀愁を誘う。- Gaiatada いたずら
ト長調、A-A-B-A'形式。旋律・伴奏共に跳ねるようなスタッカートが続く。- Alegria de viver! 生きる喜び
ホ長調。快活な旋律が繰り返される曲。六度重音を時には16分音符で弾き、右手・左手共2声ずつでこれまた16分音符を弾いたりと、複雑なパッセージを(楽譜に指示された)♩=108のテンポで弾くのはかなりの難技巧な作品である(下記の楽譜)。
Alegria de viver!、53-55小節、Carlos Wehrsより引用- A minha casinha 私の小さな家で
へ短調、A-B-A形式。ナザレのタンゴ・ブラジレイロを思わせる左手伴奏にのって、ちょっと陰うつな旋律が右手に奏される。Bはへ長調になり、郷愁を感じさせる。- Antonieta, valsa アントニエタ、ワルツ
変ホ長調、A-B-A-C-A-B-A形式。バホッゾ・ネットの作品では珍しいサロン風のワルツで、演奏上も特に難しい所は出てこない。Aは長閑な旋律が中音部オクターブで奏される。Bは変イ長調になり、優雅に舞うような8分音符混じりの旋律と鳴る。Cは変ロ長調になる。- Brincadeira interrompida 遮られた遊び
ニ長調、A-A'形式。流れるような速いワルツのテンポの曲で、殆どが単音で書かれている。- Cachimbando 思案
一応ヘ短調。楽譜の冒頭には "Tempo de Tango" とあり2拍子であはるが、タンゴと呼ぶには旋律はせき立てられるようで落ち着きない。伴奏の半音階進行の多用が不安げな雰囲気を醸し出していて、バホッゾ・ネットの作品の中でも複雑な和音を駆使した曲である(下記の楽譜)。
Cachimbando、1-9小節、Ricordi Brasileira.より引用- Canção Árabe アラビアの歌
ニ短調、A-B-A-C-コーダの形式。左手にアラビアっぽい旋律が静かに奏される。- Cantilena カンチレーナ
イ長調、A-B-A'形式。3/8拍子のリズムにのって牧歌的な旋律が奏される。中間部はラのフリギア旋法でドが♯になるスペインの旋法になって、ちょっと憂うつな感じ。- Canto do marujo 船乗りの歌
1922年作曲。A-A'形式。舟歌のようなオスティナートの左手伴奏にのって、レのドリア旋法による憂うつな歌が淡々と続く。左手伴奏の和音が数小節おきに少しづつ変わっていくのは、潮の流れが時々変わる様を描いたようで絶妙な効果だ。- Cavallinho de pau 木馬
1935年作曲。ハ長調、A-A-コーダの形式。馬が軽快に走る様を左手8分音符スタッカートと右手16分音符の掛け合いで楽しく描写。- Chôro ショーロ
ト長調。真面目な曲が多いバホッゾ・ネットも愉快な曲が作れるじゃん!と言いたくなるような何とも楽しい曲。途切れることのない軽快な左手16分音符のスタッカートのリズムにのった華やかな旋律は陽気で(下記の楽譜)、変奏曲のように旋律は高音低音と形を変えて現れ、左手16分音符が半音階進行でオブリガートのように纏わりつくのが粋で賑やか。
Chôro、1-12小節、Carlos Wehrsより引用- Confidências.... 打ち明け話
イ短調、A-B-A'形式。音数も少ないシンプルな曲。3拍子の伴奏にのって寂しげな旋律が奏される。最後はピカルディ終止となっている。- Coriscos 稲光り
イ長調、A-B-B形式。密集したポジションの16分音符音階が右手に軽快に奏され、途中で左手に引き継がれ、後半Bでは両手共に16分音符音階となる。ショパンのエチュード作品10-4に似た技巧の曲だ。- Danse des fantoches 操り人形の踊り
一応イ短調、A-B-A'形式。両手交互で奏される♬♬♪♪♬♬♪♪のリズムと、完全四度や完全五度を多用した重音の響きがちょっと中国風。- Diálogo 対話
ハ長調、A-B-A-コーダの形式。中音部にのどかな旋律が歌われ、ベースと後打ちの和音が静かに奏される。時々旋律を追って対旋律が「対話」しているように現れる。Bはへ短調に成る。- Em caminho 途中で
イ短調、A-B-B-A'形式。速い両手交互連打が続く曲。時々、旋律や対旋律がラのフリギア旋法になるのがエキゾチックな雰囲気。- Era outra vez... (historieta) またむかしむかし・・・(小さなお話)
