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Jesús Castilloについて

 ヘスス・カスティージョ・モンテローソ Jesús Castillo Monterroso は1877年9月9日、グアテマラ南西部のケツァルテナンゴ県サン・フアン・オストゥンカルコ San Juan Ostuncalco に生まれた。彼の父Gregorio Castilloは音楽家であり、また弟のリカルド・カスティージョ Ricardo Castillo (1891-1966) もグアテマラを代表する民族主義作曲家である。子ども時代のヘスス・カスティージョはおそらく父から音楽を習い、11歳の頃にはメキシコ出身の作曲家フェルナンド・ソリアにピアノを師事した。15歳の頃に父が亡くなったが、その頃には短いサルスエラの指揮をしたことがあるとのことである。

 1897年から1898年にかけて、カスティージョはグアテマラ国内の政変の混乱を避けて、ケツァルテナンゴ県の山奥のサン・マルティン・サカテペケス San Martín Sacatepéquez に住んだ。先住民が暮らす山村での経験は彼に先住民の民俗音楽への興味を沸かせ、1897年に《インディヘナ序曲第1番 Obertura indígena Nº 1》を作曲した。その後カスティージョは1905年からケツァルテナンゴの国立西部女子高等学校などで音楽を教える傍ら、民俗音楽の調査・研究やそれらの音楽に基づく作曲を続けた。1915年には時の大統領エストラーダ・カブレーラの面前でカスティージョの作品が演奏される機会もあった。

 1923年末には、マヤ文明とメキシコのアステカ文明の比較研究のためにメキシコを訪れたが、メキシコで内戦が勃発したため、一ヶ月足らずでグアテマラに帰国した。

 1917年よりカスティージョはオペラ《キチェ・ヴィナック(キチェ族の人々)Quiché Vinak》の作曲に取り掛かかった。このオペラの台本は1524年のスペイン人によるグアテマラ征服時代の民話を元にしていて、カスティージョはグアテマラの民俗音楽を用いて作曲を行い(オーケストレーションは作曲家Fabián Rodríguezによるとのこと)、大部分が完成した状態で1924年にグアテマラシティで上演された(作品全体は1925年に完成した)。汎アメリカ連合(現在の米州機構)はこのオペラの一部の楽譜をリクエストし、米国などでも演奏された。

 民俗音楽学者としては著書『マヤ=キチェの音楽 La música Maya-Quiché』 (1941) と『フォルクローレの遺産 Legado Folklórico』(1945) を上梓した。

 1946年4月23日、ケツァルテナンゴで亡くなった。

 ヘスス・カスティージョの作品を挙げると、交響詩《グアテマラ Guatemala》、交響詩《テクン・ウマン Tecún Umán》、交響詩《バルティザニック Vartizanic》、序曲《エル・ケツァル El Quetzal》などの管弦楽作品を作曲したとされているが、演奏される機会が殆ど無いため詳細は不明である。劇場作品ではオペラ《キチェ・ヴィナック(キチェ族の人々)》が代表作で、初演から約百年を経た2021年にグアテマラで再上演されている。その他にはバレエ音楽《グアテマラ Guatemala》、バレエ音楽《ラビナル・アチ Rabinal Achí》を作曲している。カスティージョは晩年にオペラ《ニクテ Nicté》を作り始めたが未完に終わっている。

 ヘスス・カスティージョは以下に記したピアノ曲を作っているが、代表作《鳥たちのパーティー Fiesta de pájaros》を除くとピアノ曲として演奏される機会は殆ど無い。彼のピアノ曲の《インディヘナ序曲第1、3、4番》は管弦楽スコアからのリダクションのようなピアノ譜であり、またカスティージョが耳にして採譜した民俗音楽を殆ど編曲せずそのままピアノ譜にしたような曲も多く、一般的な観点からは「ピアニスティック」とはとても言えないピアノ譜が多い。むしろいくつかの作品はグアテマラの国民的楽器と呼べるマリンバで演奏される機会が多く、正直な所その方がカスティージョの音楽には相応しい響きのような気がする。

 

Jesús Castilloのピアノ曲リストとその解説

 

Jesús Castilloのピアノ曲楽譜

Elkan-Vogel Co., Inc.

  • Six modern guatemalan composers, Compositions for piano solo
    • Scherzo (Evolución del son)

Universidad de San Carlos de Guatemala, Dirección General de Investigación (DIGI)

  • Música guatemalteca para piano. Antología histórica, siglos XIX-XXI
    • 2da. Suite española: I. Seguidilla, II. Bolero

Aporte para la Descentralización Cultural (ADESCA), Guatemala

Repertorio de música Vásquez A. Hermanos, Guatemala

Stich von W. Kuntzschmann, Hamburg

A. Mounot

斜字は絶版と思われる楽譜

 

Jesús Castilloのピアノ曲CD・LP

星の数は、は是非お薦めのCD、は興味を持たれた人にはお薦めのCD、はどうしてもという人にお薦めのCDです。

Música de Guatemala a través de los tiempos
Centro de Música Digital Gesdisa

Alma Rosa Gaytán (pf)

 1999年のリリース。

 

Música Latinoamericana II
PRODISC MEXICO, SDX27104

  • Tierra Linda (Carlos Guastavino)
  • Pampeano (Carlos Guastavino)
  • Evocación Criolla (Lia Cimaglia)
  • Entusiasmo (Luis A. Calvo)
  • Intermezzo No. 1 (Luis A. Calvo)
  • Fiesta (Gerardo Guevara)
  • Espantapájaros (Gerardo Guevara)
  • Leyenda Apasionada (Luis Duncker Lavalle)
  • La Primera en la Frente (Ernesto lecuona)
  • A la Antigua (Ernesto lecuona)
  • La Mulata (Ernesto lecuona)
  • Al Fin te Vi (Ernesto lecuona)
  • Cuatro Tonadas de Carácter Popular Chileno (Pedro Humberto Allende)
  • Traveso Polichinelo (Scorza Neto)
  • Nazarethiana IV (Francisco Mignone)
  • Nazarethiana Op. 2 (Marlos Nobre)
  • Venise (Teresa Carreño)
  • Noche de la Luna en las Ruinas (Mariando Valverde)
  • Fiesta de Pájaros (Jesús Castillo)
  • Cuiden su Vida (Manuel M. Ponce)

Silvia Navarrete (pf)

 1999年の録音。このCDの選曲は素晴らしい。ほとんど知られざる曲ながら中南米らしい楽しい曲が目白押しでお薦め◎。特にコロンビアやエクアドルの作曲家については、このCDのおかげで私もいろいろと知るきっかけとなりました。演奏も上手。