Arnulfo Miramontesのピアノ曲リスト
以下のピアノ曲リストには、自身の管弦楽曲からのピアノ編曲も含まれます(*印の作品)。なお、作品72、73、74は「交響的組曲メキシコより de la Suite sinfónica mexicana」と副題が付いていますが、管弦楽曲版より以前にピアノ曲版が作曲されていたようです。
ミラモンテスの作品の多くには作品番号が付されていますが、作品番号は作曲時にではなく、おそらく出版時に付けられたものです。作曲年と出版年が大きくかけ離れている(曲によっては二、三十年も)こともあり、作曲年順と作品番号には殆ど関連は無いものと考えてよいです。更に、異なる曲に同じ作品番号が付いていることがあり要注意です。1906
- Minuetto en do mayor, Op. 11 メヌエットハ長調、作品11
1907
- Estudio artístico para la mano izquierda, Op. 10 左手のための芸術的な練習曲、作品10
- Mazurka en la menor, Op. 10 マズルカイ短調、作品10
- Hoja de álbum, Op. 11 アルバムの一葉、作品11
- Fuga Nº 2 (a 3 voces), Op. 44 フーガ第2番(三声の)、作品44
1908
- Fuga Nº 1 (a 2 voces), Op. 50 フーガ第1番(二声の)、作品50
- Pequeña melodía, Op. 14 小さなメロディー、作品14
- Estudio de terceras 三度の練習曲
1909
- Momento musical No. 1 楽興の時第1番
- Momento musical No. 3 楽興の時第3番
- Obertura primavera* 春の序曲
- Para Elvirita エルビリータのために
1911
- Pierrot, Estudio-staccato, Op. 100 ピエロ、スタッカートの練習曲、作品100
- Remando en ti
1912
- Fuga Nº 3 (a 4 voces), Op. 55 フーガ第3番(四声の)、作品55
- Minuetto -en Fa- メヌエットへ長調
1914
- ¿Por qué...?, Op. 19 何故?、作品19
- El niño, Scherzino, Op. 24 子ども、スケルツィーノ、作品24
- Nocturno Nº 1, Op. 44 夜想曲第1番、作品44
- Scherzo スケルツォ
- Ich liebe dich! (¡Yo te amo!) 君を愛す!
- Momento musical No. 2 (Para un muerto) 楽興の時第2番(ある故人のために)
- Diez variaciones para piano sobre un tema mexicano (de la Suite sinfónica mexicana), Op. 73 メキシコの主題によるピアノのための10の変奏曲(交響的組曲メキシコより)、作品73
1915
- Estudio de octavas en fa sostenido, Op. 60 オクターブの練習曲嬰へ長調、作品60
- Fantasía tapatía (de la Suite sinfónica mexicana), Op. 72 タパティオ幻想曲(交響的組曲メキシコより)、作品72
- Preludio y fuga-fantasía (sobre temas mexicanos) (de la Suite sinfónica mexicana), Op. 74 前奏曲とフーガ幻想曲(メキシコの主題による)(交響的組曲メキシコより)、作品74
- Inquietud, Op. 88 不安、作品88
- Barcarola Xochimilco, Op. 99 ソチミルコの舟歌、作品99
- Intermezzo en La 間奏曲イ長調
- Introducción, Modertatto 序奏、モデラート
- Marcial 軍隊の
1916
- Ensueño, Op. 33 夢、作品33
- Vals lento No. 2, Op. 98 ゆっくりとしたワルツ第2番、作品98
- Adagio cantábile アダージオ・カンタービレ
- Danza en Sol Mayor* 舞曲ト長調
1917年頃
- Butterfly 蝶々
1918
- Eco, Op. 69 こだま、作品69
- Minuetto (de la Ópera Anáhuac)* メヌエット(オペラ「アナウアク」より)
1919年頃
- Ella, Op. 40 彼女、作品40
- Baile Azteca, Op. 44* アステカの踊り、作品44
- Momento musical a la Debussy ドビュッシー風の楽興の時
- Momento musical en do 楽興の時ハ長調
1920年頃
