Fructuoso Viannaのピアノ曲リスト
1920
1922
1923
1924
- Dansa de negros, Op. 2 N.º 1 黒人の踊り、作品2ー1
- Prelúdio N.º 2, Op. 3 N.º 1 前奏曲第2番、作品3ー1
1925
1927
1928
- Berceuse do Sabiá, Op. 3 N.º 2 サビアの子守歌、作品3ー2
- Capricho, Op. 5 奇想曲、作品5
- Toada N.º 1, Op. 4 N.º 1 トアーダ第1番、作品4−1
- Toada N.º 2 トアーダ第2番
1929
- Prelúdio N.º 3 前奏曲第3番
- Jogos pueris 子供の遊び
- Alegremente
- Alegremente
1929-1933
- Peças infantis 子供の組曲
- Passeio matinal 朝の散歩
- O pequeno oriental 小さな東洋
- Tanguinho タンギーニョ
- Toada トアーダ
- Negrinha 黒人の女の子
- Roda das flôres (1930) 花々の輪
1931
1932
- Acalanto, Peça infantil na clave de sol 子守歌、ト音記号の子どもの小品
- Toada N.º 4 トアーダ第4番
- Homenagem a Sinhô シニョーへのオマージュ
- Sete miniaturas sobre temas brasileiros ブラジルの旋律による7つのミニチュア
- Canto infantil 子供の歌
- Dança de negros 黒人の踊り
- Canto de negros 黒人の歌
- Canto de trabalho 労働の歌
- Dança caipira 田舎の踊り
- O pregão (Rio de Janeiro) 物売りの声(リオデジャネイロ)
- Tanguinho タンギーニョ
1934
1935
1938 (1940?)
1943
1944
- As três irmãs 3人の姉妹
- Beatriz ベアトリス
- Perola ペロラ
- Rubia ルビア
1945
1946
1949
1957
1959
1963
1964
- Dançando 踊りながら
1965
1970
作曲年代不詳
- As rãs カエル
- Miau, Polka ニャオ〜、ポルカ
- Prelúdio em fá# maior 前奏曲、嬰ヘ長調
- Valsa (quase popular) ワルツ(ポピュラー風に)
Fructuoso Viannaのピアノ曲の解説
1920
- Prelúdio N.º 1, Op. 1 前奏曲第1番、作品1
リオデジャネイロ文化協会作曲コンクールで2等賞を得た作品。ホ短調。オクターブ和音の悲劇的な雰囲気の8小節の旋律が奏され、この旋律が両手和音~高音3連8分音符アルペジオ~両手和音~両手6連16分音符のアルペジオ、と音量を増しつつ変奏される。1922
- Serenata espanhola スペインのセレナーデ
三部形式。調号は嬰ヘ短調だが、旋法はド#のフリギア調でフラメンコの情景を連想させるような響き。リズムも8/9拍子だが、細分すると2-2-2-3の変拍子になっているのが面白い。中間部は嬰ヘ長調になり、フラメンコのカンテ (Cante)を思わせるゆったりとした歌が現れる。和声、旋法、装飾音の使い方などにスペインの作曲家アルベニスの後期の作風を感じさせる曲だ。(それだけヴィアナがアルベニス後期の高度な作曲法を会得していたということです。)1924年にはAlfred Golfinにより管弦楽にも編曲されている。1923
- Variações sobre um tema popular 民謡の主題による変奏曲
