Aurélio Cavalcantiのピアノ曲リスト(アルファベット順)
アウレリオ・カヴァウカンチのピアノ曲は調べた範囲で、下記の324曲がリストアップされました。殆どの作品は正確な作曲年は不明ですが、多くの作品で初版年が分かっており、判明した範囲で初版年を記載しました(初版年不明な作品は?としています)。下記の黄色枠のリストはアルファベット順とし、その下の「Aurélio Cavalcantiのピアノ曲の解説」の所を楽譜初版の年代順リストとしました。アルファベット順リストの曲名の所をクリックすると、楽譜初版の年代順リストの該当曲に飛ぶことが出来ます。
「曲名」のところで斜字で記されている曲は、出版社のカタログや当時の雑誌の記事などで曲が存在したことが分かっているものの、現在楽譜が見つかっていない作品です。カヴァウカンチが最も活発に作品を発表していた1898年前後に作曲された54曲には作品番号(最小は作品96、最大は作品300)が付いているが、作品番号のある作品の中で一番最初(1894年)に出版された曲は《Arrependida, Valsa, 作品288》である。1894年時点で(後年に出版される曲も含めて)彼が既に288曲を作っていたのか、または作品番号が必ずしも作曲順ではなかったのか、もしくはこの曲の初版年を1894年とするのが誤りなのかは不明です。
Aurélio Cavalcantiのピアノ曲の解説(楽譜初版の年代順)
アウレリオ・カヴァウカンチの作品の多くはロンド形式(A-B-A-C-A形式で、各部分は繰り返しをすることもある)だが、楽譜ではA-B-A-Cまで記され最後にダ・カーポ(D.C.)またはダル・セーニョ記号があるものの、その後の繰り返しの終わりの場所の表示 (Fine) が無いことがしばしばあります。その場合はA-B-A-C-A-?などと表記しました。これはエルネスト・ナザレやシキーニャ・ゴンザーガなどの作品の楽譜にも見られる現象で、それらの曲は舞踏会やパーティーのバックグラウンド・ミュージック扱いで、当時の演奏者は会の流れに合わせて臨機応変に音楽を繰り返し続けたり終わらせていたため、そのような楽譜になっていたと推測されます。
1890
- Muchacha, Valsa hespanhola 女の子、スペインのワルツ
カヴァウカンチの出世作であり、当時は人気の作品となって楽譜は重版を重ねたとのことである。カヴァウカンチは筆者が確認できた範囲では、副題を「スペインのワルツ」としたピアノ曲を18曲作っているが、これらは実際にはスペインの3拍子の舞曲「ホタ」である。ト長調、A-A-B-A-A-C-A形式。Aの冒頭はホタらしく3拍子を確定するようなリズムが4小節奏され、そのリズムにのって3連符や前打音が混じった明るい旋律がオクターブで高らかに奏される。Bはハ長調になり、旋律が和音連打になったりして、ロンダーリャと呼ばれる小楽団の合奏のような賑やかな雰囲気だ。Cは変ホ長調になり、ここもオクターブの旋律が朗々と奏される。1892
1893
- Bizarria, Quadrilha 上品、クァドリーリャ(カドリーユ)
クァドリーリャとは、ヨーロッパで18〜19世紀に流行したカドリーユ Quadrille(フランス語)という歴史的ダンスのポルトガル語表記で、19世紀にはブラジルのサロンでも踊られていた。クァドリーリャは五つの部分から成り、形式は以下のように決まっている。1. 〈パンタロン Le pantalon〉(2/4または6/8拍子、A-B-A-C-A形式)〜2. 〈夏 L'été〉(2/4拍子、A-B-B'-A形式)〜3. 〈雌鶏 La poule〉(6/8拍子、A-B-A-C-A-B-A形式)〜4. 〈羊飼い La pastourelle〉(2/4拍子、A-B-C-B-A形式)または〈La Trénis〉(2/4拍子、A-B-B-A形式)〜5. 〈終曲 Finale〉(2/4拍子、A-A-B-B-A-A形式)。カヴァウカンチは3曲のクァドリーリャを作曲した。この曲はクァドリーリャの形式に従い五つの部分から成る。〈パンタロン〉は変イ長調で、オクターブの旋律が続き華やか。BとCは変ニ長調になる。〈夏〉は変イ長調で、前曲同様にオクターブの旋律が続き華やか。BとB'は変ニ長調になる。〈雌鶏〉は変ホ長調で、6/8拍子のリズムが優雅だ。BとCは変イ長調になる。〈La Trénis〉は変イ長調で、BとB'は変ニ長調になる。〈終曲〉は変イ長調で、16分音符混じりの旋律が軽やか。- Despedida, Valsa 別れ、ワルツ
- Guasca, Polka グアスカ、ポルカ
- Madrigal, Valsa マドリガル、ワルツ
変ニ長調、A-B-A-C-A-?形式。Aは右手・左手のユニゾンで奏される中音部の落ち着いた旋律と、右手高音部で奏される跳ねるような旋律が4小節毎に交互に現れる。Bは変イ長調になる。Cはイ長調になり、高音部オクターブや和音による旋律が華やか。この楽譜を出版したFontes & Cia.社は、毎年最も売れた楽譜の作曲者に賞を与えていたが、1894年にはカヴァウカンチがこの《マドリガル》 で受賞している。- Rosita, Habanera ロジータ、ハバネラ
ハバネラらしい、ゆったりとした曲。変ホ長調、前奏-A-B-A-C-間奏-A-B-A形式。Aの旋律は概ね三度重音で奏されて甘い雰囲気を醸し出している。Bは変イ短調になり、旋律には装飾音がこぶしのように付く。Cは変イ長調になり、オクターブの旋律が朗々と奏される。1894
- Arrependida, Valsa, Op. 288 後悔した、ワルツ、作品288
- Consuelo, Valsa hespanhola 安らぎ、スペインのワルツ
- Dá-me um beijo?, Polka キスしてくれない?、ポルカ
