Manuel Herrarteのページ
Manuel Herrarteについて
マヌエル・エラルテ・アリアーノ Manuel Herrarte Ariano は1924年12月28日、グアテマラシティに生まれた。グアテマラ国立音楽院で、リカルド・カスティージョ Ricardo Castillo に和声を、Georgette Contouxにピアノを師事した。1944年に同音楽院を卒業すると、奨学金を得てアメリカのイーストマン音楽学校に留学し、校長で作曲家でもあるハワード・ハンソン Howard Hanson に師事した。1947年には南米演奏旅行も行った。その後も作曲家およびピアニストとして活躍し、グアテマラ国立音楽院のピアノ科主任教授を務めた。1974年2月2日に死去。
マヌエル・エラルテの作品には《ピアノと管弦楽のための序曲 Obertura para piano obligado y orquesta》(1944)、《ピアノと管弦楽のための田園シンフォニエッタ Sinfonieta campestre para piano y orquesta》(1945) があるが、他は下記のピアノ曲が主にあるのみである。楽譜が出版されているのはその内の一部のみで、更に録音となるとほんの僅かであるため、彼のピアノ曲の全貌は私も知りません。《3つの舞曲集 Tres danzas》を聴くと、マヌエル・エラルテが作曲家として、またピアニストとしていかに優れていたかを窺い知ることができ、彼の他のピアノ曲もチャンスがあったら是非聴いてみたいものです。
Manuel Herrarteのピアノ曲リストとその解説
- Andante アンダンテ
 
2分位の短い曲。A-A-B-B-A'形式。旋律と全音符または2分音符の和音が鳴るだけのシンプルな曲で、レのフリギア旋法の旋律がちょっと謎めいた雰囲気。- Children's pieces 子どもの小品集
 
- Little sheep 小さな羊
 - Nocturne 夜想曲
 - Marcia マルシア
 - Little song 小さな歌
 - Homenaje a Jesús Castillo ヘスス・カスティージョを讃えて
 - Scherzo para dos pianos 2台ピアノのためのスケルツォ
 - Six sketches (Seis bocetos) 6つのスケッチ
 
- Valsante (Volatil) バルサンテ(軽やかに)
 - Melancolico 憂うつに
 
ラ-ド-ミの和音が4分音符で静かに鳴る上で、音階の旋律が虚ろに響く。4分音符の和音は半音階進行で長調とも短調ともつかぬ生気のない雰囲気を醸し出している。- Vivo 生き生きと
 
シ♭-レ-ファの16分音符分散和音が鳴る下で、変ロ短調の旋律が奏されるのが滑稽な感じ。- Simple 素朴に
 - Sombrio 陰気に
 
左手♩. ♪♫のリズムの伴奏がオスティナートで静かに繰り返される上で、ミのフリギア旋法の音階を下りる旋律が奏される。- Festivo 陽気に
 
左手はソとレから成る2オクターブのアルペジオが無窮動で繰り返され、高音部で自由に走り回るような旋律が華やかに奏される。- Suite No. 1 (1954) 組曲第1集
 
- Barcarola 舟歌
 - Intermezzo 間奏曲
 - Movimiento 動き
 - Suite No. 2 組曲第2集
 
- Preludio 前奏曲
 - Pavana (Andante) パバーナ(アンダンテ)
 - Improvisación 即興曲
 - Scherzo スケルツォ
 - Canción de cuna 子守歌
 - Finale 終曲
 - Toccata トッカータ
 
1945年?作曲。一応ニ長調、A-A'形式。左手の8分音符オスティナートにのって、トッカータらしい16分音符の旋律がペンタトニック音階で現れる。11小節目からは旋律は早くもハ長調になって多調となり、24小節目から旋律が繰り返される所では、左手オスティナートは変ニ長調に、右手旋律はレのミクソリディア旋法と複雑な響きに。38小節目からは、新たな旋律が両手クラスター和音混じりの力強いfffで奏される。54小節目からは16分音符の両手交互重音で、ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーの最後のピアノソロに似ている。- Tres danzas 3つの舞曲集
 
3曲から成る組曲。グアテマラの民族楽器の代表であるマリンバの響きや、独特の旋法を用いてグアテマラの雰囲気たっぷりなのに加え、自身がピアニストであったマヌエル・エラルテらしい、目の覚めるようなピアニスティックな作品である。
- Allegro (Rítmico, con mucho fuego y decidido) アレグロ(とても烈しくリズミックに、決然として)
 
変奏曲風。冒頭から快活な旋律が現れる。旋律はヘキサトニック音階のヘ長調だが、左手和音のミが♭なのでファのミクソリディア旋法と言った方が正しいだろう。5小節目からはレの旋法になり冒頭に似た旋律が繰り返されるが、ここの左手の16分音符で奏される分散十度オクターブは正にマリンバの響きを思わせる。その後は伴奏音型をいろいろ変えながら、前記の2つの旋律がファの旋法〜ソの旋法〜シ♭の旋法〜ミ♭の旋法〜と次々と調が変わっていくのはとても色彩的だ。最後はファのミクソリディア旋法に戻り、旋律はピアノの最高音ドまで駆け上がり、低音ファのスタッカートで終わる。- Andantino (Ondulante con languidez) アンダンティーノ(弱々しく波打つように)
 
