Emirto de Limaのページ
Emirto de Limaについて
José Maria Emirto de Lima(ホセ・マリア・エミルト・デ・リマ)は1890年1月25日、キュラソー島に生まれた。キュラソー島はカリブ海に浮かぶ小さな島で、オランダ領アンティル諸島の一つである。父親のPaul Quirino de Limaは音楽家で、キュラソー島のWellgelegen女子校で音楽教師をしていた。父からヴァイオリンとピアノを習ったエミルト・デ・リマは、14歳の時には地元オーケストラのヴァイオリン奏者をしていたとのこと。エミルト・デ・リマは十代後半の時にフランスに留学し、パリのスコラ・カントルムなどで学んだとする資料もあるが詳細不明である。
当時、コロンビア北部の都市バランキージャでは、上流階級の子女の多くが、教育水準の高いオランダ領キュラソー島の学校に渡って高等教育を受ける習慣があった。(バランキージャからキュラソー島までは約七百キロで、当時でも船に乗って1〜2日で行ける距離であった。)エミルト・デ・リマの父Paul Quirino de Limaが勤めるWellgelegen女子校でもバランキージャからの留学生たちが学んでおり、バランキージャにも分校を作って欲しいという要望があった。Paul Quirino de Limaは息子をバランキージャに派遣することに決め、エミルト・デ・リマは1910年にバランキージャに渡った(以降、彼はコロンビアに永住することとなる)。彼は音楽教師を勤めると同時に、作曲家としても活躍。1911年以降、自作のピアノ曲や歌曲が出版された。
1929年から1930年にかけては、ラジオ放送でオーケストラを指揮。また1943年にはバランキージャ・フィルハーモニー管弦楽団 (Orquesta Filarmónica de Barranquilla) の設立に尽力した。
1972年8月14日に亡くなった。
エミルト・デ・リマの作品には、オペレッタ "El Club de los solteros"(1932年初演)、ピアノ協奏曲ト短調、いくつかの管弦楽曲("Alma de lis" などの曲は1929年頃の録音が残されており、管楽器やギターなどによる小楽団向けの曲なのが分かる)、ヴァイオリン+ピアノ曲、ヴァイオリン+チェロ+ピアノ曲などがあるが、圧倒的に多いのが歌曲とピアノ曲である。 歌曲の方は「歌謡曲」と呼んだ方が相応しいリラックスした作品が多いようである。ピアノ曲は現在、楽譜も録音も一部の曲しか入手できませんが、サロンや家庭向けの気軽な小品ばかりのようである。彼のピアノ曲の特徴は、一つは冒頭の曲の始まり方が粋なことで、アウフタクトで旋律だけが始まったり、最初の和音にV度を上手に用いている。もう一つは頻繁な、しかも意表をつくような転調で、最初と最後では全く関係のない調に移っていることもしばしば見られる。
Emirto de Limaのピアノ曲リストとその解説
エミルト・デ・リマの作品の多くは、作曲年代が不詳です。下記のピアノ曲リストは大部分、1942年出版の本 "Folklore colombiano" の中に載っているエミルト・デ・リマの作品リストを元に作成しました。また年代が記されているものも、正確な作曲年ではなく、楽譜の初版年です。なお、エミルト・デ・リマの作品は殆どがA-B-Cの形式で、下記の解説も断りのないものはA-B-C形式の各部分について述べています。
1911
- 1er. Nocturno 夜想曲第1番
エミルト・デ・リマの作品で初出版されたと思われる曲。前半はヘ短調。沈み込むようなレチタティーヴォのユニゾンに引き続き、中声部に嘆くような旋律が奏される。後半は変ニ長調になり、左手3連符アルペジオの伴奏にのって、夜想曲らしい穏やかな旋律が息長く奏される。- Historia de una noche, danza 一夜の物語、ダンサ
ロ短調、前奏-A-B-C-A-D形式。哀愁漂う旋律が綿々と奏される。Dはロ長調になり、両手オクターブで華やかに終わる。- Molinares y Compañía, danza cantabile モリナレス社、ダンサ・カンタービレ
ハ長調、三部形式。16分音符が快活な前奏がまず奏されるが、続くメインの旋律は3連符混じりの南国的な雰囲気。中間部はヘ長調になる。1918
- Confidencias del corazón, pasillo 心の告白、パシージョ
嬰ヘ短調。曲名通りの、心の嘆きを切々と語るような曲。1920
- Dulce y serana, pasillo 心地良く、穏やかに、パシージョ
ヘ短調。AとBはもの悲しいが、Cはヘ長調になり優雅な雰囲気に。1925
- Recuerdos del mar, impromptu 海の思い出、即興曲
1926
- Evocaciones de Colombia pintoresca y sentimental, colección de treinta pasillos コロンビアの絵画的で感傷的な想起、30のパシージョ集
- Senda florida 花咲く小道
イ長調。冒頭のAは可憐な旋律。Bは嬰ヘ短調→イ長調。Cは楽譜にcon passione(情熱的に)と記されている通り、情熱的な告白のようなオクターブのニ長調の旋律が奏されるが、最後はイ長調で終わる。- Jardín fragante 香しい庭園
ニ長調。冒頭のAは香しい花々が咲き乱れるようないい雰囲気。Bはロ短調→ニ長調。Cはト長調で、花々の上を蝶々が舞うような優雅な旋律が奏される。- Gracia rubia 優美なアカネ
冒頭のAはニ短調で可憐な調べで、変ロ短調に転調。Cはハ短調→ハ長調。- Poesía 詩