変イ長調、A-B-A-C-A-B-A形式。Aはシンコペーションの旋律が浮き浮きしている。Bは変ホ長調になり、オクターブの16分音符が連続する。Cは変ニ長調になり、オクターブ和音の旋律がまた華やかな雰囲気。- Esplêndido, Schottisch 輝かしい、ショッティッシュ
- Noiva, Polka (Recordações de 17 de Janeiro de 1894) 花嫁、ポルカ(1894年1月17日の思い出)
- Teus olhos, Valsa 君の眼差し、ワルツ
- Universal, Polka brilhante 普遍なもの、華麗なポルカ
1895
- Amável, Valsa 優しい、ワルツ
- Amenayde, Polka アメナイーデ、ポルカ
- Coralina, Mazurka 珊瑚礁、マズルカ
- Fogo de palha, Polka 一時の情熱、ポルカ
- Formosa, Schottisch 麗しい、ショッティッシュ
- Fragrância, Valsa 芳しさ、ワルツ
- Pernambucana, Polka ペルナンブーコ州の女、ポルカ
- Querida, Valsa 愛しい女、ワルツ
変ホ長調、A-A'-B-A-A'-C-C-A-A'形式。Aは流れるような旋律が穏やかに奏される。Bは変イ長調になり、♩♩. ♪のリズムが繰り返される。Cも変イ長調になり、オクターブの旋律が高らかに奏される。- Ritola, Valsa リトラ、ワルツ
- Soberana, Valsa 堂々とした、ワルツ
- Travesso, Tango わんぱくな、タンゴ
カヴァウカンチは同年代に多くのピアノ曲を作り活躍したシキーニャ・ゴンザーガやエルネスト・ナザレと比べて「タンゴ」と題した曲が少なく、彼の324曲のピアノ曲の中で副題が「タンゴ」なのはこの曲を含めて僅か5曲のみである。エルネスト・ナザレもこの曲と同名の《わんぱくな、タンゴ Travesso, Tango》というピアノ曲を1913年に発表しているが、カヴァウカンチの曲は、その18年前の1895年の初版である。楽譜には「甥のアーナウドゥに」と記されており、甥のわんぱくな姿を見て作曲したのだろう。何とも楽しい曲である。変ロ長調、A-B-A-C-A-?形式。Aの前半はカヴァキーニョの音色を思わせる軽やかなシンコペーションの和音の伴奏の下で戯けた旋律が奏される(楽譜では両手を交差して弾くようになっている、下記の楽譜)。Aの後半では同じ旋律が右手オクターブで華やかに繰り返される。BとCは変ホ長調になり、これもオクターブの旋律が華やか。
Travesso, Tango、1-20小節、I. Bevilacqua & C.より引用1896
- Amores passados, Valsa 過ぎ去った恋、ワルツ
- Caramba!, Valsa hespanhola 何だって!、スペインのワルツ
- Come on, Polka 行こう、ポルカ
- Côr de rosa, Valsa バラ色、ワルツ
- Enthusiasta, Polka 熱狂的な人、ポルカ
- Irene, Schottisch イレーネ、ショッティッシュ
- Maçãzinha, Schottisch 小さなリンゴ、ショッティッシュ
- Madrileña, Valsa hespanhola マドリードの女、スペインのワルツ
- No lo creyo, Valsa それは信じられない、ワルツ
- O burro do Sñr. Alcaide, Quadrilha 市長殿のロバ、クァドリーリャ(カドリーユ)
この曲は四つの部分から成る。第一部〈パンタロン〉は変ロ長調で、Aは高音部の細かな16分音符が鳴り、Bは変ホ長調になり、Cでは両手を交差した演奏に成る。第二部〈夏〉は変イ長調でオクターブの旋律が奏される。第三部〈雌鶏〉は変イ長調で、6/8拍子なので優雅な雰囲気。第四部〈La Trénis〉は変イ長調になる。〈終曲〉は楽譜が失われたか、元々存在しないかのどちらかである。- Pequetita, Schottisch 小さな女の子、ショッティッシュ
舞曲のショッティッシュ Schottisch はドイツ語で「スコットランドの」とか「スコットランド人」を意味するが、踊りの発祥はボヘミア地方で、踊りも音楽もスコットランドとは関係ないがドイツ・オーストリアあたりの人々がスコットランドの踊りだろうと推測して名付けたらしい(諸説あり確かなことは私にも分かりません)。ショッティッシュは19世紀の中南米の音楽でもよく使われた舞踊・舞曲で、ブラジルでは19世紀半ばに伝えられると、ブラジル各地で様々な変化を遂げつつ踊られていたらしい。この曲は変ホ長調、A-A-B-B-A-A-C-C-A-A形式。Aは半音の後部倚音混じりの旋律が愛嬌あるが、オクターブで奏されるので華やかでもある。Bは変イ長調になり、ここも旋律はオクターブで華やか。Cも変イ長調で、中音部の密やかな旋律と華やかなオクターブの旋律が2小節毎に交互に奏される。- Pingos d'água, Schottisch 水の滴、ショッティッシュ
- Quando te casas?.., Polka Tango いつ結婚するの?、ポルカ=タンゴ
変ロ長調、A-B-A-C-A-?形式。左手伴奏がシンコペーションしたりしなかったりで、副題通りポルカのようなタンゴのような曲である。Aは鐘か鈴が優しく鳴るような16分音符重音の旋律が奏される。BとCは変ホ長調になる。- Señorita, Valsa hespanhola セニョリータ、スペインのワルツ
- Sincera, Polka 率直な、ポルカ
- Victoria, Valsa 勝利、ワルツ
- Virtuosi, Valsa 名手、ワルツ
- Viver para amar, Valsa 生きることは愛すること、ワルツ
1897
- Alpha, Valsa アルファ、ワルツ