ホ短調、A-B-A形式。悲し気な旋律が語りかけるように奏される。- Era uma vez... (historieta) むかしむかし・・・(小さなお話)
ハ短調、A-B-A形式。ポツポツと昔語りをするような曲。旋律・伴奏共にほぼ単音のシンプルな響き。- Esbocetos 小さなスケッチ集
バホッゾ・ネットの子どもたちのために書かれた、各曲1〜2分の小品集。亡くなった子どものために書かれた第1番、2番はもちろん、他の曲も全体的に翳りを感じさせる雰囲気の曲集に感じます。
- Recordação 思い出
楽譜には「エドガルドの思い出に A' memoria do Edgard」と記されており、早逝した息子を思って作曲したのであろう。右手旋律はへ長調ともニ短調ともつかない響きで、左手で静かに奏される長三度重音の半音階進行がやり切れない雰囲気を醸し出している。- Triste! 悲しみ!
楽譜には「ジークフリートの思い出に A' memoria do Siegfried」と記されており、この曲も早逝した息子を思って作曲したのであろう。へ短調。抑制された悲しみのような旋律が流れる。- Tempo de minuetto メヌエットのテンポで
ホ短調、A-B-A形式。物悲しい右手旋律と左手対旋律が、右手・左手とも全曲三度重音で奏される。- Prelúdio 前奏曲
ホ長調。半音階混じりの旋律が穏やかに奏される。- Berceuse 子守歌
ニ長調、A-A'-B-A'形式。穏やかな旋律がppで奏され、揺かごを思わせる8分音符が内声で奏される。- Thema para variações 変奏曲のための主題
変奏曲を作るための主題(テーマ)として書かれたと思われるが、バホッゾ・ネット以外の作曲家も含めて変奏曲が書かれた形跡はない。ト長調、A-A'-A'形式。昔話を語っているような落ち着いた旋律が左手内声で奏される。A'は8小節毎に旋律が左手・右手と交替する。- Thema para variações 変奏曲のための主題
ホ長調。大体が付点2分音符から成る落ち着いた旋律が流れる。この曲を主題として、ブラジルの先輩作曲家であるエンリキ・オズワルドが1919年に《バホッゾ・ネットの主題による変奏曲 Variações sobre um thema de Barrozo Netto》を作曲した。- Bom humor 上機嫌
変ホ長調。演奏時間20秒ほどの短い曲。元気な右手旋律の下で、左手8分音符対旋律が走るように奏される。- Ronda que passa... 円舞が通る・・・
A-A'形式。8分音符スタッカートの伴奏にのってあどけない旋律が奏されるが、これがソのミクソリディア旋法で面白い響きだ。- Valsa ワルツ
ト長調、A-A'-B-A-A'形式。AとA'は優雅な右手旋律の下で対旋律やベースが絶妙な半音階進行をする。Bは調性が不安定で、ロ短調や嬰へ短調にも聴こえる。- Estudo 練習曲
1分程の短い曲。ニ短調。無窮動な16分音符が右手または左手にずっと続き、その下または上でモチーフがスラーまたはスタッカートで奏される。延々と続く16分音符をノン・レガートで粒を揃えて弾くのは難しい。- Estudo de concerto 演奏会用練習曲
ハ長調、A-B-A'形式。両手5連16分音符が延々と続く曲で、分散オクターブならぬ分散九度や分散十度が両手に沢山出現し、それが後半では重音を伴いかなりの難曲である。- Feux Follets 鬼火
40秒ほどの極めて短い曲。最後の数小節を除くと速い3連8分音符の単音がずっと続くだけなのだが、アルペジオが不規則に上がったり下がったりする様や、三和音のアルペジオ→半音下の三和音のアルペジオの連続とか、時折現れる増三和音とかの響きなど、鬼火の不気味な雰囲気を見事に表現している。- Fuga フーガ
ニ短調。後述のPrelúdio(同じニ短調)に引き続いて奏され組曲を成すように記されている資料もある。3拍子のリズムで3声のフーガが奏される。最後はピカルディ終止となる。- Galhofeira ガロフェイラ
Galhofeiraは「ふざけ屋さん」とか「冗談好き」という意味で、女性形の名詞なので「おふざけ娘」なんて訳でもいいかもしれません。ト長調。ワクワクするような軽快な雰囲気の曲だが、演奏の方は速いテンポの両手スタッカート8分音符(右手・左手共にしばしば重音を伴う)が延々と続き、時々スラーのモチーフが断片的に現れる。ダンパーペダルを使う場所も楽譜に指定された僅かな所のみであり、粒の揃った両手スタッカートを引き続けなけらばならない、誤魔化しの効かない難曲である。- Galhofeiro, estudo ガロフェイロ、練習曲
