Luis Antonio Escobarのピアノ曲リスト
1947?
- Sonatina para un niño 子どものためのソナチネ
1951
- Sonatilla ソナティージャ
- Calmado
- Lento
- Miniatura - Alegre
1952
- Seis pequeños preludios colombianos コロンビアの6つの小さな前奏曲集
- Allegro
- Moderato
- Andantino
- Presto
- Lento
- Allegro
-1955
- Sonatina No. 1 en un movimiento 単一楽章のソナチネ第1番
- Sonatina No. 2 ソナチネ第2番
- Allegro
- Andantino
- Allegro - Piú Lento
1957
1957-1975
- Bambuquería No. 3 バンブケリア第3番
- Bambuquería No. 4 バンブケリア第4番
- Bambuquería No. 5 バンブケリア第5番
- Bambuquería No. 6 バンブケリア第6番
- Bambuquería No. 7 バンブケリア第7番
- Bambuquería No. 8 バンブケリア第8番
- Bambuquería No. 10 バンブケリア第10番
- Bambuquería No. 11 バンブケリア第11番
- Bambuquería No. 12 バンブケリア第12番
- Bambuquería No. 13 con variaciones バンブケリア第13番 変奏付き
-1959
- Sonatina No. 3 ソナチネ第3番
1959
- Sonatina No. 4 ソナチネ第4番
- Allegro
- Adagio
- Tempo Iº
1976-
- Bambuquería No. 14 バンブケリア第14番
- Bambuquería No. 15 バンブケリア第15番
- Bambuquería No. 16 バンブケリア第16番
- Bambuquería No. 17 バンブケリア第17番
- Bambuquería No. 18 バンブケリア第18番
- Bambuquería No. 1 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第1番
- Bambuquería No. 2 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第2番
- Bambuquería No. 3 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第3番
- Bambuquería No. 4 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第4番
- Bambuquería No. 5 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第5番
- Bambuquería No. 6 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第6番
- Bambuquería No. 7 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第7番
- Bambuquería No. 8 a cuatro manos 連弾のためのバンブケリア第8番
- Preludio 1, Homenaje a Brahms 前奏曲第1番、ブラームスを讃えて
- Preludio 2 前奏曲第2番
- Preludio 3 前奏曲第3番
- Preludio 4 前奏曲第4番
- Preludio 5 前奏曲第5番
1980
1980頃
1980-
- Bambuquería No. 23 バンブケリア第23番
- Bambuquería No. 24 バンブケリア第24番
- Bambuquería No. 25 バンブケリア第25番
- Bambuquería No. 26 バンブケリア第26番
- Bambuquería No. 27 バンブケリア第27番
- Bambuquería No. 28 バンブケリア第28番
- Bambuquería No. 29 バンブケリア第29番
- Bambuquería No. 30 バンブケリア第30番
- Bambuquería No. 31 バンブケリア第31番
- Bambuquería No. 32 バンブケリア第32番
- Bambuquería No. 33 バンブケリア第33番
- Bambuquería No. 34 バンブケリア第34番
- Bambuquería No. 35 Baladilla バンブケリア第35番 小さなバラード
1981
- Imágenes de Picasso, Homenaje en el centenario de su nacimiento ピカソの映像、生誕百周年を讃えて
- Mandolina y guitarra マンドリンとギター
- Niño con una paloma 鳩を持った子ども
- Minotauro ミノタウロス
- La alegría de vivir 生きる喜び
- Fauno con diáulus ディアウロスを吹く牧神
- El sueño 眠り
- Retrato de Jacqueline Roque con rosas ジャクリーヌ・ロックと花