- Animadora, Quadrilha チアリーダー、クァドリーリャ(カドリーユ)
この曲はクァドリーリャ(カドリーユ)の形式に従い五つの部分から成る。第一部〈パンタロン〉は変イ長調で、旋律は殆どがオクターブ。BとCは変ニ長調になる。第二部〈夏〉は変イ長調で、これもオクターブの旋律が奏される。BとB'は変ニ長調になる。第三部〈雌鶏〉は変ホ長調で、6/8拍子なので優雅な雰囲気。BとCは変イ長調になる。第四部〈La Trénis〉は変ニ長調で、16分音符混じりの旋律が華やか。Bは変イ長調になる。〈終曲〉は変イ長調で、急き立てるような曲。Bは変ニ長調になる。- Apparatosa, Valsa 豪華な、ワルツ
- Atirada, Polka 大胆な、ポルカ
- Azul celeste, Valsa 空色、ワルツ
楽譜には「私の許嫁へ」と記されており、カヴァウカンチがD. Elvira Mendesと結婚した1896年またはそれ以前の作曲と思われる。変イ長調、A-B-A-C-C-A-?形式。Aは半音階を上がる旋律で、甘えるような雰囲気。Bは変ニ長調になり、高音部オクターブ和音の旋律が華やか。Cは変ニ長調になり、一部は二声の掛け合いのような旋律になる。- Bicycletista, Valsa 自転車乗り、ワルツ
- Bonheur, Valsa 幸福、ワルツ
- Febricitante, Valsa 熱に浮かされて、ワルツ
- Jogadora, Valsa 女性プレーヤー、ワルツ
- Jour d'amour, Valse expressive 愛の日、表情豊かなワルツ
- Original, Schottisch 変わり者、ショッティッシュ
変イ長調、A-A-B-B-A-C-A形式。陽気で能天気な雰囲気の曲で、旋律はずっとオクターブで奏される。BとCは変ニ長調になる。- Segredo, Valsa 秘密、ワルツ
- Tranquilla, Valsa 穏やかな、ワルツ
- Volúpia, Valsa 快楽、ワルツ
até 1898
- Amorosa, Valsa 愛しい人、ワルツ
- Amôr vadio, Valsa, Op. 184 無為の愛、ワルツ、作品184
- Cadenciada, Valsa, Op. 133 抑揚のある、ワルツ、作品133
- Caridosa, Valsa 慈悲深い、ワルツ
- Jocosa, Schottisch, Op. 109 戯けた、ショッティッシュ、作品109
- Loucura de amor, Polka 狂気の愛、ポルカ
- Marionettes, Schottisch 操り人形、ショッティッシュ
- Militar, Polka, Op. 131 兵士、ポルカ、作品131
- Pero!!..., Valsa hespanhola しかし!・・・、スペインのワルツ
- Seria, Valsa であったかも、ワルツ
- Soledad, Valsa hespanhola ソレダー、スペインのワルツ
エルネスト・ナザレに献呈されている。カヴァウカンチとナザレは同じ作曲家・ピアネイロとして友人関係であった。変ニ長調、A-B-A-C-A-?形式。3拍子のホタのリズムの伴奏にのって、3連符や前打音が混じった陽気な旋律がオクターブで高らかに奏される。Bは変イ長調になる。Cも変イ長調で、最初三度重音の囁くような旋律が現れるが、間もなくffで高らかに歌うようなオクターブ旋律となる。- Solemne, Valsa 盛大な、ワルツ
- Toledo, Valsa hespanhola, Op. 130 トレド、スペインのワルツ、作品130
- Zangadinha, Valsa, Op. 135 ザンガジーニャ、ワルツ、作品135
1898
- Adorada, Valsa 熱愛した、ワルツ
- Airosa, Valsa 上品に、ワルツ
- Alerta!, Polka militar, Op. 298 警戒せよ!、軍隊ポルカ、作品298
- Altiva, Valsa, Op. 149 気高い、ワルツ、作品149
- Amôrzinho, Schottisch 愛する人、ショッティッシュ
- Aquarella, Valsa, Op. 151 水彩画、ワルツ、作品151
- Artística, Valsa 芸術的な、ワルツ
変ニ長調、A-A-B-A-A-C-A-A-B-A-A-コーダの形式。Aは音階を下がったり上ったりする優雅な旋律。Bは変イ長調になり、3オクターブを分散和音を上る旋律が華やか。Cは変イ長調になり、オクターブで堂々とした旋律が奏される。- Azul marinho, Valsa, Op. 192 マリンブルー、ワルツ、作品192
- Beijos, Schottisch, Op. 289 キス、ショッティッシュ、作品289
- Buenos Días, Valsa española, Op. 190 おはよう、スペインのワルツ、作品190
- Cachopa, Valsa portugueza 若い娘、ポルトガルのワルツ
- Cahir das folhas, Schottisch, Op. 223 落葉、ショッティッシュ、作品223
- Cativante, Valsa 魅惑的な、ワルツ
- Charmeuse, Valsa, Op. 287 魅惑的な、ワルツ、作品287
- Comadrinha, Polka イタチ、ポルカ
- Compassado, Schottisch, Op. 138 節度を持って、ショッティッシュ、作品138
- Correcta, Valsa, Op. 278 正しく、ワルツ、作品278
- Correio de Washington, Marcha ワシントン・ポスト、行進曲
- Czarina, Valsa ツァリナ(皇后)、ワルツ
- Destemida, Schottisch, Op. 290 勇敢な、ショッティッシュ、作品290
