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Carlos del Castilloについて
カルロス・デル・カスティージョ・ディエス・デ・ウルダニビア Carlos del Castillo Díez de Urdanivia は1882年9月13日、メキシコシティで生まれた。幼い頃よりピアノを習い、1895年にメキシコ国立音楽院に入学して学んだ。1900年には奨学金を得てヨーロッパに留学し、ブリュッセルおよびライプツィヒでアルフレッド・ライゼナウアーらに師事して勉強を続けた。1904年にはヨーロッパや米国ニューヨークで演奏会を催している。
メキシコに帰国すると、1905年に国立音楽院ピアノ教授に就任し、更に1923年から1928年まで同院院長を務めた。彼はヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品のメキシコでの普及に努め、1907年にメキシコシティにバッハアカデミー Academia Juan Sebastián Bach という団体を設立している。
1957年6月4日にメキシコシティで亡くなった。
カルロス・デル・カスティージョの作品には、孫のマリア・ルイサ・ラスガード María Luisa Rasgado の結婚式のために作曲した合唱とオルガン、弦楽オーケストラのための《Ave María》(1949) があるが、後は全てピアノ曲である。彼のピアノ曲は全てサロン風の小品ばかりだが、メキシコ風味が漂ってくるような曲だったり、心温まるような曲だったりと、肩肘張らずに聴ける分かりやすい曲ばかりで私は大好きです。
Carlos del Castilloのピアノ曲リストとその解説
斜字は出版もされず、手稿譜も現存していない(要は存在が現在確認できない)作品です。
- Carrillón en la selva negra (1909) 黒い森のカリヨン
- Cerca de tu alma, Vals lento あなたの魂の近くに、ゆっくりとしたワルツ
変ホ長調、A-A-B-B-A形式。楽譜には "Ami Madre:" と記されており、母親を思いながら作曲したのだろう。息の長い穏やかな旋律に、控えめな伴奏アルペジオや後打ちの和音を伴い、何とも言えぬ温もりに満ちた音楽が流れる(下記の楽譜)。Bは変ロ長調になり、踊りたくなるようなスタッカート和音の旋律と、滑らかなスラーの旋律が交互に現れて、嫋やかな母親の姿を描いているよう。
Cerca de tu alma, Vals lento、1~16小節、Casa Alemana de Música, S.A.より引用- Danzas mexicanas メキシコ風ダンサ集
I. II.およびIII. IV.と2曲ずつ出版された。I. II.の方は、En las chinampasが第1曲の版と、Apasionadaが第1曲となっている版がある。4曲共に前半は短調、後半は同主調の長調になっていて、メキシコ民謡の雰囲気たっぷりだ。
- En las chinampas チナンパにて
「チナンパ」とは、その昔、アステカ族が沼地の湖底の泥を盛り上げて埋立て、出来上がった島に作った耕作地を指す。メキシコシティのソチミルコに現在も残るチナンパは観光地として有名で、チナンパの間の運河を行くトラヒネラと呼ばれる小舟に乗って巡ることができる。(左の絵は楽譜の表紙。)ニ短調、A-A-B-B形式。Aはギターを思わせるアルペジオ和音の伴奏にのって、男性が悲しげな歌を歌っているような旋律が中低音部に奏される。Bはニ長調になり、ハバネラのリズムの伴奏にのって優しい旋律が高音部に奏される。- Apasionada 情熱的に
ニ短調、A-A'-B-B'形式。Aはハバネラのリズムの伴奏にのって、何とも悩ましい旋律が三度重音で奏される。Bはニ長調になって甘い旋律が現れ、B'で両手オクターブのfffとなり情熱的に歌われる。- Los inditos 小さなインディオ
ニ短調、A-B-B形式。Aはハバネラのリズムの伴奏にのって可憐で哀愁漂う旋律が奏される。Bはニ長調になり、中音部で奏される三度重音の旋律は所々フェルマータで伸ばされていて、男声二重唱がルバートたっぷりで歌っているような感じ。- Veracruzana ベラクルス風に
ト短調、A-B-B形式。港町ベラクルスを描いたに相応しい快活な曲。Aは両手オクターブ交互連打が喧騒感を醸し出す。Bはト長調になり、跳ねるような重音旋律が浮き浮きしてくる。- Danza para la mano izquierda 左手のための舞曲
嬰ハ短調、A-A-B-B'形式。左手のみで演奏される曲。ハバネラのリズムにのって中音部に寂しげな旋律が奏される(ポンセが作曲した左手のためのピアノ曲《Malgré tout (A pesar de todo)》の影響を感じる)。Bは変ニ長調になる。- El fauno, Scherzo fantástico, Op. 5 (1908) ファウヌス、幻想的なスケルツォ、作品5