ト長調。冒頭のAは優美な旋律だが、いつの間にかト短調になる。Bは変ロ長調、Cはト短調→ト長調。- Serenidad 平静
1920年出版の"Dulce y serana"とほぼ同じ曲。- Sortilegio 魔法
冒頭のAは嬰ヘ短調の悩ましい旋律で始まるが、いつの間にかイ長調になる。Bはヘ長調→イ長調、Cはニ長調。- Sueño de adiós 別れの夢
嬰ハ短調。哀愁溢れる旋律がしっとりと奏される。Cは嬰ヘ長調になり、ちょっと幸せな雰囲気になるが、いつの間にか嬰ト短調になって、もの悲しく終わる。- Pensativa 物思いに
イ短調。Aはもの悲しい旋律。Bはイ長調になり、高音部の両手和音アルペジオが可憐な響き。- Contemplación 瞑想
嬰ハ短調。物思いな旋律が奏される。Bはホ長調→ハ長調、Cはイ短調→ホ長調と転調する。- Juegos de amor 愛の駆け引き
- Alas de céfiro そよ風の翼
- Epifanía 公現祭
- Delectación 心地良さ
- Brumas 霧
- Cofre de raso サテンの箱
- Perla nacarada 輝く真珠
- Éxtasis 恍惚
- Idilio 田園詩
- Ensoñación 夢想
- Sonrisa niña 少女の微笑み
- Mórbida pena 病の苦悩
- Leyenda apasionada 情熱的な伝説
- Perfil romántico ロマンチックな横顔
- Cuento del mar 海の物語
- Alba lila アルバ・リラ
- La siesta de las náyades ナイアスの午睡
- Ella quiere joyas 彼女は宝石を欲しがっている
- Velo de hada 妖精のベール
- A una nuca afeitada お化粧した襟足
ホ長調。エミルト・デ・リマの曲では珍しく、力強い両手オクターブや16分音符アルペジオが駆け下りる華やかな曲。Bはハ長調。Cはイ短調→ホ長調と転調する。- Con la tarde de oro 黄金の夕方に
1928
- Ilusiones risueñas, pasillo 心地良い幻想
Mundo al día誌(1928年9月8日号)に出版。冒頭は嬰ハ短調でもの悲しい。Bはホ長調で、郷愁漂う雰囲気。Cはイ長調になる。1930
- Retrato de una viuda, pasillo ある未亡人の肖像、パシージョ
Mundo al día誌(1930年7月26日号)に出版。冒頭はイ長調で、V7の和音で始まる旋律が何とも艶かしいと思っていると、いつの間にかニ長調に転調している。Bはト長調→ハ長調、Cはイ短調→ホ長調と転調していて、不安げな雰囲気を醸し出している。作曲年代不詳
- Anhelos 熱望
- A una morena 一人の黒人の娘
- Beatriz, danza ベアトリス、ダンサ
- Camino de la dicha 幸運の道
- Capricho colombiano コロンビア奇想曲
- Carmen, bambuco カルメン、バンブーコ
- Colección de ocho preludios 8つの前奏曲集
- Colección de seis impromptus 6つの即興曲集
- Cómo miran las rubias, danza
- Elogio, gavota 称賛、ガボット
- Encantadora 魔法使い
- Ensueño fugaz つかの間の夢
- Ensueño poético 詩的な夢
- Estudio en re mayor 練習曲ニ長調
- Estudio para concierto 演奏会用練習曲
- Gloria グローリア
- Impromptu en fa menor 即興曲へ短調
- Instantes de dicha 言われた瞬間
- Intermezzo y Rondó 間奏曲とロンド
- La Batalla de Boyacá, marcha ボヤカの戦い、行進曲
- Las hijas de Turín, gavota トゥリンの娘たち、ガボット
- Lejos de la patria 祖国を離れて
- Love's ballad, poema musical 愛のバラード、音楽詩
- Marcha tropical 熱帯の行進曲
- Menuet en la bemol メヌエット変イ長調
- Narcisos negros 黒水仙
- Noches de Italia イタリアの夜
- Ojos traviesos いたずらな目
- Paisajes 風景
- Para un album 一つのアルバムに
- Pequeño poema marino 海の小さな詩
- Peregrinaciones del ensueño, colección de 25 pasillos y poemas cortos 夢の巡礼、25のパシージョと短い詩集
- Ráfagas 突風
- Recuerdos de Italia イタリアの思い出
- Scherzo Nº 1 スケルツォ第1番
- Serenata en la menor セレナーデイ短調
- Una noche en Pegli ペッリの夜
- Una tarde tropical 熱帯の夕べ
- Valse brillante Nº 1 華やかなワルツ第1番
- Valse brillante Nº 2 華やかなワルツ第2番
- Valse nostálgico ノスタルジックなワルツ
- Vals lento ゆったりとしたワルツ
Emirto de Limaのピアノ曲楽譜