- Divinal, Valsa, Op. 137 魅力的な、ワルツ、作品137
- Dócil, Valsa, Op. 136 素直な、ワルツ、作品136
- É' agora!.., Polka, Op. 196 今だ!、ポルカ、作品196
- Elegante, Valsa, Op. 206 優雅な、ワルツ、作品206
- El torero, Valsa hespanhola 闘牛士、スペインのワルツ
- Em forma!!., Polka militar 隊列を取れ!!、軍隊ポルカ
- Enferma, Valsa 病人、ワルツ
- Estimável, Schottisch 尊敬に値する、ショッティッシュ
- Eurydice, Valsa エウリディセ、ワルツ
- Excelsa, Valsa, Op. 295 卓越した、ワルツ、作品295
- Excellente, Valsa 優秀な、ワルツ
- Fauvette, Valsa, Op. 286 ニワムシクイ、ワルツ、作品286
- Flamenga, Valsa hespanhola, Op. 296 フラミンゴ、スペインのワルツ、作品296
- Flora, Valsa, Op. 143 フローラ、ワルツ、作品143
- Imperiosa, Valsa, Op. 279 威圧的な、ワルツ、作品279
- Inspirada, Valsa, Op. 150 霊感を受けて、ワルツ、作品150
- Jenny, Valsa, Op. 142 ジェニー、ワルツ、作品142
- Jovial, Schottisch 愉快な、ショッティッシュ
- Judia, Valsa, Op. 141 インゲンマメ、ワルツ、作品141
- L'avenir, Valsa 未来、ワルツ
- Luzitana, Valsa portugueza ポルトガルの女、ポルトガルのワルツ
- Magistral, Valsa, Op. 140 見事な、ワルツ、作品140
- Magnífica!.., Valsa, Op. 144 壮麗な!、ワルツ、作品144
- Maravilhosa, Schottisch, Op. 139 驚異的な、ショッティッシュ、作品139
- Mariposa, Polka 蝶、ポルカ
- Maviosa, Valsa, Op. 180 親切な、ワルツ、作品180
- Miss, Pas de quatre, Op. 213 ミス、パ・ド・カトル、作品213
楽譜には「私の友人H. L. Wheatleyへ」と、おそらくイギリス人か米国人への献呈が記されており、それで曲名が英語なのだろう。変ロ長調、A-A-B-B-A-A-C-A-?形式。ちょっと気取った3連符の旋律が軽やかに奏される。Bはヘ長調になり、旋律はブロックコードと単音が交互に繰り返される。Cは変ホ長調になる。- Neutra, Valsa, Op. 274 中立な、ワルツ、作品274
- Oscilando, Valsa, Op. 189 揺れ動きながら、ワルツ、作品189
- Palestrando, Schottisch, Op. 191 雑談しながら、ショッティッシュ、作品191
- Pandega, Schottisch お祭り騒ぎ、ショッティッシュ
- Pretendida, Valsa 婚約者、ワルツ
- Rendez-vous, Valsa, Op. 156 待ち合わせ、ワルツ、作品156
- Sacudida, Polka, Op. 300 振動、ポルカ、作品300
ト長調、A-B-A-C-A-?形式。賑やかなお祭りのような曲。Aの旋律は16分音符と8分音符オクターブが交互に現れる。Bはニ長調に、Cはハ長調になる。- Satyrica, Polka 風刺的な、ポルカ
- Sensível, Valsa, Op. 299 敏感な、ワルツ、作品299
- Sertaneja, Valsa 田舎者、ワルツ
- Simples, Valsa 簡素な、ワルツ
- Solferino, Valsa, Op. 198 ソルフェリーノ、ワルツ、作品198
- Sympathica, Valsa 心地良い、ワルツ
- Tazinha, Valsa, Op. 200 タジーニャ、ワルツ、作品200
- Tentamen, Schottisch 試み、ショッティッシュ
- Valparaíso, Valsa hespanhola, Op. 195 バルパライソ、スペインのワルツ、作品195
- Ventarola, Schottisch うちわ、ショッティッシュ
- Verde-mar, Valsa, Op. 194 シーグリーン、ワルツ、作品194
- Veritable, Schottisch, Op. 297 真実の、ショッティッシュ、作品297
- Vita, Valsa 生命、ワルツ
- Vivi, Valsa, Op. 294 ヴィヴィ、ワルツ、作品294
1899
- Esperançosa, Valsa 期待の持てる、ワルツ
- Faísca, Polka 閃光、ポルカ
楽譜の冒頭には「活気を持って com animo」と記されており、速めのテンポで弾くのが良さそうな曲。変イ長調、A-A-B-B-A-A-C-C-A-A-B-B-A-A形式。左手伴奏は終始ポルカのリズムだが、右手旋律はAとBでは2小節毎に1拍目裏がアクセントの付いたシンコペーションで、ポルカと言うよりタンゴ(・ブラジレイロ)に近い(下記の楽譜)。Bは変ホ長調に、Cは変ニ長調になり、いずれも旋律はオクターブや和音で華やかな響き。カヴァウカンチが舞踏会で華麗にピアノを鳴らす姿が浮かぶような曲である。
Faísca, Polka、1-8小節、E. Bevilacqua & C.より引用- Fascinante, Valsa 魅力的な、ワルツ