ブラジル童歌〈ビトゥ、こっちに来なさい Vem Cá, Bitú〉または〈落ちるよ、落ちるよ風船が Cai, cai, balão〉(2つとも旋律は同じ童歌)を主題に作られた変奏曲。先輩作曲家のアレシャンドリ・レヴィが1887年に、"Vem Cá, Bitu" を主題にしたピアノ曲「ブラジル民謡の主題による変奏曲」を既に作曲していて、またルイス・レヴィも1894年作曲の「ブラジル狂詩曲第1番」で "Vem Cá, Bitu" の旋律を用いている。ヴィアナのこの作品はイ長調。冒頭は第1変奏でギターを思わせるアルペジオの中から主題が聴こえてくる。第2変奏はイ短調になり、右手旋律にアルベルティ・バスの反行形が纏わりつく。第3変奏はイ長調に戻り、シチリアーナのリズムとなる。第4変奏はラのフリギア旋法とドリア旋法の混合になり、高音部のグリッサンドやアルペジオが煌めくように奏される。第5変奏は左手低音のシンコペーションの勇ましいリズムにのって、ラのリディア旋法で旋律が奏される。第6変奏は気怠い半音階の旋律が三度重音で奏される。第7変奏はイ長調になり、高音部に三度重音の旋律が可憐に奏され、後半はイ短調になる。第8変奏はイ短調の寂しげな雰囲気の旋律になる。第9変奏はイ長調になり、高音部で跳ねるような変奏。第10変奏は前の変奏のままイ短調に転調する。第11変奏はイ短調で、左手アルペジオの伴奏にのって右手旋律が静かに奏される。第12変奏はイ短調で情熱的に旋律が歌われ、最後にイ長調に戻ると全音音階を多用した印象派風の響き。1924
- Dansa de negros, Op. 2 N.º 1 黒人の踊り、作品2ー1
ブラジルでは1888年に奴隷制が廃止されるまでにアフリカなどから約350万人の黒人奴隷が連れてこられた。ブラジル料理の「フェイジョアーダ」から「サンバ」のリズムに至るまで、黒人がブラジル文化に与えた影響は大きく、ヴィアナが「黒人の踊り」をピアノ曲にしたのも正にブラジル的と言えよう。彼の代表作と言っていい躍動的で生き生きとした曲だ。曲はソのミクソリディア旋法で始まる。冒頭の野性的なリズムにのって、右手にオクターブの力強い旋律が奏される。その後はシ♭やミ♭のミクソリディア旋法への転調を経て、中間部はミ♭のリディア旋法が呟くように奏される。これも段々盛り上がり、ffのグリッサンドを経て再現部へ戻り、爆発的に両手連打の強奏で終る。なおこの曲は1984年に、ミニョーネにより管弦楽にも編曲された。1925
- Le Petit Robinson, Op. 3 N.º 4 小さなロビンソン、作品3ー4
レのドリア旋法、A-B-A'形式。軽快な3連符の伴奏にのって高音の跳ねるような旋律が奏される。中間部は華やかに盛り上がる。1927
1928
- Berceuse do Sabiá, Op. 3 N.º 2 サビアの子守歌、作品3ー2
「サビア」とは、つぐみ科の鳥の名前で、その美しい鳴き声でブラジルの代表的な小鳥であるとのこと。イ短調。ぽつぽつと語りかけるような寂し気な子守歌。半音階や全音音階の多用が印象派風の響き。所々で聞こえる「サビア」のさえずりが何とも悲しげ。- Capricho, Op. 5 奇想曲、作品5
変イ長調、A-B-A-C-A形式。Aの部分は鳥のさえずりが聴こえてくる長閑な光景が思い浮かぶような感じ。BとCはショーロのリズムが挟まれる。ピアノ独奏版以外に2台ピアノ版もある。- Toada N.º 1, Op. 4 N.º 1 トアーダ第1番、作品4−1
トアーダとは主にブラジルの中部〜南部で歌われる民謡の一つのジャンルで、一般的に単純なメロディーに自然や故郷を歌う哀愁のこもった歌である。ヴィアナは《トアーダ》を1番から7番まで作った。うち3番のみが歌曲で、他はピアノ曲である。高音部で奏される前奏・後奏に挟まれ、「トアーダ」が歌われるという構成の曲が多い。第1番はイ短調、A-B-A形式。前奏Aは高音部の急速な音階のモチーフ。中間部Bに現れる民謡風の旋律はイ短調とハ長調が揺れ動き、素朴で哀愁漂う響き。- Toada N.º 2 トアーダ第2番
ト長調。鳥のさえずりを思わせる幻想的な上行アルペジオの前奏に引き続き、活気ある踊りのような主題がミクソリディア旋法で奏される。最後に前奏の部分が再現されて終わる。1929
- Prelúdio N.º 3 前奏曲第3番
A-B-A'形式。左手の沈みこんで行くような伴奏にのって、4/2拍子の息の長い二声~三声の旋律が神秘的に奏される。Aは変ロ長調、Bは冒頭のモチーフを使いつつも調性ははっきりせず、A'は変ホ長調で最初の息の長い旋律が再現される。- Jogos pueris 子供の遊び
