Gerardo Guevaraのページ

Gerardo Guevaraについて

 ルイス・ヘラルド・ゲバラ・ビテリ Luis Gerardo Guevara Viteri は1930年9月30日(9月23日とする資料もある)にエクアドルの首都キトに生まれた。彼の家は貧しかったが、父はキトの国立音楽院で用務員をしていて、一家は国立音楽院の敷地に住んでいた。そのため、音楽に親しむ機会には恵まれていたらしい。

 13歳の頃に国立音楽院に入学した。院長のシクスト・マリア・ドゥラン Sixto María Durán の計らいで学費を免除してもらったとのこと。最初はオーボエを習い、その後ヴァイオリン・ピアノから和声・対位法・作曲まで勉強した。作曲はルイス・ウンベルト・サルガードに師事し、1948年頃より作曲を始めているが、すでに1950年には国立音楽院の創立50周年コンクールで、ピアノ曲《霊感 Inspiración》で作曲の一等賞をとっている。1950年から1957年までグアヤキルに住み、グアヤキル音楽院の合唱副指揮者などを務めた。1958年作曲のバレー音楽《Yaguar Shungo》で有名になり、UNESCOより奨学金を得て、1959年より妻Nancy Adoumと子を伴ってパリに留学した。パリではナディア・ブーランジェに作曲を師事した。奨学金の期間が終了した後もパリで勉強を続け、生計を立てるためにパリのムーラン・ルージュのピアニストもしていたとのこと。1967年にパリ高等音楽院を卒業、1968年にはソルボンヌ大学音楽研究所で音楽学の学位を得た。

 1972年にヘラルド・ゲバラはエクアドルに帰国(妻は「貴方の音楽はエクアドルでは理解してもらえないわ」と帰国に反対してパリに留まり、結局離婚してしまったと)。同年よりエクアドル中央大学合唱団の指揮者に就任した。同合唱団ではエクアドルやラテンアメリカの合唱曲を積極的にレパートリーに取り入れ、ペルー、コロンビア、ベネズエラにも演奏旅行に出かけた。また1973年にエクアドル作家作曲家協会を設立し、エクアドル国立交響楽団指揮者 (1972-1975)、キト国立音楽院院長 (1980-1988) などの要職を歴任した。1980年にはヨーロッパやソ連を演奏旅行した。

 1993年に脳卒中を患ったが、リハビリにより回復。1999年からはエクアドル中央大学合唱団の指揮者に復職している。

 ヘラルド・ゲバラの作品には《弦楽四重奏曲第1番〜後に、弦楽合奏のためのディベルティメント Divertimento para cuerdas に改名》(1959)、《弦楽四重奏曲第2番》(1963-4)、未完成のオペラ《La Casa del qué dirán》(1971-)、管弦楽のための《組曲エクアドル Suite Ecuador》(1972)、管弦楽組曲《エクアドルの画家達の20世紀の画廊 Galería siglo XX de pintores ecuatorianos》(1976)、カンタータ《そして、地の人々に平和を Et in Terra Pax Hominibus》(1987)、管弦楽曲《メスティーソからメスティーソへ De mestizo a mestizo》(1994) などがある。歌曲や合唱曲も多い。

 ヘラルド・ゲバラは、20世紀生まれの作曲家で、しかもパリ高等音楽院でナディア・ブーランジェに師事までしているが、彼のピアノ曲はその技術をひけらかす事なく、素朴な音楽である。エクアドルの民族舞踊・音楽のパシージョやアルバーソ、サンファニート、ダンサンテ、ユンボなどを用いたピアノ曲は素朴ながらの美しさがある。個人的には、こういう作曲家って分り易くて好きです。

 

Gerardo Guevaraのピアノ曲リストとその解説

1950

1957

1958

1963

1970

1982

1986

1992

 

Gerardo Guevaraのピアノ曲楽譜

CONMUSICA (Corporacion Musicologica Ecuatoriana)

Archivo Equinoccial de la Música Ecuatoriana

 