- Gracinha, Schottisch 可愛い、ショッティッシュ
- Mansinha, Schottisch 柔和な、ショッティッシュ
- Margarida, Valsa マーガレット、ワルツ
- Soldadesca, Polka 兵士、ポルカ
- Sûr la glàce, Schottisch 氷の上で、ショッティッシュ
- Teimosa, Schottisch, Op. 96 頑固者、ショッティッシュ、作品96
- Testamento da velha, Valsa 老女の遺言、ワルツ
1900
- Admirável, Schottisch 感嘆させる、ショッティッシュ
- Arpejos d'alma, Valsa 心のアルペジオ、ワルツ
- Bregeira, Polka franceza ろくでなし、フランスのポルカ
曲名のBregeiraは女性形なので「ろくでなしの女」という意味になるのかな?。変ロ長調、A-B-A-C-A-?形式。木管楽器が軽快に旋律を奏でるような雰囲気の曲。Bは変ホ長調に、Cはヘ長調になる。- Chimeras, Valsa キマイラ、ワルツ
- Esperta, Valsa 悪賢い、ワルツ
- Lisongeira, Valsa へつらう女、ワルツ
- Nephilibata, Schottisch ネフェリバタ、ショッティッシュ
- O grande casemiro, Valsa 偉大なカゼミーロ、ワルツ
- Panderetas y castañuelas, Valsa hespanhola タンバリンとカスタネット、スペインのワルツ
- Poetiza, Valsa 女詩人、ワルツ
- Quero em troca o teu amor..., Schottisch, Op. 207 君の愛を返してほしい、ショッティッシュ、作品207
- Simplicidade, Schottisch 純真さ、ショッティッシュ
- Sinhá, Valsa 奥様、ワルツ
1901
- Amor fingido, Valsa 偽りの愛、ワルツ
- Brumas, Valsa 濃霧、ワルツ
- Caprichosa, Valsa 気まぐれな、ワルツ
- Coió com sorte, Schottisch 運のいい人、ショッティッシュ
- Coió sem sorte!!..., Tango 運の悪い人!!、タンゴ
- Dá-me teu coração, Valsa 君の心を下さい、ワルツ
- Finazinha, Schottisch 細い子、ショッティッシュ
- Lagrimas, Valsa 涙、ワルツ
- Melancolia, Valsa 憂うつ、ワルツ
- Talvez te escreva..., Schottisch たぶん手紙を書く、ショッティッシュ
- Veranista, Schottisch 避暑をする人、ショッティッシュ
até 1902
- Altivo, Schottisch 気高い、ショッティッシュ
- A militar, Polka 軍隊、ポルカ
- Barba de bronze, Pas de quatre 銅像の顎ヒゲ、パ・ド・カトル
- Comprimento, Schottisch 長さ、ショッティッシュ
- Discreta, Polka, Op. 143 慎み深い、ポルカ、作品143
- Florzinha, Schottisch 小さな花、ショッティッシュ
- Fluente, Valsa 滑らかな、ワルツ
- Norte americana, Schottisch 北米、ショッティッシュ
- Olhos negros, Polka 黒い瞳、ポルカ
- Realista, Polka 現実主義者、ポルカ
- Viçosa, Valsa 生き生きとした、ワルツ
- Vigilante, Schottisch 見張り、ショッティッシュ
1902
- Altiva, Valsa 気高い、ワルツ
- Amistosa, Valsa 友情のこもった、ワルツ
- Beijo das ondas, Valsa 波のようなキス、ワルツ
- Eminente, Tango 卓越した、タンゴ
- Enamorada, Valsa 恋をして、ワルツ
- Eu não era assim!.., Valsa 私はそうではなかった!、ワルツ
- Explendorosa, Valsa 輝きに満ちた、ワルツ
- Gloriosa, Valsa 光栄な、ワルツ
- Ilusões, Valsa 幻想、ワルツ
- Indelével, Valsa 忘れられない、ワルツ
- Mimerotis, Valsa
- O malho de ouro, Schottisch 黄金の槌、ショッティッシュ
- Pitoresca, Valsa 絵画的な、ワルツ
- Rejane, Valsa レジャンヌ、ワルツ
- Retraída, Schottisch 内気な、ショッティッシュ
- Rosa musgo, Valsa モスローズ、ワルツ
- Setinea, Valsa セチネア、ワルツ
- Sonhadora, Valsa 夢想家、ワルツ
1903
- Amour, Valsa 愛、ワルツ
- Bohême, Valse lente, sobre motivos da ópera de Puccini ボエーム、ゆっくりとしたワルツ、プッチーニのオペラのモチーフによる