短い3曲から成る組曲。全体的にペダルの使用による和音の透明な響きを重視していて、印象派風ながらも響きは明るい。モンポウのピアノ曲ー特に「子供の情景」ーの影響を感じます。第1曲Alegrementeはヘ長調、三部形式。ほのぼのとした楽しい旋律の曲で、十度の和音を多用した響き。中間部は変ロ長調になる。第2曲は三部形式。変ロ長調とニ短調が揺れ動き、伴奏は半音階進行で不安定な雰囲気の曲。第3曲Alegrementeは変ロ長調、三部形式。愛嬌ある曲。中間部は変ホ長調になり、ブラジル童謡 "Vamos, maninha" の旋律が現れる。
- Alegremente
- Alegremente
1929-1933
- Peças infantis 子供の組曲
- Passeio matinal 朝の散歩
- O pequeno oriental 小さな東洋
- Tanguinho タンギーニョ
ハ長調、A-B-B'-A形式。「タンギーニョ」とは「小さなタンゴ」という意味で、ナザレのタンゴ・ブラジレイロを思わせる雰囲気の曲。二声で書かれている。シンコペーションが愉快なAに続いて、活気ある旋律Bが奏される。- Toada トアーダ
ト長調。作曲家Luiz Ramos de Limaの旋律を主題にした曲で、素朴な旋律が静かに奏される。- Negrinha 黒人の女の子
- Roda das flôres (1930) 花々の輪
イ長調、A-B-C-C'-B-A'形式。穏やかなアルペジオの伴奏にのって、可憐な旋律が奏される。CとC'は冒頭Aの旋律がイ短調になって変奏される。1931
- Corta-Jaca (Dança popular brasileira) コルタ・ジャッカ(ブラジル民族舞踊)
"Dansa de negros" と並ぶヴィアナの代表作。ヘ短調、三部形式。冒頭から左手の16分音符シ♭↓ラ♭↓ド↑ラ♭↓ソ↓ド↑ファ↓ドという独特の音型が無窮動に続く。この音型を速く弾き続けるのが結構難しく、楽譜には作曲家自身による運指 b) とソーザ・リマによる運指 a) の両方が記されている(下記の楽譜)。これにのって右手にペンタトニックの下降音型が雷のように響く。
Corta-Jaca (Dança popular brasileira)、1〜6小節、Irmãos Vitaleより引用
12小節目からは短いが勇ましい民謡風の旋律が現れる(下記の楽譜)。
Corta-Jaca (Dança popular brasileira)、13〜15小節、Irmãos Vitaleより引用
中間部は変イ短調になり、哀愁を帯びた旋律がゆったりと奏される(下記の楽譜)。
Corta-Jaca (Dança popular brasileira)、41〜42小節、Irmãos Vitaleより引用
更に変ロ短調に転調してからは最初に現れた勇ましい旋律が形を変えてゆっくりと奏される(下記の楽譜)。再び速い再現部が繰り返され、fffの和音強打で終わる。
Corta-Jaca (Dança popular brasileira)、51〜52小節、Irmãos Vitaleより引用1932
- Acalanto, Peça infantil na clave de sol 子守歌、ト音記号の子どもの小品
楽譜上はハ短調だが、調性はぼやけた感じで、不思議な響きの小品。- Toada N.º 4 トアーダ第4番
へ長調、A-B-A'形式。冒頭は子守歌のような静かなシンコペーションの左手伴奏にのって、旋律がファのミクソリディア旋法で奏され素朴な響き。Bの「トアーダ」はのどかなイイ雰囲気。- Homenagem a Sinhô シニョーへのオマージュ
伝説のサンバ王と呼ばれる作曲家シニョーへのオマージュとして作られた曲。変ニ長調。12小節の郷愁溢れるような旋律が奏され、旋律がオクターブになる変奏~左手伴奏が多調になる変奏と奏される。- Sete miniaturas sobre temas brasileiros ブラジルの旋律による7つのミニチュア
