Alfredo Carrascoのピアノ曲リスト
斜字は出版がなく、かつ手稿譜も現存せず、どんな曲だか不明な作品です。
1888
- María, Mazurka マリア、マズルカ
1891
- Dolores, Mazurka ドローレス、マズルカ
1893
- Fantasía 幻想曲
- Rêverie 夢
- ¡Sin verte!, Mazurka あなたに会わずに!、マズルカ
1895
- Ilusión, Capricho 幻想、奇想曲
- Scherzo para piano a cuatro manos 連弾のためのスケルツォ
1896-1903?
- Primera mazurka マズルカ第1番
- Segunda mazurka マズルカ第2番
1897-1907?
- No sé lo que pienso, Valses 何を考えているか私には分からない、ワルツ集
1898
1902
1903
- Hoja de álbum アルバムの一葉
- Leyenda 伝説
- Nocturno No. 1 夜想曲第1番
1903-1907?
- Tarantella タランテラ
1905
1906
1906-
- Mazurka V マズルカ第5番
- Mazurka VI マズルカ第6番
1908
1910
- Hoja de álbum アルバムの一葉
- Momento musical 音楽の時
1912?
1913
- Nocturno, Op. 23 夜想曲、作品23
- Serenata de amor 愛のセレナーデ
1915
- Humoreske, Op. 22 ユーモレクス、作品22
1918
1921
1924
1924-1933?
1925?
- Crepúsculos, Cuatro danza 黄昏時、4つの舞曲
- Lila 薄紫色
- Blanco 白色
- Rosa ピンク色
- Rojo 赤色
1928
1935?
- Martita, Vals マルティータ、ワルツ
作曲年代不詳
- Preludio en forma de vals ワルツ形式の前奏曲
Alfredo Carrascoのピアノ曲の解説
1895
- Scherzo para piano a cuatro manos 連弾のためのスケルツォ
ロ短調、ロンド形式。主題が繰り返される間に、ト長調、ロ長調、ト長調の抒情的な旋律が挟まれる。後にカラスコ自身により《交響的スケルツォ Scherzo sinfónico》という曲名で管弦楽曲にも編曲された。1896-1903?
- Primera mazurka マズルカ第1番
カラスコはマズルカ第1番〜第9番を作曲したが、第5、6番は楽譜が残されていない。メキシコではポンセに次ぐマズルカ作曲家と言えよう。この第1番は変ホ長調、前奏-A-B-B-A-C-C-D-D-C-A形式。優雅で、ちょっと長閑な感じのマズルカが奏される。Bは変ロ長調、Cは変イ長調、Dはへ短調になる。1898
- Adiós...! アディオス!
カラスコの代表曲で1907年に出版された。歌詞も付けられ「カラスコのアディオス」と呼ばれ親しまれていて、スペイン語のカラオケ集でも時々見かける(!)名曲。カラスコの恋人で、後に結婚することになるMaría de la Luz Camarenaと一時別れる時に、別れを惜しんで作曲されたらしい。イ長調、A-A-B-B-A形式。最初のAはゆったりとしたハバネラのリズムにのって優しい旋律が歌われる。Bは嬰ヘ短調で、一転して嵐が来たようなffで劇的だ。それがまた、優しい最初のAに戻る所がいい感じ。1902
- Scherzo-Vals スケルツォ=ワルツ
この曲は、1909年にベラクルズ州オリザバで催された音楽コンクールで一等賞を受賞した。変イ長調、前奏-A-B-C-A-D-E-D'-A-コーダの形式。速いテンポの流れるようなワルツで、華やかな曲。Dは変ニ長調、Eは変ロ短調になる。1905
- Mazurka III マズルカ第3番
ホ短調、A-A-B-A-C-D-C-A-B-コーダの形式。Aは楽譜に "Scherzoso" と記されている通り、跳ねるような旋律が奏される。ラの音が時々#になるのが陰うつな雰囲気。Cはホ長調で、複付点音符の連続が勇ましい。1906
- Mazurka IV マズルカ第4番
イ短調、A-B-A-C-A-D-C-A-B-A形式。Aの旋律は16分音符が3オクターブを上下して優雅な美しさを湛えている(下記の楽譜)。ヘ長調のCに続きAが繰り返されて終りかと思いきや、転調の多いDや、更にC-A-B-Aと続くのは予想外の長さ。
Mazurka IV、1~12小節、Departamento de Bellas Artes del Gobierno del Estado de Jalisco.より引用1908
- En forma de vals, Estudio para piano ワルツの形式で、ピアノのための練習曲
ヘ短調、A-B-C-A-D-E-A'-B-C'-A"形式。オーギュスト・デュランのワルツの影響を感じさせるような曲で、流れるような速い右手8分音符の旋律が続き、Bは変ニ長調になって8分音符が続く。DとEは変ニ長調の中間部になり、重音の旋律が結構難しい。再現部は左手伴奏がオクターブになったり、右手旋律に16分音符の装飾が加わったりと分厚い響きと鳴る。1912?