- Mujer con mandolina マンドリンを持つ女
作曲年代不明
- Bambuquería No. 9 バンブケリア第9番
- Variaciones a un tema de Amparo Ángel アンパロ・アンヘルの主題による変奏曲
Luis Antonio Escobarのピアノ曲の解説
-1955
- Sonatina No. 1 en un movimiento 単一楽章のソナチネ第1番
3分少々の短いソナチネ。A-A-B-B形式。コロンビアの民族舞踊「バンブーコ」のリズムによる曲で、左手〜右手に現れる8分音符スタッカートが軽快で、強いて言えばハ長調だが、中心音がはっきりしない作りだ。Aの後半は8分音符の音階が流れるように奏される。Bは6/8拍子〜8/8拍子〜6/8拍子〜4/8拍子といった感じの可変拍子で緊張感がある。- Sonatina No. 2 ソナチネ第2番
正確な作曲年代は不明だが、抒情性を排した不協和音のキツい響きは、エスコバルが米国やドイツ留学中に師事していた現代音楽作曲家たちの影響を強く感じさせていて、留学中の作品かなと思わせます。
- Allegro
ト長調またはロ短調で、無調とまでは行かずも長調とも短調ともつかない響きだ。一応ソナタ形式。拍子記号は3/4=6/8と記されている。第1主題は2拍子のユニゾンで奏される急速な旋律に、3連符の打楽器を思わせる合いの手が奏されるープロコフィエフのピアノソナタ第7番第1楽章の冒頭にかなり似ている。第2主題はバンブーコのリズムで、ファ#のオスティナートにのって短いモチーフが奏される。後半は冒頭の旋律が3連符に遮られながら断片的に現れ、第1主題の展開部とも再現部ともとれる。それに続き第2主題が今度はシのオスティナートにのって再現され、最後は3連符のリズムで終わる。- Andantino
冒頭はニ短調と思わせる素朴なモチーフが右手に奏されるが、次に繰り返される時は旋法が変わっている。後半はいくつものモチーフがポリフォニックに現れ、最後はイ短調で終わる。- Allegro - Piú Lento
三部形式。快活な旋律が右手に奏される。リズムはバンブーコ風だが、拍子が6/8→5/8→4/8→3/8→2/8→と頻繁に変わる変拍子で緊張感が途切れない。中間部は2声の旋律が無調で奏され、無機質なような気怠いような雰囲気で(冒頭と)対称的だ。1957
- Bambuquería No. 1 バンブケリア第1番
「バンブケリア」とはエスコバルによる造語であり、コロンビアの代表的な民族舞踊「バンブーコ」を素材にした前奏曲集である。1957年から晩年まで三十余年に亘りこつこつと作曲し続け、コロンビアで出版された楽譜集によるとピアノ独奏用に35曲に加え、ピアノ連弾用に8曲が作られた。またオーボエとピアノ用に5曲が作られている。ほとんどが演奏時間1〜3分程度の短い曲である。民族舞踊を元としていると言っても、米国やドイツに留学して現代音楽を習ったエスコバルらしく、調性がはっきりしないがフランス印象主義とも異なる和声が多用され、また特徴的なのが変拍子と言うかー拍子が無いに近い感じの曲が多く、第3番以外には楽譜に拍子記号が記されていない。1975年までに作曲された第1番から13番までを第1シリーズ (serie primera)、エスコバルの2番目の妻となるアンパロ・アンヘルと結婚した1976年より作曲された第14番から23番までを第2シリーズ (serie segunda) と分ける資料もある。第1番はト短調、A-A-B-B形式。Aは哀愁漂う旋律が静かに奏される。Bは変ロ長調になる。- Bambuquería No. 2 バンブケリア第2番
ニ長調、A-A-B-B形式。6/8拍子の快活なリズムだが、時々4/4や5/8拍子になるのが意表をついている。Bは左手伴奏が8分音符連続で賑やかになり、サパテアード風だ。1957-1975
- Bambuquería No. 3 バンブケリア第3番
変ロ長調、A-A-B-B形式。楽譜に4/4拍子と記載あり。穏やかな右手旋律が和音で奏され、七度や九度の和音が豊かな響きだ。Bは右手和音が半音階で上昇し、左手・右手で多調になる。- Bambuquería No. 4 バンブケリア第4番
楽譜に調号は記されていないが強いて言えばニ短調、A-A-B-B形式。冒頭はD♭7の和音で始まり魔法がかった雰囲気。Bは一時ニ長調になる。- Bambuquería No. 5 バンブケリア第5番
ヘ短調、A-A-B-B形式。流れるような旋律が和音になって奏される。- Bambuquería No. 6 バンブケリア第6番
イ長調、A-A-B-B形式。Aは高音部で奏される三度重音の旋律が可憐。Bはハ長調になり、踊りが始まったような賑やかな雰囲気になる。- Bambuquería No. 7 バンブケリア第7番
ハ長調、A-A-B-B形式。四声のコラールのような落ち着いた曲。冒頭のモチーフがあちこちの声部で現れる。- Bambuquería No. 8 バンブケリア第8番
ヘ長調、A-A-B-B形式。冒頭の3小節のみヘ短調の響きだが、その後は三度重音の素朴な旋律が奏される。- Bambuquería No. 10 バンブケリア第10番
ヘ長調、A-B-B-C-D-E形式。Aは低音と高音で爆発的にffが鳴り前奏風。引き続き軽快な旋律が奏されるが、この曲も6/8→4/8→7/8→8/8→9/8→と頻繁に拍子が変わるので緊張感がある。- Bambuquería No. 11 バンブケリア第11番
A-A-B-C形式。Aは一応ト短調でちょっとバロック風。BとCは8分音符が絶え間なく動き、両手和音交互連打やグリッサンドも現れて騒がしい雰囲気。- Bambuquería No. 12 バンブケリア第12番