Galhofeiroは男性形の名詞なので、こちらは「おふざけ男」かな。ト長調、A-B-A'形式。この曲も両手スタッカートの重音まじりの8分音符が延々と続く難曲。上記の《Galhofeira》と比べて全体的に音域が広く、ペダルは殆ど使わないにも関わらず和音が豊潤な響きの、聴いていて楽しい曲である。- La plainte d'une fleur 花の嘆き
ハ長調、A-B-A形式。右手・左手共ほとんど単音から成る初心者向けの作品。左手対旋律が半音階的なためちょっと憂うつな感じ。Bはイ短調になる。- Melodia メロディー
ニ短調、A-B-A形式。寂しげな旋律が静かに奏される曲。- Minha terra 我が故郷
イ長調。軽快で心地良いシンコペーションのリズムの曲で、そのリズムの中に旋律が見え隠れする。和音も分かりやすくほのぼのとしていて、郷愁溢れるブラジル風味満点の曲(下記の楽譜)。ブラジルのピアニストが時々、この曲をレパートリーに入れている。
Minha terra、1-11小節、Ricordi Brasileira.より引用- Minuetto メヌエット
イ長調、A-A-B-A形式。Aは古風な旋律が右手にスラーで奏されるが、伴奏はスタッカートになっていて、半音階進行の対旋律も絡んできていい雰囲気。Bはホ長調になる。- Movimento perpétuo 無窮動
イ長調、A-A'-A-A"形式。名ピアニストのクラウディオ・アラウに献呈された。右手16分音符+左手スタッカート8分音符が無窮動に続き、右手16分音符は時々重音になったり、16分音符の中に4分音符の旋律が含まれていたりと、これを楽譜に指示された♩=160で軽快に弾くのはかなり難技巧な曲(下記の楽譜)。
Movimento perpétuo、41-48小節、Casa Arthur Napoleão.より引用- Na rêde ハンモックに揺られて
強いて言えばイ短調、A-B-A形式。右手旋律は子守歌風だが、左手伴奏和音は半音階進行で不安げな響きであり、また印象派的でもある。Bはイ長調になる。- No ferreiro, peça caracteristica em estylo antigo 鍛冶屋で、昔のスタイルによる性格的小品
ニ短調、A-B-A形式。速いテンポの二声のフーガから成る曲で、バッハのインヴェンションを思わせるきびきびとした曲。金属を打叩く音を模したアクセントが威勢良い。1928年にバホッゾ・ネット自身がピアノ演奏した録音が残されているが、これを聴くと彼が一流のピアニストでもあったことが分かる明晰なタッチで、この曲が何とも生き生きとして聞こえてくる演奏だ。- Página íntima 個人的な頁
当時リオデジャネイロで出版されていた雑誌 "Rio Musical" の1926年1月30日号に楽譜が掲載された。ロ短調。1分ほどの短い曲で、迷い悩むような旋律が奏される。- 7 pequenas peças características 7つの性格的小品集
7曲から成る組曲。各曲は1〜2分でテーマは可愛らしく、音数もさほど多くなく、一見すると子ども向きの小品集。しかし楽譜をよく見ると急速なスタッカートや四声のポリフォニーなど、上手に演奏するのは結構難しい曲ばかりである。
- Bailado das borboletas 蝶々の踊り
ロ短調、A-B-B-A-C-C-A-コーダの形式。Aは半音階を下行するベースの伴奏にのって寂しげな旋律が奏される。Bはニ長調になり可憐な旋律が現れる。Cは高音部で息の長い旋律が奏される。- Dansa dos gnomos ノームの踊り
ノームとは小びとの妖精のこと。イ短調。少し不気味な旋律が奏され、その上または下をスタッカートの半音階8分音符が上下する。小さいけど謎めいたノームらしい雰囲気の曲。楽譜の記された♩=184のテンポで粒の揃ったスタッカート8分音符を弾くのは結構難しい。- Flor em botão つぼみの花
変ロ長調。抒情的な落ち着いた雰囲気の曲だが、全曲四声で書かれている。全ての声部を滑らかに奏するために、鍵盤を押しながら素早く運指を変えたり、一つの声部を右手・左手を繋げて弾くなど、上手に弾こうと思ったら結構難しい。- Harmonia das sombras 暗闇のハーモニー