ファウヌス(牧神)とはローマ神話の神の一つ。イ短調、A-B-A'-コーダの形式。Aは飛び回るような右手16分音符が続く。Bは変ロ長調になる。- El grijalva, Impresiones de viaje (1909) グリハルバ川、旅の印象
グリハルバ川はメキシコ南東部を流れる川で、上流のスミデロ峡谷はその景観美で有名である。ト長調、A-B-A-B形式。舟歌の6/8拍子のリズムの伴奏にのって水の煌めきを描いたような爽やかな旋律が奏される。- El milagro de las rosas バラの奇蹟
- Gavota de amor 愛のガヴォット
ニ長調、前奏-A-B-B'-前奏-A-B-B'-後奏の形式。上品でほのぼのとした雰囲気のガヴォット。Bは左手に旋律が現れ、B'では右手オクターブfffで旋律が華やかに繰り返される。- La jugadora, Estudio de concierto
- Serenata blanca, Op. 2 白いセレナーデ、作品2
楽譜には「テレサ・カレーニョに献呈 A Teresa Carreño」と記されており、カルロス・デル・カスティージョがヨーロッパ留学中に作曲したのかもしれない。ニ長調、A-A-B-A'-コーダの形式。♩ ♪♩ ♪の穏やかな伴奏にのって優しい旋律が静かに奏される。Bはニ短調になる。A'は旋律の上で急速な音階がハープのグリッサンドのように鳴る。- Suite México メキシコ組曲
この「メキシコ組曲」は少なくとも下記の3曲が作られたと思われるが、楽譜が現存するのは〈La mujer blanca (Ixtaccihuatl)〉の1曲のみである。
- La mujer blanca (Ixtaccihuatl) 白い女性(イスタシワトル山)
メキシコ中央部に聳えるイスタシワトル山は標高5230mで、メキシコで3番目に高い山である。その白く雪に覆われた稜線の姿が横たわった女性のように見えることから「白い女性」と呼ばれている。変ホ長調。前奏に引き続き、ハープのようなアルペジオ和音の伴奏にのって、高音部オクターブ和音で優美な旋律が奏される。- Himno al sol 太陽讃歌
- Danza de los caballeros tigres ジャガーの戦士達の踊り
- Suite rococó (1910?) ロココ組曲
フランスのルイ14世、15世の頃のロココ様式全盛の時代を描こうとしたのだろう。各曲にはバロック組曲の舞曲名が付けられ、旋律やリズムはバロック風であるが、カルロス・デル・カスティージョらしいロマンティックな響きが其処彼処に聴かれる、何とも心地良い組曲である。
- Minueto pompadour, Op. 18 ポンパドゥール夫人のメヌエット、作品18
ホ長調、A-A-B-B-C-C-A-B形式。Aのスタッカート混じりの旋律や伴奏は、上品ながらも快活な女性を描いているのかな。Bは華やかな旋律がfで奏される。Cはイ長調になり、ゆったりと流れるような旋律が奏される。- Gavota y Museta ガヴォットとミュゼット
ニ短調、A-A-B-A'-C-D-A-B-A'形式。AとBは旋律、バス共にオクターブで派手な響き。楽譜ではA'の終わりのレ音はソステヌートペダルで伸ばしてミュゼット(CとD)の間すっと鳴らし続けるよう指示がある。CとDはニ長調で、時々2オクターブの急速な音階が高音部で鳴らされる。- Pavana Luis XIV ルイ14世のパヴァーヌ
イ短調、A-B-C-A'-D-A'-B-C-A'-コーダの形式。宮廷内の上品な仕草を描いているような曲。畏まったような旋律が次々と現れる。Dはイ長調になり、中音部に滑らかな旋律が現れ、続いて右手高音部オクターブで華やかな響きで繰り返される。- Rigodón リゴードン
ロ長調、A-B-C-B'-A-コーダの形式。リゴードンらしい快活な曲で、Aは右手高音部のオクターブ旋律が煌びやか。B-C-B'はホ長調になる。- Tambourin, Op. 8 タンブーラン、作品8
- Tambourin de María Luisa マリア・ルイサのタンブーラン
マリア・ルイサとはカルロス・デル・カスティージョの孫娘を指している。へ長調。(多分子どもの)孫娘がタンブーランのリズムでお茶目に踊るのを描いたような可愛らしい曲。- Tango y con guitarra (1945) タンゴとギターと共に
- Tocata en la menor トッカータイ短調
- Vals perla, Op. 1 (1897) 真珠のワルツ、作品1
イ長調、A-A'-B-A'形式。Aは高音部に繊細な旋律がppで奏される。Bはホ長調になり、中音部でチェロの音色を思わせる旋律がゆったりと流れる。
Carlos del Castilloのピアノ曲楽譜
Casa Alemana de Música, S.A.
