Blas Galindoについて
ブラス・ガリンド・ディマス Blas Galindo Dimas は1910年2月3日、ハリスコ州南部サン・ガブリエルに生まれた。子どもの頃は地元の少年合唱団に入り、ピアノやソルフェージュを習った。当時のメキシコ国内は、メキシコ革命と呼ばれる内戦状態で、ある日ガリンドの家に兵士がやってきて家の中は荒らされ、家財は略奪され、彼はとっさに隠れて命拾いしたが、彼の姉は殺されてしまったとのこと。
1931年に首都メキシコシティーに出て国立音楽院に入学。カルロス・チャベス、ホセ・ロロンらに師事。1933年にはヴァイオリンとチェロのための《組曲第1番 Suite No. 1》を作曲している。1934年にはイダルゴ州のEscuela Normal Rural de El Mexeで教鞭をとったが、翌1935年には同じくチャベスの弟子であったサルバドール・コントレーラス Salvador Contreras、ホセ・パブロ・モンカージョ José Pablo Moncayo、ダニエル・アジャラ Daniel Ayala に自作演奏会開催に誘われメキシコシティーに戻った。1935年11月25日、メキシコシティーのオリエンタシオン劇場で4人の作品の演奏会は催された。この演奏会でブラス・ガリンドは混成合唱のための《Caporal》、ピアノ曲《La lagartija》および《Un loco》を発表した。後に彼ら若き4人の作曲家は評論家に「四人組 Grupo de los cuatro」と呼ばれ、彼等は1940年まで共同して演奏会を催した。
1936年からはメキシコ交響楽団 Orquesta Sinfonica de México の打楽器奏者も務めた。1940年にはニューヨークで開かれる「20世紀のメキシコ芸術」博覧会に於ける演奏会のために管弦楽曲《マリアッチのソン Sones Mariachi》を作曲。この作品はチャベスの指揮によりニューヨークで初演された。
1941年夏と1942年夏にはアメリカのバークシャー音楽祭に参加し、アーロン・コープランドに作曲を師事した。
1942年から1945年までOrquesta Sinfonica de Méxicoの副指揮者を務めた。
1944年には国立音楽院の作曲家教授に就任。(教授になるための試験というものがあったそうで、ブラス・ガリンドは民族主義音楽についての論文を提出し、2週間の間に新曲作曲~ピアノのための《ソナタのためのアレグロ Allegro para una sonata》、《ピアノのための前奏曲 Preludio para piano》、《4部混成合唱のためのフーガ Fuga para cuatro voces mixtas》~を作り、最後には4時間の試験時間で《3つの管楽器のためのフーガ Fuga para 3 instrumentos de aliento》を作曲したと。チャベスやロロンらが審査したとのことである。)
1945年には、同年に亡くなったホセ・ロロンの後任として国立音楽院の和声・対位法の主任教授に就任。そして遂に1947年には国立音楽院院長に就任し、1960年まで院長を続けた。
1947年2月にはチャベス、ホセ・パブロ・モンカージョ、ロドルフォ・アルフテルらと共に楽譜出版社 "Ediciones Mexicanas de Música"を創立した。
1949年にはワルシャワで行われた第1回ショパンコンクールの審査員を務めた。
1952年にErnestina Mendoza Vegaと結婚。
1964年にはメキシコ国家芸術賞を受賞。1968年にはメキシコ芸術アカデミー Academia de Artes 会員に選出された。
ブラス・ガリンドは晩年まで作曲を続けた。1993年4月19日、メキシコシティにて死去した。
ブラス・ガリンドは多作家で、代表作として《ピアノ協奏曲1番》(1938)、バレー音楽《Entre sombras anda el fuego》(1940)、管弦楽曲《Sones Mariachi》(1940)、管弦楽曲《夜想曲 Nocturno》(1945)、《短い交響曲 Sinfonía breve》(1952)、《メキシコ序曲第1番、革命組曲 Obertura mexicana No. 1, Suite de la revolución》(1953)、《交響曲第2番》(1957)、《フルート協奏曲》(1960)、《ピアノ協奏曲第2番》(1961)、《交響曲第3番》(1961)、《ヴァイオリン協奏曲》(1962)、《エレキギター協奏曲》(1973)、《メキシコ序曲2番 Obertura mexicana No. 2》(1981) などが挙がられる。その他にも室内楽曲、歌曲、カンタータ、愛国曲などいろいろあって紹介しきれない位である。
ブラス・ガリンドの代表作は上記の管弦楽曲や協奏曲であるが、ピアノ曲も多数ある。教会旋法や12音技法を好んでいる所は現代作曲家らしいが、その中にもメキシコっぽいリズムとかメキシコ先住民の旋律かな~、といったのがあちこちに現れていて、彼が紛れもないメキシコ人作曲家であるのが聴き取ることができる。