ニ短調。この曲も四声で書かれていて、コラール風の曲が沈み込んでいくような雰囲気で奏される。- Pizzicato ピチカート
イ長調、A-B-A-コーダの形式。右手旋律・左手対旋律ともに8分音符はスタッカートで軽やかに奏される。Bはホ長調になる。- Marcha dos elefantes 象たちの行進
へ長調。4分音符の低音部和音は象がのっそのっそと歩く様のようで、それにのってちょっと愛嬌のある旋律が奏される。- Ponteio ポンテイオ
へ長調。ギターのつま弾きのような右手16分音符スタッカートが無窮動に続く中、左手中音部に歌うような素朴な旋律が現れ、更にベースや対旋律も加わって四声になる。四声を上手に弾くだけでも難しいが、16分音符の声部のみスタッカートで他の三声がスラーとなっているのを弾き分けるのは結構大変。- Pequena valsa (Valse mignonne) 小さなワルツ(可愛いワルツ)
イ短調、A-B-A'形式。哀愁漂う可憐なワルツが奏される。Bは左手に半音階進行の対旋律が絡んでくる。- Polichinelozinho ちっちゃな道化師
ト長調、A-B-A'-B'形式。子どもが道化師を演じているような愛嬌ある曲。- Prelúdio 前奏曲
ニ短調、A-A'形式。バロック風のモチーフが左手に現れ、右手は8分音符の対旋律を奏で、次に冒頭のモチーフがカノンのように右手に現れ、対旋律は左手に引き継がれるーが繰り返されて発展していく。後半A'では左手モチーフはオクターブになり、対旋律は16分音符になり荘厳な響きとなる。- Primeira gavota (Folhas soltas) ガボット第1番(落葉)
バホッゾ・ネットの師であった作曲家・ピアニストのFrederico Mallioに献呈。ト長調、A-B-A-C-A形式。優雅な純ヨーロッパ調の曲。- Quasi nada 何でもない
1分足らずの短い曲。ハ長調、A-A-A'形式。単音または二声のみで作られていて、アルペジオと音階から成る旋律が疾風のように奏される。- Rapsódia guerreira 戦争の狂詩曲
二長調。"guerreira" を戦争と訳すのが適当かはよく分からないが、曲は勇ましい旋律が形を変え何度も現れ、16分音符のアルペジオやスケールも派手で落ち着かない。ちょっとトッカータ風の曲。- Redemoinho 旋風
1935年作曲。ニ短調。かなり上級者向きの練習曲のような曲。両手32分音符で奏される密集ポジションの音階は、正に渦を巻いて立ち上がる突風を描写するようで、粒を揃えて速く弾くのは難しい。- Romance sem palavras 無言歌
変ロ短調、A-B-A-B'-C形式。Aの旋律は自然的短音階で、悲しみを越えて放心したかのような感じの雰囲気である。Bは悲しみを自ら反芻しているような旋律が奏される。- Scherzetto スケルツェット
ト長調、A-B-A-C形式。スラーとスタッカートが交互に現れる旋律は愛嬌たっぷり。- Segundo estudo de concerto 演奏会用練習曲第2番
ハ長調、A-B-A'形式。右手はオクターブ、左手は重音や和音から成る急速な8分音符スタッカート連打が続き、右手和音・左手オクターブに代わったりしながら奏され、最後は両手オクターブ和音が派手に鳴って終わる。- Serenata diabólica 悪魔のセレナーデ
嬰ハ短調、A-B-A形式。オクターブの音階の旋律が上がったり下がったりし、不協和音がアクセントで強打される。正に悪魔が踊っているような派手でグロテスクなワルツ。サン=サーンスの交響詩「死の舞踏 」の影響を思わせる作品だ。- Série infatil 子供の曲集
3曲から成る組曲で、題材は子どもの世界らしい雰囲気で、技巧的にも比較的初心者向け。
- Perigosa aventura 危険な冒険
ホ短調、A-B-C-B-A'形式。8分音符スタッカートが続く旋律に、半音階の対旋律が加わり、子どもが悪戯しつつも不安げな雰囲気を醸し出している。- Primeira mágoa 初めての悲しみ
ト長調、A-B-B'-A'形式。Aは可憐な旋律が奏される。Bはホ短調になり、少し悲しげな雰囲気。- Soldadinho...marche! 兵隊さん達…進め!