当時、ブラジルの上流階級の間ではヨーロッパのオペラは人気で、レコードもラジオもない時代に自宅でオペラの名場面を楽しむにはピアノ編曲版を聴くのが最適であった。この曲はプッチーニ作曲のオペラ《ラ・ボエーム》のいくつかのアリアなどをメドレーとして繋げたピアノ編曲である。前奏-A-B-C-D-E-A形式。前奏は第一幕冒頭を短く演奏し、続くAは変ホ長調で、第二幕のムゼッタのアリア〈私が街をあるけば Quando me'n vo soletta per la via〉が奏される。Bは変イ長調で、第一幕のロドルフォのアリア〈冷たい手を Che gelida manina〉の後半部分が(原曲は4/4拍子だが)3/4拍子に編曲されて奏される。Cは変イ長調で、ロドルフォが〈ひどい咳が彼女の弱々しい胸の中を揺さぶり Una terrible tosse l'esil petto le scuote〉が(原曲は2/4拍子だが)3/4拍子に編曲される。Dは変ニ長調で、のロドルフォのアリア〈冷たい手を〉の前半が(原曲は2/4拍子だが)3/4拍子に編曲される。- Chic parisien, Valsa パリっ子のお洒落、ワルツ
- Colorada, Valsa 色のついた、ワルツ
- Espumas, Schottisch 泡、ショッティッシュ
- Fiance, Valsa フィアンセ、ワルツ
- Garbosa, Polka 優雅な、ポルカ
- Meu viver, Schottisch 我が人生、ショッティッシュ
ハ短調、A-B-A-C-A形式。この当時ブラジルで流行したショーロのアンサンブルのような雰囲気たっぷりの哀愁溢れる曲で、悲しみを吐露するような右手旋律の合間に、左手対旋律が寄り添うように奏されるのが粋だ(下記の楽譜)。対旋律はショーロで低弦ギターが主旋律の合間に音階などの短い対旋律を合いの手のように入れる「バイシャリア」の技法を思わせる。Cはハ長調になり、幸せだった一時の過去を回想するような感じ。
Meu viver, Schottisch、1-8小節、J. Filippone より引用- Ophelia, Schottisch オフェリア、ショッティッシュ
- Risos d'alma, Valsa 魂の喜び、ワルツ
1904
- Fantastica, Valsa 幻想的な、ワルツ
- Olhos bregeiros, Valsa いたずらな瞳、ワルツ
- Queixas do povo, Valsa 民衆の不平、ワルツ
- Sabonete Japonez, Valsa 日本の石鹸、ワルツ
カヴァウカンチは自ら音楽事務所を立ち上げたり、楽譜出版を行ったりと音楽ビジネスに積極的であった。彼は自分の音楽を企業の商品宣伝と提携することを考えてもおかしくない。1904年、リオデジャネイロの薬品販売業者Freire Guimarães & C.社は「日本の石鹸 Sabonete Japonez」を購入した客にカヴァウカンチのピアノ曲の楽譜3曲をプレゼントすることとし、そのために作曲された3曲が《日本の石鹸、ワルツ》、《日本の石鹸、ショッティッシュ》、《日本の石鹸、ポルカ》である。1904年から1905年にかけてリオデジャネイロの新聞や雑誌には「日本の石鹸」を購入するとカヴァウカンチの楽譜がプレゼントされる旨の広告が掲載されている(下記の広告)。右の広告(雑誌「O Malho」第4巻162号、1905年10月21日発行)には「日本の石鹸:この驚異的な石鹸は既によく知られ、肌、入浴、トイレタリーに最適と有名です、肌を心地よく爽やかにし‥‥(中略)‥‥シワ、ニキビ、そばかす、シミ、フケ、痘痕を抑えます‥‥(中略)‥‥この素晴らしい石鹸を購入した皆様には、天才作曲家アウレリオ・カヴァウカンチの高尚なインスピレーションによる、日本の石鹸と題された、ポルカ・ワルツ・ショッティッシュからなる3曲の楽譜を貰う権利があります」と書かれている。尚、この「日本の石鹸」が日本産とか日本から輸入とかはどの広告にも書かれておらず、実際に日本製の石鹸だったかは不明である。《日本の石鹸、ワルツ》はヘ長調、A-B-A-C-A形式。優雅なワルツで、Bは変ロ長調になる。Cはハ長調になり、オクターブの旋律が力強い。
Revista O Malho, Anno III - N. 95, 9 de Julho de 1904 の広告より引用
Revista O Malho, Anno IV - N. 162, 21 de outubro de 1905 の広告より引用- Sabonete Japonez, Schottisch 日本の石鹸、ショッティッシュ
ヘ短調、A-B-A-C-A形式。Aは哀愁漂う旋律が奏され、高音部で合いの手のようにアルペジオ和音が鳴る。Bは変イ長調に、Cはヘ長調になる。- Sabonete Japonez, Polka 日本の石鹸、ポルカ
変イ長調、A-B-A-C-A形式。Aは左手伴奏はポルカながら、右手旋律はシンコペーションが入る。BとCは変ホ長調になる。- Serena, Valsa 穏やかな、ワルツ
- Tagarelice, Valsa お喋り、ワルツ
- Teresa, Valsa española テレサ、スペインのワルツ
- Velhaca, Polka イカサマ師、ポルカ
- Vina, Valsa ヴィナ、ワルツ
1905
- Amor perfeito, Schottisch サンシキスミレ、ショッティッシュ
- Bonançosa, Polka 穏やかな、ポルカ
- Célebre dança americana, Cake-Walk 有名な米国のダンス、ケークウォーク
- Ideal, Valsa 理想、ワルツ
- 1905, Valsa 1905年、ワルツ
1906
1907
- Affonsinha, Valsa 時代遅れの、ワルツ
- Chorosa, Schottisch 涙ぐんだ、ショッティッシュ
1903年初版の《我が人生、ショッティッシュ》と同様の、哀愁たっぷりの曲。ヘ短調、A-B-A-C-A形式。Aは右手の主旋律と左手のベースを兼ねたたい旋律が対話のように奏され、ベースはショーロのバイシャリアを思わせる。Bは変イ長調になる。Cも変イ長調になり、郷愁を感じさせるような雰囲気。- Fon-fon! フォンフォン!
