Emilio Murilloのピアノ曲リスト
ムリージョの各作品の作曲年は多くが不明です。作曲年が記されているものは、ボゴタの新聞 "Mundo al Día" 誌などに楽譜が載った記録に依ります。
- Pasillo パシージョ
- Nº 1 (1929) 第1番
- Nº 2 (1930) 第2番
- Nº 3 第3番
- Nº 4 第4番
- Nº 5 第5番
- Nº 6 (1930) 第6番
- Nº 7 第7番
- Nº 8 第8番
- Nº 9, Estudio de pasillo 第9番、パシージョ練習曲
- Nº 10 第10番
- Nº 11 第11番
- Nº 12 第12番
- Nº 14 (1931) 第14番
- Nº 15 第15番
- Nº 16, Bumangués (1931) 第16番、ブマンゲス
- Nº 18 第18番
- Nº 22 第22番
- Nº 30 第30番
- A Barranquilla, Pasillo
- A Girardot, Pasillo
- Aeroplano, Pasillo (1900)
- Aires de mis montañas, Pasillo (1908) 我が山々の民謡、パシージョ
- Aires del sur (Temas del sur) Nº 1 y Nº 2
- Aires del sur (Temas del sur) Nº 3 y Nº 4
- Amor (Love), Waltz 愛、ワルツ
- Amor tranquilo, Valse
- Anastasio, Pasillo (1900) アナスタシオ、パシージョ
- Arabesco
- Así es tu amor, Danza
- Baile de los indios del río Putumayo
- Ballet
- Barranquilla, Pasillo バランキージャ、パシージョ
- Barranquillera, Danzón (1931)
- Bacanal coreguaje
- Bavaria, Gavota
- Café Central, Valse
- Canto rojo, Danza
- Capricho Nº 4
- Capricho Nº 21
- Capricho Nº 23
- Caricias del alma, Danza
- Carola, Gavota (1905)
- Carrizal, Pasillo
- Circulo, Valse
- Danza apasionada, Estudio, Pasillo
- Danza de moda, Danza
- Danza Nº 1
- Danza Nº 2
- Danzón Cartagenero
- Don Quijote, Pasillo (1900)
- El chibcha
- El currito, Danzón
- Eléctrico, Pasillo (1900)
- El espinal, Bambuco エル・エスピナル、バンブーコ
- El frijolito, Aire de danzón
- El magdalena, Pasillo
- El morro, Danzón
- El tambo, Pasillo
- El vaquero, Bambuco
- El vespertino, Bambuco
- Elvira, Gavota エルビーラ、ガボット
- Enigma, Pasillo 謎、パシージョ
- Estudio, para el virtuoso Simirnoff
- Fantasia capricho Nº 3
- Fronda (Lirios), Danza フロンダ(菖蒲)、ダンサ
- Fugitiva, Danza
- Galopa de amor, One step
- Gavotta en sol mayor (1901)
- Gitana, Gavota
- Guabina Santander
- Gun club, Valses (1905)
- Hilos de oro, Valses
- Hilos de plata, Vals lento
- Horas de soledad, Pasillo lento
- Jocoso, Pasillo おどけて、パシージョ
- Junio, Pasillo 6月、パシージョ
- La bavaria, Polka バーバリア、ポルカ
- La silueta, Polka
- Leonor, Polka
- Lucero, Pasillo (1901) 明星、パシージョ
- Madrigal, Pasillo
- Margaritas, Pasillo マーガレット、パシージョ
- María Helena, Valse