ニ長調。行進曲らしいリズムとラッパを思わせる旋律だが、行進曲の伴奏は三度か六度の重音だけで旋律も単音なので、子どもの兵隊ごっこみたいな雰囲気である。- Sinos da aldeia 小さな村の鐘
A-B-A形式。Aは2つの鐘がけたたましく鳴る中で、ラのドリア旋法の旋律が奏されるのが何とも「小さな村の鐘」の雰囲気に相応しい、空気感の伝わってくるような雰囲気である。Bは10小節のみで、左手ラ-ミ-シの和音の上でラのヒポドリア旋法の和音の旋律が静かに奏される。- Sorriso triste 悲しい微笑み
ハ長調、A-A'形式。右手旋律・左手伴奏共に単音から成る曲。やや哀愁を帯びた雰囲気。- Tempos idos.... (Valsa romântica) 過ぎ去りし日々・・・(抒情的なワルツ)
ヘ長調、A-B-A-C-A形式。題名通りの、過ぎ去りし幸せな日々を懐かしむような、哀愁を感じる優雅なワルツ。Bはイ短調、Cは変ロ長調になる。- Valsa capricho ワルツ=カプリーチョ
ト短調、A-B-A-C-A形式。テンポは速めのワルツだが、旋律は哀愁漂う雰囲気。Cは変ロ長調になる。- 2.ª valsa capricho ワルツ=カプリーチョ第2番
ト短調、A-B-A'-C-D-A-コーダの形式。この曲もテンポは速いが、憂うつな雰囲気のワルツ。Bは強いて言えばへ短調になる。- Valsa lenta ゆっくりとしたワルツ
ヘ長調、A-B-A-C-A形式。Aは大らかな旋律が左手に奏される。Bはイ短調で流れるような音階の旋律。Cはイ長調で夢見るよう。- Valsa-Scherzo ワルツ=スケルツォ
ト長調、A-B-A-C-A形式。優雅な旋律のワルツ。Bはホ短調で、4分音符スタッカートと8分音符スラーが交互に現れる。Cはニ長調で、高音スタッカートが可愛らしい。- Variações sobre um tema original オリジナルの主題による変奏曲
変ホ長調。冒頭の主題は四声で書かれていて、穏やかな旋律が3拍子で奏される。引き続き、7つの変奏+コーダが現れる。第1変奏は左手8分音符の伴奏がスタッカートで、メヌエット風。第2変奏は楽譜に「滑らかに scorrevole」と記されている通り、主題は流れるような16分音符で奏される。第3変奏はスタッカートの3連符が絶え間なく鳴る。第4変奏は変ホ短調になり、楽譜に「オルガンのようにレガートで ligadissimo como orgao」と記され、主題は中音部で重々しく奏される。第5変奏は変ホ長調に戻り、戯けた感じの3連符が奏される。第6変奏は対旋律に5連16分音符のトリルが絶え間なく弾かれる。第7変奏は3連符スタッカートの音階が右手・左手交互に鳴って華やかだが、徐々にクールダウンし、最後に主題が短く回想されて終わる。