『フォンフォン!』は1907年から1958年まで続いたリオデジャネイロの週刊誌の誌名で、創刊の1907年から1910年にかけて(不定期に)当時の作曲家のピアノ曲の楽譜が掲載されていた。カヴァウカンチは同誌へ1907年に三回ピアノ曲を掲載していて(《Affonsinha, Valsa》《Fon-fon!》《O maxixe》の三曲)、これはその1曲。ハ長調、A-B-A-C-A-?形式。楽譜冒頭には「軍隊の Marcial」と記されていて、吹奏楽が奏でる軍隊行進曲のような威勢のいい曲が奏される。Bはト長調、Cはヘ長調になる。- O maxixe マシーシ
「マシーシ(マシシェ)」とは19世紀ブラジルで流行した舞曲で、2拍子の速いテンポが特徴的。その起源はハッキリとはしていないが、ヨーロッパ由来のポルカに、アフリカからブラジルに奴隷として連れて来られた黒人の踊りが混じったものらしい。ヘ長調、A-B-A-C-A-?形式。この曲はあまりテンポを速くしない方が良さそう。Aは、最初の4小節は澄ました感じのポルカ風だが、5小節目からズチャンチャチャンチャン〜とシンコペーションが始まり、7-8小節の左手オクターブベースが生き生きと対旋律と奏でるのが、徐々に愉快な踊りの本性を現すようで面白い(下記の楽譜)。Bはハ長調になり、旋律・伴奏共にシンコペーション全開で一気に陽気で賑やかな調べになるのもいい。Cは変ロ長調になり、旋律はオクターブで高らかに奏される。
O maxixe、1-9小節、Fon-Fon!: Semanario illustrado, Anno I - N. 4, 4 de maio de 1907. より引用- Piano irresistível, Polka ピアノの誘惑、ポルカ
1909
1910
1911
1912
1913
1915
- 1915, Valsa 1915年、ワルツ
変イ長調、A-B-B-A-C-C-A形式。カヴァウカンチらしい華やかでテンポにのった曲。Aは華麗に舞うような旋律。Bは変ニ長調になり、息の長い旋律が奏される。Cも変ニ長調になり、オクターブの旋律が高らかに奏される。1916
初版年代不詳
- A baiana, Polka バイーアの女、ポルカ
- A boro-boracica, Tango ボロ・ボラシカ、タンゴ
「ボロ・ボラシカ」とは1882年からブラジルで発売されていた軟膏の名前で、2001年にホウ酸の皮膚への使用が禁止されるまで発売されていた。カヴァウカンチが1904年に発表した3つのピアノ曲《日本の石鹸、ワルツ》、《日本の石鹸、ショッティッシュ》、《日本の石鹸、ポルカ》と同様の「商品のコマーシャル曲」として作ったのかもしれない。変ホ長調、A-A-B-B-A-A-C-C-A-A-B-B-A-A形式。Aは右手オクターブの旋律に左手オクターブのベース+和音の華やかな響き。Bは変イ長調になり、ここも旋律はオクターブ。Cは変ロ長調になり、中音部の分散和音の旋律とオクターブの旋律が交互に奏される。- Agradável, Schottisch 心地良さ、ショッティッシュ
- Amabile, Valsa 愛しい、ワルツ
- Amor ardente, Valsa 激しい恋、ワルツ
- Amor oculto, Valsa 密やかな恋、ワルツ
- Aspirações, Valsa 憧れ、ワルツ
- Attrahente, Valsa, Op. 272 魅力的な、ワルツ、作品272
- Avenir, Valsa アヴェニール、ワルツ
- Blanca, Valsa ブランカ、ワルツ
- Botafogo, Valsa ボタフォゴ、ワルツ
- Brilhante, Schottisch 輝かしい、ショッティッシュ
- Cake-Walk ケークウォーク
ヘ長調、前奏-A-B-A-C-A-?形式。4小節の前奏に引き続き、Aはストライド奏法の左手伴奏にのって、右手に陽気で軽快なシンコペーションの旋律が奏される。Bは左手オクターブの力強い旋律と、右手のオクターブ和音の後打ちが吹奏楽の響きを思わせる。Cは変ロ長調になる。- Camponesa, Valsa 田舎の人、ワルツ
- Comprometida, Valsa 約束した、ワルツ
- Confidente, Valsa 打ち明け話の、ワルツ
- Convescote, Valsa ピクニック、ワルツ
- Crepúsculo, Valsa 黄昏、ワルツ
- Delicadeza, Schottisch 繊細さ、ショッティッシュ
- Delícia, Valsa 無上の喜び、ワルツ
- Devaneio, Valsa, Op. 205 夢想、ワルツ、作品205
- Diamantina, Valsa ダイヤモンドのような、ワルツ
- Douce espoir, Valsa 甘い希望、ワルツ
- Elos d'amor, Valsa 愛のリング、ワルツ
- Êxtase, Valsa 恍惚、ワルツ
- Faceira, Valsa, Op. 182 気取った女、ワルツ、作品182
- Festiva, Valsa 陽気な、ワルツ