- María Luisa, Minué
- Matchicha bogotana
- 2ª Matchicha bogotana
- Mi nena, Danzón
- Minueto
- Música típica colombiana, Pasillo
- Noche de luna, Pasillo
- Noches bogotanas, Valse
- Nocturno de las bandolinas
- Oriente, Pasillo (1900)
- Oxígeno, Pasillo
- Para tí, Danza (1900) 君のために、ダンサ
- Piano
- Pisahuevos, Bambuco
- Pizzicatto
- Primavera, Gavotta
- Quidol, Pasillo
- Rumichaca, Bambuco ルミチャカ、バンブーコ
- Salón olimpia, Valse
- Serenata
- Serenata india
- Sevilla, Marcha
- Silfos, Danzón
- Silver chords, Valse
- Sofia, Fox
- Sonrisas, Pasillo
- Soñando, Pasillo lento
- Tema de una vieja guabina Antioqueña
- Teresa, Valses
- Teusaquillo, Pasillo
- Torbellino
- Tu boquita, Danzón
- Weekend, Pasillo (1927) ウイークエンド、パシージョ
- Zambita, Danzón
Emilio Murilloのピアノ曲の解説
- Pasillo パシージョ
パシージョはコロンビアやエクアドルの代表的な民族音楽の一つである。19世紀初め頃に生まれ、語源は「小さなステップ」という意味で、元々は民族舞踊とその音楽であったが、19世紀末頃よりコロンビアではモラレス・ピノ、またエクアドルではシクスト・マリア・ドゥラン Sixto María Durán といった作曲家達によりサロン音楽としても発展した。20世紀になると器楽曲であったパシージョに歌詞が付けられて歌われるようになり、一方踊られることは減り、現在はコロンビアやエクアドルに加えて、パナマ、コスタリカなどの中米でも民謡として歌われている。ムリージョによる番号を付したパシージョは第30番まであり、その内、筆者は現在18曲の楽譜を入手しています。
- Nº 1 (1929) 第1番
Mundo al día誌(1929年12月14日号)に出版。ハ短調、A-B-C-A形式。速いテンポで右手8分音符の旋律が上へ下へと舞うように奏され、左手伴奏が絶妙に絡む。突然左手和音がパシージョのリズムを刻みだしたりと小気味よい曲。Bは変ホ長調。Cの部分は転調が多い。- Nº 2 (1930) 第2番
Mundo al día誌(1930年5月24日号)に出版。ハ短調、楽譜はA-B-C-D-(D.C.) となっており、ダ・カーポの後どこまで繰り返すのか記されていない。Aの旋律は軽快な下降アルペジオで、左手伴奏もずれてアルペジオを追うのが面白い(下記の楽譜)。CとDは変イ長調で、Cは落ち着いた雰囲気、DはAに似た下降アルペジオの旋律となる。
Pasillo, No. 2、1~10小節、出版元不明より引用- Nº 3 第3番
ヘ長調、A-A'-B-C-A-A'形式。旋律に付く和音がアルペジオとなっていて、優雅な雰囲気の曲。- Nº 5 第5番
変ホ長調、A-A'-B-B-Cの形式。落ち着いた雰囲気のパシージョ。I6やV9の和音の多用などが何とも暖かい響きを醸し出していて、懐かしさがこみ上げてくるような曲。Aは、高音部から和音を伴って降りてくる旋律が何とも優しい。Bの旋律も郷愁に溢れる感じのいい雰囲気。Cは変イ長調になり、そのまま終る。- Nº 6 (1930) 第6番
Mundo al día誌(1930年4月5日号)に出版。変イ長調、A-A-B-B-Cの形式。AとBはオクターブ和音混じりの旋律が華やか。Cは変ニ長調で、右手の旋律、左手の対旋律ともに流れるような響き。- Nº 7 第7番
変ホ長調、A-A-B-B-Cの形式。静かな曲で、郷愁を誘うようなしっとりとした雰囲気。Cは一時変ホ短調になる。- Nº 8 第8番
イ長調、A-B-C-Dの形式。右手の旋律が跳ねるような軽快な曲。Cはヘ長調、Dはニ長調と転調していく。- Nº 9, Estudio de pasillo 第9番、パシージョ練習曲
イ長調、A-B-Cの形式。ワルツ風で優雅。Bは両手ともオクターブが多用されているのでやや練習曲っぽいかな。Cはヘ長調になり、最後5小節になってイ長調に戻る。- Nº 10 第10番