ブラジルの詩人・民俗学者・音楽評論家であるマリオ・ジ・アンドラージが1928年に著した『Ensaio sôbre a música brasileira』に収められた、ブラジルの民謡や童謡の旋律を元に作られたこの組曲は、"Dansa de negros" や "Corta-Jaca" のような華やかさはないものの、ブラジル民衆の日常の世界に奥深く踏み込んだ作品である。7曲の組曲という規模はヴィアナのピアノ曲中最大であり、彼の作曲家としての「魂」がこの曲集にこそ込められていると私個人的には思っています。この組曲は1986年にカマルゴ・グァルニェリにより、"Homenagem a Fructuoso Vianna(フルクトゥオーゾ・ヴィアナへのオマージュ)" という題名でピアノと弦楽オーケストラのために編曲された。
- Canto infantil 子供の歌
ヘ長調、A-B-A'形式。Aの旋律はブラジルで歌われている子守歌《ムカマ・ボニータ》である(ブラジルでは「ムカマ mucama」とは女性黒人奴隷の召使いのことで、家事労働や乳母、時には奴隷主の妾もさせられていた)。素朴な優しい旋律が奏され、伴奏はI6やV9の和音がペダルで響かせながら静かに鳴り、微妙に和音が遷ろうのが美しい。Bの旋律はファのミクソリディア旋法になって幻想的。- Dança de negros 黒人の踊り
変ニ長調、A-A'形式。アフリカの熱狂的な踊りを思わせるリズミックな曲、ソ-ラ♭の減二度の不協和音が特徴的。- Canto de negros 黒人の歌
嬰ヘ長調、前奏-A-A'-後奏の形式。冒頭のppで奏される16分音符アルペジオはドビュッシーを思わせる和音だ。I6のアルペジオにのって呟くような旋律が中音部で奏される。- Canto de trabalho 労働の歌
イ長調、A-A'形式。全曲p~ppで奏される。優しい和音の繰り返しにのって、農民が鍬で畑仕事でもしながら歌うような旋律が静かに歌われる。広大なブラジルの大地が目に浮かぶよう。- Dança caipira 田舎の踊り
ニ長調、A-B-A'形式。題名通りの田舎の素朴な踊りを彷佛させる曲。7小節または9小節の旋律が繰り返されるが、いずれも繰り返しでドが#から♮(すなわちレのミクソリディア旋法)に変わる所が民謡らしい感じでいい。- O pregão (Rio de Janeiro) 物売りの声(リオデジャネイロ)
ホ長調、A-B-A'形式。リオデジャネイロの街角の光景をそのまま音にしたような、何とも趣き深い曲。冒頭は左手6/8拍子のヨタヨタと歩くような伴奏にのって、右手2/2拍子(要するにポリリズムだ)の物売りの声を模した旋律が奏される。楽譜にも右手の音符上に "Cocada, É de côco, É de côco da Bahia" と記されている。(Cocadaはココナッツの菓子、côcoは椰子の実、côco da Bahiaはココ椰子のこと。)中間部Bは "Cantiga de Carnaval(カーニバルの歌)" と記され、シンコペーション混じりの歌がゆったり奏される。その後は物売りの声の旋律が繰り返され、段々物売りは遠くへ去っていくようにディミヌエンドして終る。- Tanguinho タンギーニョ
変ロ短調、A-A'形式。タンゴというかミロンガ風の哀愁漂う曲。1934
- Valsa N.º 1 ヴァルサ第1番
ヴィアナは1934年より1959年にかけて全6曲のヴァルサを作った。何故か第1番が最も複雑で技巧的で、その後第2番、第3番・・・と進むことに段々単純な作りになっていく。第1番は変ホ短調、A-B-C-B-コーダの形式。哀愁漂う旋律は所謂「ブラジル風ワルツ Valsa brasileira」だが、四声や五声にも及ぶ複雑に絡んだ対旋律や、半音階進行や多調を含んだ不協和音など高度な作りとなっていて、同時期のミニョーネのそれに比べ難解である。BとCは主旋律・対旋律共に両手オクターブとなり、その下の低音で鳴るオクターブバスは(演奏上)しばしば前打音となって弾かれるので音楽がストレートに進まず、派手で大げさな響きとなる。1935
- Valsa N.º 2 ヴァルサ第2番
イ短調、A-B-B'-A形式。フルートを思わせる主旋律、低弦(7弦)ギターを思わせる対旋律(コントラポント)風のベース、その間の中音部にもう一つ対旋律が加わって三声が絡み合う、正にショーロの即興演奏のような作りの曲である。哀愁漂う雰囲気は感じられるのだが、旋律や対旋律の半音階進行や突拍子もない和音進行がかなり凝っていて、正直な所、難解な響きだ。1938 (1940?)