Gerardo Guevaraのピアノ曲CD

星の数は、は是非お薦めのCD、は興味を持たれた人にはお薦めのCD、はどうしてもという人にお薦めのCDです。

Grandes temas de música ecuatoriana

Guillermo Meza (pf), Marcelo Ortiz (pf)

 

Souvenir de l'Amérique du Sud

  • Pasillo (pasillo) (Gerardo Guevara)
  • Fiesta (albazo) (Gerardo Guevara)
  • Tonada (tonada) (Gerardo Guevara)
  • El espantapájaros (pasillo) (Gerardo Guevara)
  • Apamuy Shungo (danzante) (Gerardo Guevara)
  • I. Amanecer de trasnochada (pasillo) (Luis H. Salgado)
  • Brindis al pasado (pasillo) (Luis H. Salgado)
  • II. Romance nativo (sanjuanito) (Luis H. Salgado)
  • VI. Nocturnal (pasillo) (Luis H. Salgado)
  • Pasional (pasillo) Arrangement: Marcelo Ortiz (Enrique Espín Yépez)
  • Articulo 8 del Código Civil (pasillo) (Sixto María Durán)
  • Sumac shungulla (Bonito corazoncito) (fox-trot) (Sixto María Durán)
  • Brumas (pasillo) (Sixto María Durán)
  • Souvenir (Sixto María Durán)
  • Lamparilla (pasillo) - Arrangement: Marcelo Ortiz (Miguel A. Casares)
  • Vasija de Barro - Arrangement: Marcelo Ortiz (Miguel A. Casares)

Marcelo Ortiz (pf)

 1995年および2000年の録音。Marcelo Ortizはエクアドル出身のピアニストで、現在カナダに在住し活動中とのこと。

 

Piano Music by Ecuadorian Composers

Alex Alarcón Fabre (pf)

 2016年のリリース。

 

Pasional
Amine Records, CDA-466410

Jorge Saade Scaff (violín)*, Juan Carlos Escudero (pf)⁂, Orquesta Sinfonica de Guayaquil⁑, Orquesta Sinfonica Nacional de Honduras‡

 2017年のリリース。トラック5と8のみがピアノ独奏。

 

Música Latinoamericana II
PRODISC MEXICO, SDX27104

  • Tierra Linda (Carlos Guastavino)
  • Pampeano (Carlos Guastavino)
  • Evocación Criolla (Lia Cimaglia)
  • Entusiasmo (Luis A. Calvo)
  • Intermezzo No. 1 (Luis A. Calvo)
  • Fiesta (Gerardo Guevara)
  • Espantapájaros (Gerardo Guevara)
  • Leyenda Apasionada (Luis Duncker Lavalle)
  • La Primera en la Frente (Ernesto lecuona)
  • A la Antigua (Ernesto lecuona)
  • La Mulata (Ernesto lecuona)
  • Al Fin te Vi (Ernesto lecuona)
  • Cuatro Tonadas de Carácter Popular Chileno (Pedro Humberto Allende)
  • Traveso Polichinelo (Scorza Neto)
  • Nazarethiana IV (Francisco Mignone)
  • Nazarethiana Op. 2 (Marlos Nobre)
  • Venise (Teresa Carreño)
  • Noche de la Luna en las Ruinas (Mariando Valverde)
  • Fiesta de Pájaros (Jesús Castillo)
  • Cuiden su Vida (Manuel M. Ponce)

Silvia Navarrete (pf)

 1999年の録音。このCDの選曲は素晴らしい。ほとんど知られざる曲ながら中南米らしい楽しい曲が目白押しでお薦め◎。特にコロンビアやエクアドルの作曲家については、このCDのおかげで私もいろいろと知るきっかけとなりました。演奏も上手。

 

Midnight Conga. Piano music from latin america
Studio frohla, B-2922

森川実千代 (pf), 伊藤正美 (pf)*

 

Piano Music from Latin America, Vol. 3

Martin Söderberg (pf)

 

その他に、1958年にエクアドルでゲラルド・ゲバラ自作自演のLP "Concierto de música ecuatoriana" が出ているが、未入手です。聴いてみたいな~。

 

Gerardo Guevaraに関する参考文献