- Andantino アンダンティーノ
- Intima 親密に
1921
- Pastores, Op. 67 羊飼いたち、作品67
- Preludio No. 1, Op. 67 前奏曲第1番、作品67
- Preludio No. 2, Op. 68 前奏曲第2番、作品68
- Arrulladora (Arrulladora No. 1), Op. 69 子守歌(子守歌第1番)、作品69
- Preludio No. 3 en La menor, Op. 92-3 前奏曲第3番イ短調、作品92-3
- Preludio quasi Canon No. 7, Op. 107 カノン風の前奏曲第7番、作品107
1922
1923年頃
- Rondó ロンド
1925
- Arrulladora en Modo Hipodórico, No. 4, Op. 70 ヒポドリア旋法による子守歌第4番、作品70
- Arrulladora No. 3 en Sol bemol, Op.82-3* 子守歌第3番変ト長調、作品82-3
- Preludio romántico No. 5, Op. 104 ロマンティックな前奏曲第5番、作品104
- Preludio heroico No. 8 (en modo dórico), Op. 109 英雄的な前奏曲第8番(ドリア旋法による)、作品109
- Preludio trágico No. 6, Op. 110 悲劇的な前奏曲第6番、作品110
- Estudio en forma de vals, Op. 111 ワルツの形式による練習曲、作品111
- Preludio burlesco No. 4 (Preludio cromático), Op. 120 おどけた前奏曲第4番(半音階的練習曲)、作品120
- Vals No. 1, Op. 123-1 ワルツ第1番、作品123-1
- Arrulladora (Arrulladora No. 2), Op. 123-2 子守歌(子守歌第2番)、作品123-2
- Mazurka-Estudio マズルカー練習曲
1928
- Ninfas, Aire de baile ニンフたち、踊りの旋律
1931
- Tarantella タランテラ
1950年頃
- Escenas infantiles, Op. 150 子どもの情景、作品150
- Ingenuidad 無邪気
- Tarantela タランテラ
- Arrulladora del niño Jesús 幼子イエスの子守歌
- Patines スケート靴
- Cajita de música オルゴール
- Gavota (graciosa) ガヴォット(面白く)
- Marcha de los soldados 兵隊さんの行進
- Vals de la muñeca お人形のワルツ
- Danza del muñeco お人形の踊り
- Orfandad 孤児
- Escenas Infantiles, Op. 151 子どもの情景、作品151
- Primer desengaño 初めての幻滅
- Gavota en Fa ガヴォットへ長調
- Scherzino スケルツィーノ
- Romanza ロマンセ
- Coral コラール
- Pequeño preludio -dórico- 小さな前奏曲ードリア旋法で
- Mesto 悲しげな
- Recitativo レチタティーヴォ
- Tempo di minueto メヌエットのテンポで
- Campanita (reminiscencia de la "Campanella" de Paganini) 小さな鐘(パガニーニの「ラ・カンパネラ」の追憶)
1952年頃
- Miniaturas mexicanas, Primer cuaderno メキシコの細密画、第1巻
- El grillito キリギリス
- El payo エル・パーヨ
- El sombrero ancho つばの広いソンブレロ
- La pasadita パサディータ
- Canción mixteca ミステカの歌
- El durazno 桃の木
- Las mañanitas ラス・ マニャニータス
- El coconito エル・ココニート
- Miniaturas mexicanas, Segundo cuaderno メキシコの細密画、第2巻
- Cielito lindo シエリト・リンド
- El barquero エル・バルケーロ(小舟)
- Yo no soy de aquí (Danza) 私はここの者ではない(ダンサ)
- Arrulladora (del Trío del Scherzo de la 1a. Sinfonía) 子守歌(交響曲第1番のスケルツォのトリオより)
- La pajarera 小鳥売りの娘
- Danza de los sacrificios (de la ópera Cíhuatl) 生贄の踊り(オペラ「シワトル」より)