- Romanza sin palabras 無言歌
ホ長調、A-B-A'形式。メンデルスゾーンかシューマンを思わせる後打ちの左手伴奏にのって、流れるような旋律がゆったりと奏される。Bは嬰ハ短調だが、冒頭の旋律が転調してしばしば現れる。1913
- Serenata de amor 愛のセレナーデ
ニ長調、A-A-B-C-B'-A-コーダの形式。ギター思わせる分散和音の穏やかな伴奏にのって、甘い旋律が奏される。BとCはロ短調になり、哀愁を帯びた旋律が現れる。コーダはCの旋律がニ長調のまましっとりと奏され、何とも言えぬ余韻を残して曲は終わる。この曲は後に弦楽五重奏+オルガンのためにも編曲された。1918
- Mazurka VII マズルカ第7番
嬰ヘ短調。マズルカにしては短いA-B-A形式。哀愁漂う旋律が奏される。Bの部分は、右手の旋律は3連符の下降音階で、左手ベースも半音階進行で下がっていくのが何とも悲しげ。
Mazurka VII、1~10小節、Departamento de Bellas Artes del Gobierno del Estado de Jalisco.より引用- Mazurka VIII マズルカ第8番
変ホ短調、、A-B-A-C-A形式。Aはこれまた哀愁漂う響き。Bは一応変ハ長調で、跳ねるような付点の旋律が躍動的。Cは変ト長調で、左手オスティナートにのった旋律は田舎のマズルカ風。- Segundo nocturno 夜想曲第2番
マヌエル・ポンセに献呈された。変ホ短調、A-B-C-A'形式。夜の深い闇を描いたような暗い雰囲気の旋律がゆっくりと奏される。Bはテンポを速め、右手〜左手と16分音符が吹き抜ける。A'は冒頭の旋律にショパン風の装飾音が纏わりつく。1921
- Rapsodia mexicana メキシコ狂詩曲
カラスコには珍しい「メキシコ民謡丸出し!」の作品。変ニ長調。冒頭は民謡〈小さな朝 Mañanitas〉が両手オクターブで、毎小節に派手な装飾音が付いて奏される。この開始部はポンセ作曲のメキシコ狂詩曲第2番の冒頭に似ている。〈Mañanitas〉は繰り返されながら徐々に静かになり、次に民謡〈インコ El Perico〉がイ長調で現れ、ハ長調やニ長調に転調しながら変奏される。続いて民謡〈小鳥売りの娘 La pajarera〉が高音の装飾音を伴いながら清々しく奏される。最後は民謡〈大きなソンブレロ El sombrero Ancho〉が華やかに変奏されて終わる。1924
- Melodía メロディア
変ト長調、A-B-A'-コーダの形式。私はこの曲が大好き!。後打ちのゆったりとした伴奏にのって、何とも心暖まるような旋律がのびやかに奏される。中間部は嬰ヘ短調になるが、旋律はAのとほぼ同じ。最後のコーダも余韻たっぷり。1924-1933?
- Impromtu 即興曲
ホ短調、A-B-A'-B'-コーダの形式。カラスコのピアノ曲の中でもおそらく最もピアニスティックで派手な曲(但しメキシコ風味は全くありません)。ショパンのピアノソナタ第3番の終楽章を思わせる情熱的な主題が奏され、ト長調に転調して、16分音符の重音など華やかに盛り上がる。次に同じ主題が嬰ハ短調で繰り返されるが、右手旋律はオクターブに、左手伴奏も十度の分厚い和音や、ベースと和音の幅広い跳躍など更に技巧的になり、(上手に弾ければ)演奏効果抜群だ。コーダはホ短調に戻り、冒頭の主題が少し変奏されて終る。1928
- Mazurka IX マズルカ第9番
ニ短調、A-A'-B-A-A' 形式。哀愁ある旋律が奏され、A' は左手伴奏も対旋律を成している。Bはヘ長調。- Scherzo スケルツォ
ロ長調、A-B-A'-C-D-C-A-B-A'-コーダの形式。Aはスケルツォらしい、跳ねるようなスタッカートの旋律が現れる。Bは両手共オクターブでやや重々しい。中間部にあたるC-D-Cはホ短調で、最初の旋律は陰うつだが、その後の16分音符は舞踏会のような華やかさとなる。