- Flórida, Schottisch 花咲く、ショッティッシュ
- Florinda, Schottisch フロリンダ、ショッティッシュ
- Fluctuando, Valsa 浮動して、ワルツ
変ニ長調、A-B-A-C-A-?形式。舞踏会向けにオクターブの旋律が華やかに鳴ることが多いカヴァウカンチのワルツの中で、数少ない静かでしっとりとしたワルツである。Aは楽譜の冒頭に「とても穏やかに muy vagaroso」と記され、8分音符がゆったりと舞うような旋律が奏される。Bは変イ長調になり、前半はオクターブ和音でやや華やかになるが、間もなく滴り落ちるような8分音符アルペジオの旋律になる。Cはやや哀愁を秘めたような雰囲気になる。- Frenética, Polka 狂乱した、ポルカ
- Fugitiva, Valsa 儚い、ワルツ
- Gaúcha, Valsa ガウショ、ワルツ
- Heureuse, Valsa 幸せな、ワルツ
- Idylio, Schottisch 牧歌、ショッティッシュ
- Incansável, Schottisch 勤勉な、ショッティッシュ
- Incognita, Schottisch 未知の、ショッティッシュ
- Inglês, Schottisch イギリスの人、ショッティッシュ
- Juramento d'amor, Schottisch 愛の誓い、ショッティッシュ
- Laranjeiras, Valsa オレンジの木、ワルツ
- Laurita, Valsa ラウリータ、ワルツ
- Límpida, Valsa 透明な、ワルツ
- Linda, Valsa, Op. 129 綺麗な、ワルツ、作品129
- Lola, Valsa hespanhola ロラ、スペインのワルツ
- Magestosa, Valsa 堂々とした、ワルツ
- Malagueña, Valsa hespanhola マラゲーニャ、スペインのワルツ
- Milagrosa, Polka 奇跡的な、ポルカ
- Mimosa, Valsa 優美な、ワルツ
- Mire Usted!!..., Valsa hespanhola あなた、見て下さい!、スペインのワルツ
- Monarchista, Polka 君主制主義の人、ポルカ
- Murmúrio, Valsa ささやき声、ワルツ
- Nevrose, Schottisch ノイローゼ、ショッティッシュ
- Noblesse, Gavotte 高貴、ガボット
カヴァウカンチが作曲した唯一のガボットである。フランス人のMarie O. de Freitas夫人に献呈されていて、それで曲名がフランス語なのであろう。変ホ長調、前奏-A-B-A-C-D-C'-A-コーダの形式。カヴァウカンチの作品には珍しくDの部分があり、またコーダもあって複合三部形式に近い。舞踏会の実用向きの曲ばかり作っているカヴァウカンチだが、この曲に関しては演奏会用の「聴くための」音楽を目論んでいたのかも知れない。Aは楽譜に「con Amore」と記されていて、前打音混じりの気取った旋律がオクターブで奏される。Bは変イ長調になり、落ち着いた雰囲気。Cは変イ長調になり、中音部の旋律の上に伴奏和音が現れて、演奏するには両手の交差が必要である。Dは変ホ長調になる。コーダも凝っていて、Bを3小節だけ回想してフェルマータし、再びAを変奏して終わる。- Palpitante, Polka ドキドキする、ポルカ
- Paraense, Schottisch パラ州の人、ショッティッシュ
- Passé, Valsa 過ぎ去った、ワルツ
- Pensando, Valsa 考えながら、ワルツ
- Perfumosa, Schottisch 香りの良い、ショッティッシュ
- Polka ポルカ
- Pra sempre, Valsa いつまでも、ワルツ
- Pyramidal, Schottisch 巨大な、ショッティッシュ
- Resistente, Schottisch 頑固な、ショッティッシュ
- Romanesca, Schottisch 夢見るような、ショッティッシュ
- Rosea, Valsa バラ色の、ワルツ
- Saphira, Schottisch
- Schottisch ショッティッシュ
- Sensível, Schottisch 敏感な、ショッティッシュ
- Serenatista, Valsa セレナード弾き、ワルツ
- Solitude, Valsa 孤独、ワルツ
- Terna, Valsa 柔らかな、ワルツ
- Tita, Schottisch ティーターン、ショッティッシュ
- Valsa espanhola スペインのワルツ
- Very good, Schottisch とても良い、ショッティッシュ
- Vind, Valsa
- Vou pensar, Valsa 考えるよ、ワルツ
- Zazá, Valsa ザザ、ワルツ
- Zingara, Valsa ジプシーの女、ワルツ
- Zinha, Schottisch ジーニャ、ショッティッシュ