- Las mañanitas ラス・ マニャニータス
- La diana 起床ラッパ
1958年頃
- Navidad infantil (Navidad de los niños), Op. 103 子どものクリスマス、作品103
- Campanitas de navidad クリスマスのティンカー・ベル
- Rayito de luz matinal 朝の光
- Scherzino スケルツィーノ
- Marcha de los reyes magos 東方の三博士の行進
Arnulfo Miramontesのピアノ曲の解説
1907
- Estudio artístico para la mano izquierda, Op. 10 左手のための芸術的な練習曲、作品10
変イ長調、A-B-A-コーダの形式。ミラモンテスが作曲した左手のみのためのピアノ曲はこの作品のみである。左手親指で穏やかな旋律が4分音符または8分音符で奏され、その下で分散和音または分散オクターブが32分音符トレモロで奏される。Bは変ホ長調になる。- Hoja de álbum, Op. 11 アルバムの一葉、作品11
へ長調、A-B-A-コーダの形式。のどかな雰囲気の旋律が奏される。Bはハ長調になり、左手中音部に旋律が移る。1908
- Pequeña melodía, Op. 14 小さなメロディー、作品14
ベルリン留学中の作品で、故国メキシコへの望郷の思いを曲にしたらしい。イ短調、A-A-B-A-B-A形式。寂しげな旋律がしみじみと奏される。- Estudio de terceras 三度の練習曲
この曲もベルリン留学中の作品。嬰ハ短調、A-A'-B-A-A'形式。Aの右手32分音符の三度重音は、2-4/3-5/2-4/1の運指が続く。Bは左手で三度重音が奏される。1911
- Pierrot, Estudio-staccato, Op. 100 ピエロ、スタッカートの練習曲、作品100
へ短調、前奏-A-A'-B-A'-C-D-C'-A"-A"'-B'-A"'形式。16分音符スタッカートを右手単音から三度重音、六度重音、オクターブ、更に左手も加わってと徹底的なスタッカートの練習曲で、演奏時間8分の長丁場を弾き切るには技術に加えて体力も必要な難曲中の難曲です。Aはピエロが芸をしている光景を描くような、滑稽ながらちょっと哀愁漂う16分音符スタッカートの旋律が右手に奏される。Bは右手に三度重音16分音符のスタッカートが現れる。Cは変イ長調になり、右手旋律は六度重音16分音符のスタッカート。Dは左手16分音符半音階下行のスタッカートに始まり、オクターブのスタッカートに発展し、C'の最後はリストのピアノ曲を思わせる両手16分音符半音階上行のスタッカートが怒涛のように鳴り響く。再現部のA"とA"'は右手スタッカートの旋律・左手伴奏共にオクターブで演奏するのは大変だ〜。1914
- ¿Por qué...?, Op. 19 何故?、作品19
楽譜には「愛する妻へ」と記されている。ミラモンテスが妻となるMaría de Jesús Romo de Vivarと結婚したのは1918年であり、妻への献呈は出版時に付け加えられたと思われる。ト短調、A-A'-A-A'-B-A'-B-A'形式。悩ましくも情熱的に燃え上がるような旋律が繰り返される。- Momento musical No. 2 (Para un muerto) 楽興の時第2番(ある故人のために)
この曲が作られた1914年は、メキシコでは「メキシコ革命」と呼ばれる内戦の真っ最中であり、ミラモンテスはアグアスカリエンテスから約70km南のラゴス・デ・モレノという町へ数ヶ月間疎開していた。ト短調、A-B-A'形式。1分強の短い曲で、四声のポリフォニーの中から悲しげな旋律がトボトボと奏される。1915
- Estudio de octavas en fa sostenido, Op. 60 オクターブの練習曲嬰へ長調、作品60
前奏-A-B-A-C-D-C'-A'-コーダの形式。Aは高音部オクターブ16分音符が続く旋律が奏される。Bは嬰へ短調になり、オクターブ16分音符は左手にも移る。Cはニ長調になる。1919年頃
1921
- Pastores, Op. 67 羊飼いたち、作品67
ト長調、A-A-B-A-C-A'形式。AとBは三度または六度重音の牧歌的な旋律が楽しげに奏される。Bはト短調になり、羊飼いが吹く笛のような音色が高音部の三度重音ffで鳴り、こだまのようにppで繰り返される。- Preludio No. 1, Op. 67 前奏曲第1番、作品67
ミラモンテスは1921年から1925年に変えて8曲の前奏曲を作曲した。第1番はハ短調、A-B-C-A形式。32音符の練習のような曲で、Aは左手中音部で32音符アルペジオが休みなく続き、その上下で右手によるオクターブの旋律やベース音が鳴らされる。Bは変ニ長調になる。Cは変ホ短調になり、32音符は右手に移る。- Preludio No. 2, Op. 68 前奏曲第2番、作品68