- Valsa N.º 3 ヴァルサ第3番
イ短調、A-B-A'形式。単純な伴奏にのった寂しげな旋律で始まるが、間もなくコントラポントが絡んで三声〜四声とポリフォニックになる。Bは左手オクターブが旋律のように動き、右手装飾音も加わり盛り上がる。1943
- Toada N.º 5 "Gaúcha" トアーダ第5番「ガウチョ」
嬰ヘ長調、A-B-A-C-A形式。題名通りの、ブラジル南部のパンパ(大平原)のガウチョ(ブラジルの牧童)の光景が目に浮かぶような曲。馬のギャロップを思わせる愛嬌ある前奏Aに引き続き、のびやかな牧歌的な旋律Bが奏される。後半Cは嬰ヘ短調になり哀愁漂う。- Seresta セレスタ
変ロ短調。ゆったりと切ない旋律が高音部で繰り返される。中声部に現れる対旋律が半音階的で凝った響きだ。歌、フルート、ギター、ファゴット(またはチェロ)によるアンサンブルの版もあるらしい。1944
- As três irmãs 3人の姉妹
子供の世界を描いたような愛らしい小品。ただし技巧的には中級レベルで和音も凝っており、子供が弾くにはやや難しい。第1曲Beatrizはワルツで変ホ長調、三部形式。甘えるような半音階の部分とスタッカートの飛び跳ねるような部分が4小節毎に交互に現れる。中間部はハ短調になり、これもゆったりとしたワルツとオクターブの跳躍が交互に奏される。第2曲Perolaはト長調、快活な曲。第3曲Rubiaはロ長調、シューマンを思わせる抒情的な旋律がゆったりと奏される。
- Beatriz ベアトリス
- Perola ペロラ
- Rubia ルビア
1945
1946
- Prelúdio N.º 4 前奏曲第4番
ハ短調、三部形式。3/2拍子の息の長い、憂鬱な旋律が中声部に奏され、高音部からアルペジオの伴奏が降ってくる。中間部は変ホ長調で、さっきとは逆に左手の幅広いアルペジオにのって高音部オクターブの旋律が、熱情的かつロマンティックに奏される。憂愁に満ちた甘い和声の雰囲気はラフマニノフっぽいかな。- Toada N.º 6 トアーダ第6番
ヘ長調、A-B-A'-コーダの形式。Aはゆったりとしたシンコペーションのリズムにのって、静かな旋律が奏される。Bはヘ短調になり、上行音階の旋律が繰り返されつつ情熱的に盛り上がる。1949
- Valsa N.º 5 ヴァルサ第5番
イ短調。ミニョーネあたりの"Valsa brasileira"の雰囲気を感じさせるが、和音は複雑で、ベースが半音階進行しながら不協和音がかっていて魔法的。中間部は多調で奏される。1957
1959
- Valsa N.º 6 ヴァルサ第6番
変ロ短調、A-B-A形式。和音は比較的分かりやすく聴きやすい響きの曲。しっとりと歌われる旋律は哀愁たっぷりで、主旋律と対旋律の掛け合いもいい感じ。Bは低音部でギターのつま弾きを思わせる旋律が奏され、続いて同じ旋律がフルートを思わせる高音で奏される。曲の最後のアルペジオはギターの開放弦の音を模している。1963
- Valsinha N.º 1 小さなワルツ第1番
ハ長調、A-A'-A"形式。ピアノ初心者向けの簡単な曲で、ブラジル風味は全くない。左手に流れるような旋律が奏され、右手に後打ちのワルツのリズムが刻まれる。A'とA"は、旋律がAの変奏になっている。- Valsinha N.º 2 小さなワルツ第2番
ハ短調A-B-A'形式。この曲もピアノ初心者向けの簡単な曲。Aは左手ワルツの伴奏にのって寂しげな旋律が奏される。Bは旋律は左手で奏される。1965
- Schumaniana シューマン風に
ピアニストのCirstina Ortiz(当時まだ15歳)に献呈された。ヘ長調、三部形式。曲名通りシューマンを思わせる曲調で、抒情的な旋律が静かに奏される。中間部はイ短調で、二声の旋律がカノン風に奏される。1970
- Intermezzo 間奏曲
1分半程の短い曲。変イ長調、A-B-A形式。Aは旋律・伴奏共に単音の単純な作りだが、旋律はしばしばラ♮シ♮レ♮ミ♮が混じる謎めいた響き。Bは変イ短調になり、8分音符スタッカートの旋律が現れる。作曲年代不詳