Oswald Russellのページ
オスワルド・ラッセルはジャマイカ出身のピアノ曲を作った貴重な作曲家です。彼のピアノ曲《ジャマイカ舞曲集》は3曲通しても5分少々の短い曲ですが、親しみやすくて、いい曲ですよ。
Oswald Russellについて
オスワルド・ アルフレード・ラッセル Oswald Alfred Russell は1933年8月16日、キングストンに生まれた。彼は幼い頃より神童であったらしく、5歳の時からEna Helpsにピアノや和声を師事し、11歳頃にはピアノ演奏会に出演している。また17歳の時にラジオ番組でピアノを弾いている。
1951年に彼は奨学金を得て英国ロンドンの王立音楽アカデミーに留学し、ピアノとヴァイオリン、作曲を学んた。ロンドンでは1953年にショパンの前奏曲集に加えて、自作の《小川 The Brook》という作品を弾いたとする記録がある。その後ラッセルはフランスのパリでジャック・フェヴリエにピアノを師事、更に1959年には米国ニューヨークのジュリアード音楽院に入学してエドゥアルト・シュトイアーマンにピアノを師事した。1962年にジャマイカに一旦帰国して音楽教師として働くが、1964年よりはスイスのジュネーヴに居を構え、ジュネーヴ音楽院で更にピアノと作曲を学んだ。1965年にはスイス・ロマンド管弦楽団との共演でラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》を演奏し、また同年にロンドンのウィグモア・ホールでピアノリサイタルを催した。1967年にはフランスのリヨンで催された第一回即興演奏国際コンクールのジャズ部門とクラシック部門で一等賞を得た。1969年には映画《古い月 Les vieilles lunes》の音楽を作曲し、カンヌ映画祭に出品された。1971年にジュネーヴでスイス人のDanielleと結婚し、一人娘をもうけた。
彼はピアニストとして活躍し、ラヴェルの《夜のガスパール》を演奏したLPとモーツァルトの《3台のピアノのための協奏曲 K. 242》を演奏したLPが残されている。またジュネーヴ音楽院教授およびジュネーヴのジャック=ダルクローズ研究所 L'Institut Jaques-Dalcroze の教授を1999年に退職するまで務めた。
2012年7月2日にジュネーヴで亡くなった。
ラッセルの作品には、《D'Alpha en Alpha》(1970) などのバレー音楽、管楽アンサンブルのための《カリビアン Caraïbes》(1989)、イングリッシュホルンとオルガンのための《幻想曲 Fantasy》(2009)、映画音楽、ジュネーヴのマリオネット劇場と共同して制作したいくつかの人形劇の音楽、器楽曲がある。そして下記のピアノ曲がある位しか私も知りません。また彼の即興演奏ってどんな感じだったのだろう?。
Oswald Russellのピアノ曲リストとその解説
- Jamaican dances (1970?) ジャマイカ舞曲集
3曲から成る《ジャマイカ舞曲集》はジャマイカ出身のラッセルらしい、故国の民謡をピアノ曲にした組曲である。
- Allegro moderato
左手の伴奏も右手の旋律もシンコペーションが生き生きとした跳ねるような曲。ト長調だが、冒頭はベースの音がシなのでロ短調にも聞こえる。1分足らずの曲だが、変ニ長調~ヘ長調~嬰ヘ長調~ト長調と目まぐるしく転調していく。- Andante moderato
ホ長調。私のお気に入りの一曲です!。この曲では民謡《サミーが亡くなった Sammy Dead》の旋律を用いている。《サミーが亡くなった》はジャマイカの歌手エリック・モンティー・モーリスが歌うスカのリズムの空元気なバージョンが有名だが、ラッセルのこの曲はモーリスとは対照的な、原曲の核心にせまるようなアレンジである。右手シの音のオスティナートのリズムにのって、素朴な民謡の旋律が静かに歌われる。繰り返しの2回目は音が厚くなり、サビの部分は2つの旋律が絡み合って盛り上がり感動的!。ジャマイカ出身のピアニスト、ポール・ショウは、この曲を通して続いている右手シ音のオスティナートはサミーの心拍の音で、このオスティナートが曲の最後に消えるのはサミーの死を表現していると述べている。- Allegro
嬰ヘ長調。民謡《ロコンバイン Rookoombine》が明るい響きで奏される。曲はト長調~変イ長調と転調しながら華やかに変奏される。- Humoresque No. 1 (1983) ユーモレスク第1番
- Papillons 蝶々
ジュネーヴ音楽院の学生のオーディションのために作られた曲らしい。A-A'-B-A"-コーダの形式。幻の蝶々が飛び回っているような幻想的な曲で、長七長九の和音、全音音階などを多用した印象主義的な響きだ。Bは中音部内声に旋律が現れ、高音部に蝶々が舞うような16分音符が奏される。- Berceuse (1993) 子守歌
Oswald Russellのピアノ曲楽譜
Éditions Henn
- Jamaican dances
- Humoresque No. 1
Oxford University Press
- Piano Music of Africa and the African Diaspora, Volume 3 (early advanced)
- Jamaican dances No. 2
- Papillons
- Piano Music of Africa and the African Diaspora, Volume 5 (advanced)
- Humoresque No. 1
Oswald Russellのピアノ曲CD
星の数は、は是非お薦めのCD、は興味を持たれた人にはお薦めのCD、はどうしてもという人にお薦めのCDです。
Le Grand Tour
- La conga de medianoche (Ernesto Lecuona)
- Pequeño preludio (Hector Campos-Parsi)
- Danza negra (Ernesto Lecuona)
- La guayaba (Manuel Saumell)
- Variations on a theme by E. Clement Bethel (Cleophas R. E. Adderley)
- Feuillet d'Album No. 1 (Ludovic Lamothe)
- 3 Jamaican Dances (Oswald Russell)
- Guadalquivir (Ernesto Lecuona)
- Nostalgia (Wim Statius Muller)
- Nibo (Ludovic Lamothe)
- Evenin' time (arr. Paul Shaw)
- Improvisations on Jackass a Jump and Bray (Paulette Bellamy)
- Kalin (Wim Statius Muller)
- Malagueña (Ernesto Lecuona)
Paul Shaw (pf)
1999年の録音。
Senku
MSR Classics, MS 1054
- Talking Drums (Joshua Uzoigwe)
- 3 Jamaican Dances (Oswald Russell)
- Scherzo (Coleridge-Taylor Perkinson)
- Deep Rivers (Samuel Coleridge-Taylor)
- Margaret Bonds: Troubled Waters (Margaret Bond)
- Variations on an Egyptian Folksong (Gamal Abdel-Rahim)
- "In the Bottoms" Suite (Robert Nathaniel Dett)
- Gyimah Labi: Earthbeats, Op.22 (Gyimah Labi)