- Cerca de tu alma, Vals lento
- Danzas mexicanas: I. En las chinampas, II. Apasionada
- Danzas mexicanas: III. Los inditos, IV. Veracruzana
- Minueto pompadour, Op. 18
- Gavota y Museta, de la "Suite rococó"
- Tambourin, Op. 8
Wagner y Levien
斜字は絶版と思われる楽譜
- Gavota de amor
- La jugadora, Estudio de concierto
- La mujer blanca (Ixtaccihuatl), de la Suite "México"
- Pavana Luis XIV
- Rigodón, de la "Suite rococó"
- Serenata blanca, Op. 2
- Vals perla, Op. 1
Carlos del Castilloのピアノ曲CD
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Música de Carlos del Castillo
Luzam, CD-LUMC 95002
- Gavota de amor
- Minueto pompadour, de la "Suite Rococó"
- Pavana Luis XIV, de la "Suite Rococó"
- Rigodón, de la "Suite Rococó"
- Cerca de tu alma
- El fauno, Scherzo fantástico
- Vals perla
- La mujer blanca, Ixtaccihuatl
- Danza para la mano izquierda
- Serenata blanca
- Tambourin de Maria Luisa
- El grijalva
- Carrillón en la selva negra
- Cuatro danzas mexicanas
- Apasionada
- En las chinanpas
- Los inditos
- Veracruzana
- Ave María
María Luisa Rasgado (pf)
1995年のリリース。ピアニストのMaría Luisa Rasgado del Castillo (1929-) はカルロス・デル・カスティージョの孫娘である。このCDの最後の曲《Ave María》は彼女の結婚式のためにカルロス・デル・カスティージョが作った曲。
Evocación y Presente
BMG, RCA Victor
- Vals sentimental (Ricardo Castro)
- Vals bluette (Ricardo Castro)
- Caprice valse (Ricardo Castro)
- Danzas nocturnas (Luis G. Jorda)
- Vals causerie (Felipe Villanueva)
- Vals poético (Felipe Villanueva)
- Danza para la mano izquierda (Carlos del Castillo)
- Danza veracruzana (Carlos del Castillo)
- Danza apasionada (Carlos del Castillo)
- Sones de mi tierra (Gustavo Santaella)
- Vals romántico I (Gustavo Morales)
- Vals romántico II (Gustavo Morales)
- Vals romántico III (Gustavo Morales)
- Vals romántico IV (Gustavo Morales)
- Estudio de concierto No. 1 (Gustavo Morales)
- Preludio (Gustavo Morales)
- La llorona (Gustavo Morales)
- Rapsodia mexicana No. 1 (Gustavo Morales)
Gustavo Morales (pf)
1997年の録音。グスタボ・モラレス Gustavo Morales (1952-2006) はメキシコの作曲家・ピアニスト。
100 años de música mexicana para piano
Quindecim Recordings, QP 114
- Estudio de concierto No. 1, Op. 20 (Ricardo Castro)
- Intermezzo (Alfonso de Elías)
- Estudio de concierto No. 2, Op. 20 (Ricardo Castro)
- Allegro (Silvestre Revueltas)
- Margarita (Silvestre Revueltas)
- Canción (Silvestre Revueltas)
- Toccata (Leonardo Velázquez)
- Muros verdes (José Pablo Moncayo)
- Veracuruzana (Carlos Del Castillo)
- Danza para mano izquierda (Carlos Del Castillo)
- Sonata (José Juan Hernández)
- Preludio V (Jorge González Ávila)
- Sonata II (Federico Ibarra)
- Valse Caprice, "Sobre la Olas" (José Rolón)
- Días de Mar y Río (Arturo Márquez)
Jean Baptiste Müller (pf)
2003年の録音。