ハ短調、A-B-A'形式。荘厳な雰囲気の曲。Aは旋律の下で低音オクターブが鐘のように鳴る。Bは重々しい左手アルペジオ伴奏にのって祈りのような旋律が現れる。- Preludio No. 3 en La menor, Op. 92-3 前奏曲第3番イ短調、作品92-3
A-B-A'形式。左手に下行音階、右手に上行音階のモチーフが何度も繰り返される。- Preludio quasi Canon No. 7, Op. 107 カノン風の前奏曲第7番、作品107
へ長調、A-B-A'-コーダの形式。音階のモチーフが右手→左手とカノンで奏される。Bは両手和音連打の中から断片的に先ほどのモチーフが現れる。A'ではモチーフが両手共オクターブで派手に奏される。1922
- Estudio (glissando), Op. 75 練習曲(グリッサンド)、作品75
ハ長調、A-A-B-A'-B-A'形式。テンポはアンダンテでさほど速くない曲だが、右手旋律の中に毎小節に六度または三度重音のグリッサンドが現れる(下記の楽譜)。Bは単音ながら左手に同様のグリッサンドが現れる。A'の最後は右手の上行六度重音グリッサンドと左手の下行グリッサンドが同時に奏される。
Estudio (glissando), Op. 75、1~4小節、Edición Miramontesより引用1925
- Arrulladora en Modo Hipodórico, No. 4, Op. 70 ヒポドリア旋法による子守歌第4番、作品70
イ短調、A-B-A'形式。オスティナートの伴奏にのって自然的短音階の旋律が奏され、空虚な雰囲気を醸し出している。- Arrulladora No. 3 en Sol bemol, Op.82-3* 子守歌第3番変ト長調、作品82-3
ミラモンテス自身が1915年に作曲した《交響曲第1番》の第3楽章スケルツォの中間部(トリオ)をピアノ曲に編曲したものである。変ト長調、前奏-A-A-B-A'-B-A'-後奏の形式。この曲は美しい!!!。原曲の交響曲第1番の方は速めのテンポであるが、この「子守歌」はグッとテンポを落とし、代わりに装飾音をピアニスティックに多用している。前奏は星が瞬くような透明な響きの高音アルペジオが優しく響き、Aは高音部アルペジオが持続する中で中音部に子守歌らしい旋律が穏やかに奏される。Bではクレッシェンドをしながらふっとpp、pppになる繰り返しが絶妙(下記楽譜の1段目)。A'の6小節目はppながら音楽的クライマックスで、リスト風の装飾音が星が降り注ぐように奏され、感動的な美しさの瞬間です(下記楽譜の4段目)。
Arrulladora en Sol bemol No. 3, Op.82 No. 3、21~34小節、Edición Miramontesより引用- Preludio romántico No. 5, Op. 104 ロマンティックな前奏曲第5番、作品104
ニ短調、A-B-A'形式。初期ロマン派王道?のような曲。Aは悩ましい右手旋律の下で、16分音符アルペジオの伴奏が3オクターブを上下していて劇的な響き。Bではアルペジオが右手に移り、左手が中音部旋律と低音部バス+和音を奏でる。- Preludio heroico No. 8 (en modo dórico), Op. 109 英雄的な前奏曲第8番(ドリア旋法による)、作品109
3拍子のポロネーズ風のリズムで、ショパンの軍隊ポロネーズや英雄ポロネーズを思わせる曲。レのドリア旋法、A-B-A'-コーダの形式。Aはfで奏されるアルペジオと両手オクターブ+和音が大袈裟で派手な響き。- Preludio trágico No. 6, Op. 110 悲劇的な前奏曲第6番、作品110
ハ短調、A-B-A'形式。半音階をクネクネする旋律に3連16分音符アルペジオが纏わりつき悪魔的雰囲気かな。Bは全音音階の重音のモチーフなどがレシタティーヴォのように奏される。- Estudio en forma de vals, Op. 111 ワルツの形式による練習曲、作品111
ハ短調、A-B-A'-C-D-C'-A-B-A'-コーダの形式。Aは中音部で奏される哀愁漂う旋律が何とも印象的。Bは変イ長調に始まり、三度重音3連符の旋律や十度の和音が分厚い響き。Cはハ長調になり、右手オクターブ和音の旋律に左手伴奏の十度和音が重なりこれまた重厚で豪華な響き。Dは高音部に可憐な旋律が現れ、この旋律は左手重音に移ったりと変奏される。- Preludio burlesco No. 4 (Preludio cromático), Op. 120 おどけた前奏曲第4番(半音階的練習曲)、作品120
A-A-B-B'-A'-A'-コーダの形式。ミラモンテスのピアノ曲の中でも和声的に斬新な作品。Aは半音階スタッカートの軽快な旋律の上で、増三和音の伴奏が戯けるように奏される(下記の楽譜)。
Preludio burlesco No. 4, Op. 120、1~9小節、Edición Miramontesより引用
Bはアッチャッカトゥーラ混じりの分散オクターブにのって全音音階の旋律が奏され、これも愉快な響きだ(下記の楽譜)。