変ホ短調、A-B-Cの形式。Aは情熱的な調べで、その最後が変ホ長調のV9の和音になってBの変ホ長調に繋がる所は粋だ。Cは変イ長調で、高音低音とも音域の広い動きで華やか。- Nº 11 第11番
ト長調、A-B-Cの形式。Aは愛嬌ある旋律。Bはパシージョのリズムが左手和音で刻まれる。CはAが変ロ長調に変わり、いつの間にかト長調に戻って終わる。- Nº 12 第12番
ニ長調、A-B-Cの形式。親密な雰囲気の曲。Bはイ長調、Cはニ短調になる。- Nº 14 (1931) 第14番
Mundo al día誌(1931年1月17日号)に出版。嬰ト短調の悩ましい曲。後半の変イ長調の部分は美しい。- Aires de mis montañas, Pasillo (1908) 我が山々の民謡、パシージョ
1908年初版。ト短調、A-B-Cの形式。下へ上へと舞うような旋律が華やかな曲。- Amor (Love), Waltz 愛、ワルツ
変ロ長調、前奏-A-B-C形式。幸せそうな旋律がゆったりと奏される。Bは女性が優雅に踊るような雰囲気。Cは変ホ長調になる。- Anastasio, Pasillo (1900) アナスタシオ、パシージョ
ニ長調、A-B-A-C-A形式。艶やかな旋律の曲。Cは、Aの旋律がニ短調に変奏される。- Barranquilla, Pasillo バランキージャ、パシージョ
バランキージャとはコロンビア北部にあるカリブ海に面した港町の名前。ニ長調、A-B-C-A形式。陽気で清々しい旋律が奏される。Bはト長調になり、左手伴奏に加えて右手旋律も♪♩ ♪♩のリズムになり躍動的。Cは変ロ長調になる。- Canto rojo, Danza
ヘ長調。ハバネラのリズムによる優雅なダンス。- El espinal, Bambuco エル・エスピナル、バンブーコ
El espinalはコロンビア中部の町の名前。A-B形式。前半Aはニ短調で、哀愁漂う旋律が奏される。後半Bはト長調になり、左手で和音を刻むリズムが陽気だ。- Elvira, Gavota エルビーラ、ガボット
Elvira Gomez de Paredeという女性に献呈された。変ホ長調、A-B-A'-C-A"形式。女性を描いたような優雅なガボット。A'では、Aと同じ旋律がロ長調で奏されるのが意表をつく。- Enigma, Pasillo 謎、パシージョ
ニ長調の静かで優雅な曲。中間部の左手の和音の半音階進行が独特。- Fronda (Lirios), Danza フロンダ(菖蒲)、ダンサ
ヘ長調、A-B-C形式。楽譜の曲名には "Lirios" と、後から書かれたと思われる "Fronda" の両方が記されている。のどかな旋律の曲。Cは変ロ長調になる。- Jocoso, Pasillo おどけて、パシージョ
ハ長調、A-A-B-B-C-C-A' の形式。道化師が芸を披露しているような、わくわくするとした軽快な曲。Cは変ホ長調になり優雅な雰囲気になる。- Junio, Pasillo 6月、パシージョ
ト長調。うきうきするような曲。- La bavaria, Polka バーバリア、ポルカ
ムリージョは当時ビール工場の経営もしていたが、対抗するビール会社Bavaria社に圧されていた。この曲はBavaria社の創立者のLeo S. Koppに献呈されている。変ホ長調、A-B-C-Aの形式。16分音符連打のおちゃめな旋律。Cの変イ長調の部分は旋律も伴奏もオクターブで勇壮。- Lucero, Pasillo (1901) 明星、パシージョ
1901年初版。初版の楽譜には詩人Florezの「11月の夜」が添えられてある。ヘ長調、A-B-C形式。右手のオクターブの旋律は思いきり情感を持って弾きたい。- Margaritas, Pasillo マーガレット、パシージョ
ト長調、A-B-C-D-E形式。楽譜ではAは "Allegretto, Dolce"、Bは "Poco Vivo -allegro con brio-"、Cは "Lento"、Dは "Allegretto Vivo. Con brio" と記されていて、緩急緩急とテンポにメリハリをつけて演奏するのが楽しそう。Dは変ホ長調になる。- Para tí, Danza 君のために、ダンサ
ニ短調、A-B-C形式。シンプルに寂しい旋律が奏される。Cは変ロ長調〜ニ長調で終わる。- Rumichaca, Bambuco ルミチャカ、バンブーコ
ニ短調、A-B(-A)形式。ルミチャカはコロンビアとエクアドルの国境の町の名。陰うつな旋律が奏される。Bはヘ長調で、8分音符の旋律がせわしなく上下する。- Weekend, Pasillo (1927) ウイークエンド、パシージョ
Mundo al día誌(1927年11月12日号)に出版。ヘ長調、A-B-C-A-Bの形式。パシージョらしい速く活発な曲。