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José Vieira Brandãoについて

 ジョゼ・ヴィエイラ・ブランダォン José Vieira Brandão は1911年9月26日、ミナスジェライス州カンブキラ Cambuquira に生まれた。彼の父は医師であったが、音楽好きであったとのこと。彼は7歳でリオデジャネイロにある叔父の家に預けられ、そこで初めピアノの個人レッスンを受け、1924年に国立音楽学校 Instituto Nacional de Música に入学し、ピアノやソルフェージュ、対位法などを学んだ。1926年にはメヌエットやソナチネを作曲したとする文献があるが、確証はない。1929年の卒業に際して行われたコンクールで彼はショパンの《スケルツォ第3番》やベートーヴェンの《ピアノソナタ第23番「熱情」》などを演奏し、金メダルを受賞した。

 1932年、フランスの名ピアニスト、マルグリット・ロンが来伯し、ブランダォンに会う機会があった。ロンはブランダォンの才能に感銘し、フランス留学に誘い、ブランダォンもそれに応えて留学の準備をしていた。しかし同時にこの頃、ヴィラ=ロボスがブラジルの音楽教育の改革を目指して活動していることを知るや、ブランダォンはブラジルに留まってヴィラ=ロボスのプロジェクトに参加する決断をした。ヴィラ=ロボスが音楽教育に合唱を用いたことに倣い、ブランダォンは1934年にブラジル音楽院マドリガーレ合唱団 Madrigal Vox do Conservatório Brasileiro de Músicaを創立し、1945年まで指揮者を務めた。またヴィラ=ロボスが創立した国立合唱音楽院 Conservatório Nacional de Canto Orfeônico の指揮者を1943年から1967年まで務めた。またブランダォンは長年に亘りヴィラ=ロボスの助手を続けた。ヴィラ=ロボスの家に通い、ヴィラ=ロボスが書き上げた作品を作曲者の傍らでピアノで演奏し、数々のヴィラ=ロボスの作品の初演でピアノを弾いた。ブランダォンが初演したヴィラ=ロボスの作品は、ピアノと管弦楽のための《ショーロス第11番 Chôros nº 11》(1942年初演)、ピアノと管弦楽のための《ブラジル風バッハ第3番 Bachianas brasileiras nº 3》(1947年初演)、ピアノ曲《ブラジル風バッハ第4番 Bachianas brasileiras nº 4》(1939年初演)、《苦悩のワルツ Valsa da dor》(1939年初演)、《三つの星(3人のマリア)As três Marias》(1939年初演)、《単純な詩 Poema singelo》(1943年初演)、《ギア・プラチコ(ブラジル音楽の手引き)Guia prático》より数々の曲 (1939-1941年初演) が挙げられる。またヴィラ=ロボス作曲のギターのための《5つの前奏曲集 Cinq préludes》をピアノ曲に編曲した。

 1945年から翌年まで約一年間、米国南カリフォルニア大学で音楽教育の研究を行い、また同大学の合唱団Madrigal Singersを指揮した。1947年にはヴィラ=ロボスと共に再び米国を訪れ、ヴィラ=ロボス作曲のオペレッタ《マグダレーナ Magdalena》のニューヨーク初演の準備を行った(実際にこのオペレッタが初演されたのは翌1948年のロサンゼルスでとなった)。またニューヨーク滞在中にはヴィラ=ロボスの《ブラジル風バッハ第3番》がブランダォンのピアノ、作曲者の指揮により初演された。

 1949年には、かつてのブランダォンのピアノの生徒だったピアニストのEunice da Costa Pereiraと結婚し、四男一女をもうけた。ブランダォンはその後もブラジル国内では数々の大学などで教授を務め、1990年にはブラジル音楽院の院長に就任した。

 2002年7月27日、リオデジャネイロで亡くなった。

 ブランダォンはピアニストおよび合唱指揮者、教育者としての活動が主であり、彼が作曲した作品はあまり多くない。作品を挙げると、ピアノと管弦楽のための《協奏的幻想曲 Fantasia concertante》(1937)、《弦楽四重奏曲第1番》(1944)、《弦楽四重奏曲第2番》(1960)、《弦楽三重奏曲》(1960)、《ピアノトリオ》(1963)、《チェロソナタ》(1954)、数曲ずつのギター曲、合唱曲、歌曲がある。またオペラ《仮面 Máscaras》(1958) を作ったらしいが、未出版で上演されていない。