Preludio burlesco No. 4, Op. 120、23~33小節、Edición Miramontesより引用- Mazurka-Estudio マズルカー練習曲
イ長調、A-B-C-B'-A'-コーダの形式。牧歌的な中音部旋律に鳥がさえずるような高音部の装飾音が加わる。Bはへ長調になり、高音部の音階やグリッサンドが華麗。Cはへ短調になる3連符和音が連打される。1952年頃
- Miniaturas mexicanas, Primer cuaderno メキシコの細密画、第1巻
2巻計16曲から成るこの組曲は、第2巻4曲と6曲を除いてメキシコ民謡の編曲である。技巧的に大体はピアノ初級者向けに書かれており、ミラモンテスはピアノ初級者に幅広く自国の民謡を弾いてもらおうという意図があったのだろう。
- El grillito キリギリス
- El payo エル・パーヨ
ト長調、A-B-A'-B-A'形式。6/8拍子のアルペジオの伴奏にのって素朴な旋律が奏される。Bはト短調になる。- El sombrero ancho つばの広いソンブレロ
- La pasadita パサディータ
- Canción mixteca ミステカの歌
ハ長調、A-B-A'-B-A'形式。メキシコの作曲家ホセ・ロペス・アラベスが1915年に作った歌曲《ミステカの歌 Canción Mixteca》の編曲。- El durazno 桃の木
- Las mañanitas ラス・ マニャニータス
- El coconito エル・ココニート
へ長調、A-B-C-A形式。6/8拍子と3/4拍子が交互に替わるメキシコらしい曲。- Miniaturas mexicanas, Segundo cuaderno メキシコの細密画、第2巻
- Cielito lindo シエリト・リンド
ハ長調、A-A-B-B形式。メキシコの作曲家キリノ・メンドーサ・イ・コルテスが1882年に作った歌曲《シエリト・リンド Cielito lindo》 はメキシコ民謡の中でも最も有名な曲であろう。右手旋律の下で左手アッチャッカトゥーラがリズムをとる、愛嬌ある編曲だ(下記の楽譜)。
Miniaturas mexicanas, 2º cuaderno, nº 1. Cielito lindo、1~10小節、Edición Miramontesより引用- El barquero エル・バルケーロ(小舟)
"barquero" とは小舟や渡し船、またはその船頭のことである。この民謡の旋律を用いて作曲家のマヌエル・ポンセも歌曲《La barca del marino》やピアノ曲《Barcarola mexicana "Xochimilco"》を作っている。舟歌らしい伴奏にのって民謡の旋律が三度重音で奏される。- Yo no soy de aquí (Danza) 私はここの者ではない(ダンサ)
へ長調、A-B-A-A形式。陽気な旋律が二重唱のように三度重音で奏される。- Arrulladora (del Trío del Scherzo de la 1a. Sinfonía) 子守歌(交響曲第1番のスケルツォのトリオより)
ト長調、A-A-B-A'-B-A'形式。ミラモンテス作曲の《交響曲第1番》の第3楽章スケルツォの中間部(トリオ)を編曲したもの。子守歌らしい優しい旋律の曲で、ミラモンテスは遡ること1925年にもこの旋律でピアノ曲《子守歌第3番変ト長調、作品82-3》を作曲している。- La pajarera 小鳥売りの娘
へ長調、A-B-B形式。中低音部で男声二重唱のような重音の旋律が奏される。- Danza de los sacrificios (de la ópera Cíhuatl) 生贄の踊り(オペラ「シワトル」より)
ミラモンテスが1934年に作曲したオペラ「シワトル」はアステカ時代の伝説に基づいて作られた台本による。アステカ王国では生贄を捧げる神事が広く行われていて、その神事での踊りを描いた曲であろう。A-A'-B形式。ミのフリギア旋法で野生的で神秘的でもあるようなモチーフが繰り返される。- Las mañanitas ラス・ マニャニータス
民謡 "Las mañanitas" は直訳すると「小さな朝」という意味だが、メキシコでは誕生日やクリスマスを祝う歌として広く歌われている。へ長調、A-A-B-B形式。旋律の上や下でド音が鐘のように鳴る(下記の楽譜)。
Miniaturas mexicanas, 2º cuaderno, nº 7. Las mañanitas、1~6小節、Edición Miramontesより引用- La diana 起床ラッパ
ハリスコ州の民謡〈ハラベ・タパティオ(メキシカン・ハット・ダンスとも呼ばれる)〉の中の1曲。へ長調。マリアッチ楽団のトランペットが勇ましく鳴るような陽気な曲。音域の移動が大きく、初心者が弾くには難しそう(下記の楽譜)。
Miniaturas mexicanas, 2º cuaderno, nº 8. La diana、1~4小節、Edición Miramontesより引用