Fundación DE MVSICA
- Emirto de Lima - Antología: Pasillos, danzas y canciones
- Nocturno
- Historia de una noche, danza
- Molinares y Compañía, danza
- Confidencias del corazón, pasillo
- Dulce y serana, pasillo
- Recuerdos del mar, impromptu
- Evocaciones de Colombia pintoresca y sentimental, colección de pasillos
- Ilusiones risueñas, pasillo
- Retrato de una viuda, pasillo
- Piedras del camino, bambuco
- Gencianas, pasillo
- Cantares, bambuco
Emirto de Limaのピアノ曲CD
星の数は、は是非お薦めのCD、は興味を持たれた人にはお薦めのCD、はどうしてもという人にお薦めのCDです。
Emirto de Lima Música para piano
Fundación DE MVSICA, DM-MA-HCOL005
- Molinares y Cia., danza
- Retrato de una viuda, pasillo
- Confidencias del corazón, pasillo
- Senda florida, pasillo
- Sueño de adiós, pasillo
- Gencianas, pasillo-canción
- Contemplación
- Jardín fragante, pasillo
- Ilusiones risueñas, pasillo
- Piedras del camino, bambuco-canción
- A una nuca afeitada, pasillo
- Serenidad, pasillo
- Pensativa, pasillo
- Historia de una noche, danza
- Nocturno
- Sortilegio, pasillo
- Alma de lis, pasillo
- Placito de cielo, bambuco
Haroldo Martina (pf), Juanita Delgado (soprano)
2001年の録音。
Revivamos nuestra música, 1924-1938 Diario "El Mundo al Día"
Universidad Nacional de Colombia, Departamento de Música, Facultad de Artes
- Golondrinas (Matín Alberto Rueda)
- Sabanera, Estudio para piano sobre un aire popular colombiano (José Antonio Rodíguez)
- Beatríz (Gustavo Acosta)
- Por las nubes (Emiliano González Rodríguez)
- Inesita (Jeronimo Velasco)
- Mundo al día (Matín Alberto Rueda)
- Rotativa (Roberto Medina)
- Nené (Carlos Escamilla)
- Bajo la selva (Epaminondas Gómez)
- 20 de julio (Guillermo Osorio V.)
- Muñecos (Carolina Soto)
- Inspiración (Carlos Escamilla)
- María Teresa (Marcel Dacapo)
- Pasillo No. 1 (Emilio Murillo)
- Olaya Herrera (Hernando Rico)
- Quejas del corazón (Manuel Cabral)
- Madrecita mía (Luis A. Calvo)
- Concentración nacional (Guerrero Basanta)
- Retrato de una viuda (Emirto de Lima)
- Chiguata (Arturo Pauno)
- Tardes de invierno (Ana Bohórquez Silva)
- Diana triste (Luis A. Calvo)
- Cuando caigan las hojas (Luis A. Calvo)
- El tiple (Manuel María Párraga)
- Mondoñedo (Guillermo Quevedo Zomosa)
- Otoño (Josefina Acosta)
- Rebeca (Pedro Manrique)
- Santa Marta (Juan B. Sales)
- Nuevo horizonte (Victoriano Ordóñez)
Alvaro Ordóñez (pf), Jason Ponce (pf), Paula Castaño (pf), Natalia Vesga (pf), Luis Castellanos (pf), Iván Benítez (tenor), Luisana Portaccio (pf)