A-B-A'形式。左手レ-ソ-ラ-シ-ド-レの流れるようなオスティナートにのって、子守歌風の穏やかな旋律が奏される。旋律はレ、ファ、ラが♯になったり、シ、レが♭になったりして多調な響きで、幻想的な雰囲気を醸し出している。中間部では旋律が左手になり、謎めいた旋律が静かに奏される。A'では冒頭の旋律が1オクターブ高く再現され、消えるように終わる。- Presto (Chispeante con mucha vida) プレスト(生き生きと火花が飛ぶように)
 
ハ長調、A-B-A'形式。冒頭から左手の16分音符分散和音、また右手のグリッサンドや転げ回るような32分音符混じりの旋律が華やかに鳴り、マリンバの名人芸を思わせる目の覚めるような響きだ。中間部はオクターブのモチーフと、低音部和音交互連打が繰り返されて野性的。A'では右手旋律は1オクターブ低く、左手伴奏は2オクターブ低く再現され、最後は6オクターブの上行グリッサンドで華やかに終わる。- Tres piezas 3つの小品集
 
- Preludio 前奏曲
 - Vivace molto ヴィヴァーチェ・モルト
 - Toccata トッカータ
 
Manuel Herrarteのピアノ曲楽譜
Peermusic Classical
- Tres danzas para piano
 Elkan-Vogel Co., Inc.
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- Six sketches for piano (Seis bocetos para piano)
 - Six modern guatemalan composers, Compositions for piano solo
 
- Andante
 Universidad de San Carlos de Guatemala, Dirección General de Investigación (DIGI)
- Música guatemalteca para piano. Antología histórica, siglos XIX-XXI
 
- Toccata
 斜字は絶版と思われる楽譜
Manuel Herrarteのピアノ曲CD・LP
星の数は、
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Música de Guatemala a través de los tiempos
Centro de Música Digital Gesdisa
- Remembranza (Jesús Castillo)
 - Scherzo (Jesús Castillo)
 - Canción del pescador (Ricardo Castillo)
 - Patitos de Amatitlán (Ricardo Castillo)
 - Vals "A mi amada" (Ignacio Crúz)
 - Vals "Mercedes" (Ignacio Crúz)
 - Vals de Salón "Electra" (Herculano Alvarado)
 - Vals capricho español "Fiesta de pájaros" (Jesús Castillo)
 - Sonatina Op. 10: Moderato, Lento y tristemente, Festivo (Enrique Anleu)
 - La mansión de los colibríes (Héctor Dávila C.)
 - Preludio No. 1 -Allegro, Preludio No. 2 -Andante Cantabile, Preludio No. 4 -Allegro (Jorge Sarmientos)
 - Estudio en forma de marcha (Enrique Solares)
 - Pequeña balada para piano (Felipe de Jesús Ortega)
 - Danza No. 3 (Manuel Herrarte)
 - Vals "María Adela" (Joaquín Orellana)
 - Sonata "Abstracción" (Igor de Gandarias)
 Alma Rosa Gaytán (pf)
1999年のリリース。
Horizons: Piano Music of Latin America
Centaur Records, CRC 2539
- Estrelita (Manuel Ponce)
 - Cirandas #8 (Villa-Lobos)
 - Leyenda Keshua (Eduardo Caba)
 - Sonatina (Carlos Guastavino)
 - Two Tonadas (Pedro Humberto Allende)
 - Pourelle (Amaury Veray)
 - The Moon Lights Up Canción de Luna (Ernesto Lecuona)
 - Malagueña (Ernesto Lecuona)
 - Five Tristes (Julián Aguirre)
 - Three Dances (Manuel Herrarte)
 - Flora's Game Milonga Prelude (Astor Piazolla)
 - Plenas I Santa Maria (Héctor Campos-Parsi)
 Nancy Roldán (pf)
1999-2000年の録音、2001年のリリース。
Piano music of Latin America (LP)
Crossroads
- Choros no. 5 (Heitor Villa-Lobos)
 - Dansa Brasileira (Camargo Guarnieri)
 - Saudades do Brasil (Darius Milhaud)
 - Six sketches: No. 2, Melancolico; No. 3, Vivo; No. 6, Festivo (Manuel Herrarte)
 - Danza criolla (Héctor A. Tosar Errecart)
 - Próle do bebé (Heitor Villa-Lobos)
 - La comparsa (Ernesto Lecuona)
 - Corta-jaca (Fructuoso Vianna)
 - Scenas infantis: Run, run!; Ring around the rosy!; March, little soldier!; Sleeping time; Hobby-horse (Octavio Pinto)
 - Camba from Tres danzas bolivianas (Jaime Mendoza-Nava)
 - Malaguena from Andalucia (Ernesto Lecuona)
 Charles Milgrim (pf)