一応ヘ短調、A-B-C形式。8分音符の和音連打、音階、オクターブなどが無窮動に鳴り響き、トッカータ風。- Bambuquería No. 13 con variaciones バンブケリア第13番 変奏付き
エスコバルの2番目の妻となるアンパロ・アンヘルに献呈されており、1970年台の作曲と思われる。一応ハ長調。「変奏」曲と言っても、どこからどこまでが第◯変奏と決まっている訳ではなく、冒頭の軽快なモチーフが繰り返されつつ、ヘ長調になり、静かになったと思ったら突然fでクラスターやグリッサンドが鳴ったりと自由な変奏が続く。1976-
- Bambuquería No. 14 バンブケリア第14番
1976年より作曲されたバンブケリア第14番から23番までは第2シリーズ (serie segunda) されていて、第1番から13番までの第1シリーズに比べると調性が比較的はっきりしていて分かり易い和声の曲が多い。ホ短調、A-A-B-B形式。素朴だが哀愁漂う旋律が奏される。後半Bは嘆きのようなフレーズが繰り返される。- Bambuquería No. 15 バンブケリア第15番
変ロ長調、A-A-B-B形式。Aはアンダンテのテンポで踊るような雰囲気。後半Bは鐘が鳴るような荘厳な雰囲気になる。- Bambuquería No. 16 バンブケリア第16番
変ホ長調、A-A形式。上品な振る舞いを描いたような雰囲気の曲。- Bambuquería No. 17 バンブケリア第17番
ハ短調、A-B-A-B-A形式。哀愁たっぷりの旋律が静かに奏される。Bは転調が多くて色彩的だ。最後はピカルディ終止で終わる。- Bambuquería No. 18 バンブケリア第18番
ハ長調、A-A-B-B形式。両手和音が穏やかに流れる曲。1980
- Bambuquería No. 19 バンブケリア第19番
ヘ短調、A-A-B-B形式。Aのモチーフは2オクターブを徐々に上がって行く旋律。Bはヘ長調になり、高音部の重音の旋律が爽やかな響き。- Bambuquería No. 22 バンブケリア第22番
ハ長調、A-A形式。旋律は柔らかだが、所々A♭、E、E♭、E♭mなどの和音が現れるのが不思議な響き。1980頃
- Bambuquería No. 20 バンブケリア第20番
ヘ長調、A-B-A-B形式。5/8拍子・4/8拍子が毎小節交互に変化するのが独特。Bは転調が頻繁。- Bambuquería No. 21 バンブケリア第21番
A-B-A-B形式。ゆったりとした旋律は抒情的。Aは7小節、Bは4小節と短い曲だが、その間に和音の方は変イ長調→ロ長調→イ長調→嬰ヘ長調→へ長調 と転調する。1980-
1981
- Imágenes de Picasso, Homenaje en el centenario de su nacimiento ピカソの映像、生誕百周年を讃えて
スペインの画家ピカソの生誕百周年に因んで作曲された組曲。絵画に印象を受けて作曲された組曲というとムゾルグスキー作曲の「展覧会の絵」が有名だが、エスコバルのこの作品は、絵画から受ける霊感を何とも言えぬ想像力で音にしていて、その想像の世界の豊かさはムゾルグスキーに勝るとも劣らないように個人的には思います。ピカソの絵に登場する人や物がーもの言わぬマンドリンとギターは訴えかけ、怪物ミノタウロスはのっそりと動き回り、山羊は踊り、笛の音が響くー絵画から飛び出して動き、音を奏でるような組曲である。
- Mandolina y guitarra マンドリンとギター
アルペジオにのった旋律や、和音の8分音符両手交互連打がサラリと奏される。ピカソの同作品で描かれた、ソファーに置かれたマンドリンとギターが音を出さずとも何かを訴えているような、醒めた哀愁漂う曲。- Niño con una paloma 鳩を持った子ども
左手オクターブを含む重々しい和音と、可憐な旋律が同居したような曲。- Minotauro ミノタウロス
ミノタウロスとはギリシア神話に登場する怪物で、牡牛の頭と巨大な人間の体を持ち、人間を食べるという残酷な怪物。ピカソはミノタウロスを題材にした絵をいつくも描いているが、エスコバルの楽譜には「女を凌辱するミノタウロス」の絵が添えられている。曲はfで奏される急速な音階とトリルで始まり、ミノタウロスがゆっくりと悪逆を尽くす様を破壊的な響きの不協和音や低音部オクターブで描いている。- La alegría de vivir 生きる喜び
ピカソの同作品では、山羊と人間のあいの子が笛を吹いたり、タンバリンを叩いたりしていて、その横では子山羊が踊っている。曲の冒頭は笛の音のようなモチーフがレシタティーボ風に奏され、続いて低音スタッカートのリズムにのって野性的な雰囲気の踊りが始まる。不協和音の響きが現実世界離れしたような、不思議な感覚だ。- Fauno con diáulus ディアウロスを吹く牧神
ディアウロスとは、ギリシア神話に登場する、2本に分かれた縦笛のこと。曲は笛を吹くような謎めいた旋律が伴奏なしで奏され、時々重音になったり、トリルを奏したりする。- El sueño 眠り
夢も見ずに、ただ眠りに落ちている様を描いたような曲。全音音階の上行や、多調のアルペジオなどが静かに奏される。- Retrato de Jacqueline Roque con rosas ジャクリーヌ・ロックと花
ジャクリーヌ・ロックはピカソの二番目の妻で、ピカソはジャクリーヌを題材にした絵をいくつも描いている。曲は九度の和音が多用され、音階やアルペジオがゆったりと舞う。- Mujer con mandolina マンドリンを持つ女
ゆったりと下る旋律に、アルペジオ和音が時々鳴る。