 ブランダォンのピアノ曲もさほど多くはないが、4曲ある練習曲は作曲家としての技倆の高さを示しており、また《小さな組曲》を聴くと、彼がヴィラ=ロボスのみならずブラジルの先輩作曲家たちの作曲技法を受け継いでいることが分かる。

 

José Vieira Brandãoのピアノ曲リストとその解説

 斜字は出版がなく、かつ手稿譜が現存せず、どんな曲だか不明な作品です。

1938

1940

1941

1942

1948

1950

1951? (1945?)

1955

1957

1958

-1959?

1959 (1981改訂)

1965

1969

1971

1976

1978

1994-1996

 

José Vieira Brandãoのピアノ曲楽譜

Irmãos Vitale

  • Estudo N.º 1
  • Seresta N.º 2
  • Seresta N.º 3
  • Suíte mirim
  • Valsa dos sapatinhos vermelhos

 

José Vieira Brandãoのピアノ曲CD・LP

星の数は、は是非お薦めのCD、は興味を持たれた人にはお薦めのCD、はどうしてもという人にお薦めのCDです。

Vieira Brandão - Um Quarteto, um Estudo, uma Sonata e dez Canções
Soarmec Discos, S013

  • Quarteto nº1*
  • Estudo para piano**
  • Sonata para violoncelo e piano*** ****
  • Dez canções**** *****

Quarteto de cordas da Rádio MEC*, Fernando Lopes (pf)**, Iberê Gomes Grosso (vc)***, José Vieira Brandão (pf)****, Cristina Maristany (vl)*****

 1959年から1969年までに録音されたブランダォンの作品を集めたCD。チェロソナタと10の歌曲集のピアノ演奏はブランダォン自身である。

 

Edition Klavier-Festival Ruhr, Vol. 36 - "The Americas" und ein neues Melodram (3枚組CD)
Klavier-Festival Ruhr Sponsoring und Service GmbH

CD 1 - The Americas 1

Sergio Tiempo (pf)*, Anna Zassimova (pf)**, Zhang Zuo (pf)***, Plamena Mangova (pf)****

CD 2 - The Americas 2

Joseph Moog (pf)*, Maki Namekawa and Dennis Russell Davies (pfs)**

CD 3 - Melodram "Verpasste Gelegenheiten"

Michael Krüger (rezitation)*, Hanni Liang (pf) and Manfred Trojahn (rezitation)**

 2017年のライブ録音。

 

Fernando Lopes interpreta Mozart, Ravel, Vieira Brandão, Ernst Widmer (LP)
JS Discos, CJS-9002

Fernando Lopes (pf)

 

Cristina Ortiz (LP)
SOMLIVRE, 403.6102

  • Galhofeira (Alberto Nepomuceno)
  • Prece (Alberto Nepomuceno)
  • Ponteio N.º 38 (Camargo Guarnieri)
  • Ponteio N.º 48 (Camargo Guarnieri)
  • Ponteio N.º 49 (Camargo Guarnieri)
  • Tríptico (Octavio Maul)
  • Corta Jaca (Fructuoso Vianna)
  • As 3 irmãs (Villa-lobos)
  • Estudio N.º 1 (José Vieira Brandão)
  • Congada (Francisco Mignone)
  • 2.ª valsa de esquina (Francisco Mignone)
  • Cantiga (Siquiera)
  • Paulistana (Claudio Santoro)

Cristina Ortiz (pf)

 1976年のリリース。

 

 ヴィラ=ロボス作曲《ギターのための5つの前奏曲集》のブランダォンによるピアノ編曲版は、ピアニストのアンナ・ステラ・シック、ソニア・フビンスキー、オリンダ・アレッサンドリーニによる録音および、ブランダォンによる第3曲のみの録音がある。

 

José Vieira Brandãoに関する参考文献